水草が生え、生き物が暮らす「ナチュラルプール」が今アツい!
プール付きの庭のある生活なんて夢のまた夢、という人でもちょっと素通りできないようなエコ・コンシャスなこの話題。水草や葦が生える池、ではなくプールで泳ぐのがアメリカのトレンドなりつつあるんだとか。
イマドキな家プールは
自然に近い環境で泳ぐ!
庭先のプールにハスの花が浮かぶ光景。これ、なにもプールを放棄して池にしてしまったわけではないんです。もちろん、優雅に泳げます。
水草が生い茂り、虫や鳥たちも集まってくる、池としての機能も兼ねた、「ナチュラルプール」が、いまアメリカで大注目なんだとか。
なんでも、水草の間をオタマジャクシが泳いでいたり、ミズスマシやアメンボだってスイスイとな。ちょっと抵抗感があるかもしれませんが、食べるものに気を使ったり、アウトドアライフをエンジョイすることで自然と向き合うナチュラリストがいるように、まるで“ビオトープ”みたいなプールを生活の一部に取り入れる感じ。
専門の設計業者が続々登場していることからも、人気の高さがうかがえます。
化学薬品に頼らず自然のパワーで水質維持
主に2つのゾーンから構成されているのが特徴で、プールとして泳いだり水遊びをするエリアと、水草が生い茂り生き物たちが暮らす再生エリアが。言うまでもなく、植物や生き物との共存がこのプールの核。だから、塩素による消毒は一切行いません。すべては自然環境で循環させるという点がポイントだから。
ただし、まったくお手入れしないでいれば、どうしたってバクテリアが繁殖して栄養過多になり、最後は藻が大繁殖……というのは火を見るよりも明らか。
そこで、微生物が繁殖しないギリギリの状態まで栄養レベルを低下させ、水質バランスを常に一定に保てるよう、浄化ポンプで水を循環させる仕組みが一般的。あとは、ミジンコなどの動物プランクトンと、水草たちが放っておいてもほどよく水質を安定させていくれるんだそう。まさしく、巨大なテラリウムの中で人間が泳いでいるようなものですね。
起源はおよそ30年前
欧州発のカルチャー
じつはこのブーム、始まりはおよそ30年前のヨーロッパ。家庭用のプールの消毒に塩素系の化学薬品を使うことに抵抗を感じた人々が、自然環境の循環システムの中で水質を保つアイデアをプールに取り入れたことがキッカケだとか。
コンクリート敷きの殺風景な窓の外に水辺の風景を持ち込めるとあって、ナチュラルプール熱は、フランス、ドイツ、イギリス、オーストリア、イタリアなど欧州各国に広まっていったそうですよ。
なお、ここに登場するプールは、1980年代から今ままで、5,000件以上のナチュラルプールをデザインしてきたイギリスの老舗メーカー「BIOTOP」の施工例。なかには本物の池と見紛うサイズのものまであります。泳ぐゾーンと植物を生けるゾーンの比率が1:1であることが、自然のままに一番近い状態でいられるベストな環境なんですって。
居住者の人となりが現れるナチュラルプールたち
プール付きの庭なんて、あこがれを通り越して実現不可能という気持ちでしかなかったけど、こんなにサステイナブルで循環するプールを見せられては、話が違ってきます。よね?