「ナチュラルワイン」って、生き方のことなのかもしれない

 

長くワインの輸入に携わってきた藤木潤さん
中目黒でワイン屋さんを営む横川かおりさん

ナチュラルワインってなんですか?

 

自然に
あるがままにつくられたもの

ナチュラルワインというのは、「生き方」に通ずる本質的な価値観のお話が詰まっている飲みものです。……なんてちょっと唐突ですよね。このお話についてはまた後ほど。

じつは、ナチュラルワインの定義ってはっきりと定められたものはないんです。ただわたしたちの中で考えているのは、極力手を加えずに、自然に、あるがままにつくっていくものだということ。ブドウという病気に弱い果物を、いかに健全に育てるか試行錯誤しながら。そうしてできたブドウをお酒として楽しめるものにしていく。つくり手の良心と哲学に基づいて、農作物であるブドウだけ、まるごとそのままお酒にしたのがナチュラルワインです。

しみじみと美味しさを実感する
体がよろこぶような味わいのお酒


高度なテクニックを駆使すれば、一口飲んで「美味しい」と思えるワインはできるかもしれません。でもやっぱり、しみじみと美味しさを実感しながら飲みすすめることができたり、体が喜ぶような味わいのお酒っていうのは、何も足さず、引かずにつくったワインにはかなわないと思っています。ナチュラルワインをつくっている人たちは、それを一番知っている人たちなんですよね。

 

長いスパンで僕たちが伝えたいのはそういうことで。「美味しい飲み物」として選んでもらうのがスタートだし、それは大事なんですけど。じつはなにより難しい「シンプルなものをつくる」ということを続けている彼らと、長いスパンで助け合って、喜び合いながら、支えていくということをしないと、なかなか続けられない仕事でもあります。

ナチュラルワインをつくることは
「生き方を表現する」こと

つくり手たちがよく言うのは、「自分たちが住まわせてもらっている地球っていうのは、決して人間だけのものではない」っていうこと。だから、農薬をたくさん撒いたりして微生物たちが住めなくする権利なんて僕たちにはないと。それから、次の世代によりよい土壌を引き継ぎたいっていう思いもあったりとか。

実際のやり方とか考え方ってみなさんそれぞれあるんですけど、でもそこに共通する部分はあって。冒頭で言ったことに戻るのですが、自分たちの信じる生き方を実現するために、ワインをつくる生き方を選んでいるというのでしょうか。

これをつくっているのは
リアルに生きている人たち

そのためには、単にクオリティだけを評価されても残っていかないんですよね。伝えたいのは、誰かが飲んで喜んでくれたこのワインをつくっているのは、リアルに生きている人たちで、さっき言ったような考えを持っているっていうこと。しかも自分たちのためだけではなく、将来のためにいい土地や自然環境を残すことを考えていて。

それを伝えていきたいというのは、僕たちがこの仕事をする理由としては大きいかなと。思いだけでは続けていけないくらい、ナチュラルワインをつくるって本当に難しくて大変なことなんです。

「シンプルで健全」をつくるのって
とっても大変!

ワインは、とてもプリミティブなお酒。ほかのお酒はもともと糖分があるわけでもなかったりして、いかにいろんなプロセスを踏んで完成にもっていくか、が大事だと思うんですけど。プロセスを極限まで少なくしていくことが大切なナチュラルワインは、むしろとても手がかかるんです。

 

あたりまえですが、ワインをつくっている人たちはほとんどの人がそれをお金に変えていかなくてはいけないですよね。そのために、売れるワインはどういうものか考えます。

それぞれが「うちの(蔵の)味」みたいなものを持っていて、毎回その味に近づけていくことがワインづくりだというのが一般的な考え方かもしれません。そのゴールの味わいというのは、たとえば培養酵母を選んだり、糖や酸を補ったり添加物を入れたりして、ある程度再現もできるしコントロールもできる。でも、ナチュラルワインをつくっている人たちには、「売れる」より前に大切なことがあって。もちろんつくったワインがお金にならないと困るんですけど。

それは、手間だけじゃなく
大きなリスクもあること

なるべくシンプルな状態を保ったまま、健全で美味しいワインをつくること。それには、手間だけではなく大きなリスクもあって。

ブドウを絞って発酵させて置いておくと、アルコールができてブドウジュースからワインに変わりますが、それをさらに置いておくと、空気中の酢酸菌によってお酢になっちゃうんです。そして最終的には水と二酸化炭素になるという自然のプロセスがあって。

ワインづくりは、お酢にならないうちに美味しいアルコール飲料にすることが仕事。それはナチュラルワインに限ったことではありませんが、大きな違いはそのアプローチのしかただと思っています。

代表的なのが、酸化防止剤の使用。簡単にいえば、これをつかうとお酒がお酢に変わる時間が遅くなるんです。そんな中でナチュラルワインづくりにおいては、日々酸化防止剤を「どこまで入れずにつくるか?」を試行錯誤しています。それを入れないでつくるということは、言ってしまえばお酢になってしまうリスクがとっても高いことなんです。

(ちなみに)
お酢っぽくなっちゃっても
おいしいワイン、っていうのもあるよ!

「ちょっとでもお酢になったらそれはワインとして欠陥品だ」っていう意見と、「まぁちょっとお酢っぽいけど飲み物としては美味しいよね」っていう意見を持つ僕らと、そのふたつにわかれます。でもたっぷり亜硫酸を入れるくらいなら、ちょっぴりお酢になっちゃっても自然のプロセスにさからわないでつくったワインのほうがいいよね、って僕は思うんです。

わたしたちは
ナチュラルワインから学び
働き、暮らしている

ナチュラルワインにまつわることを仕事にしようって決めたのは、ワインを通じてとても大事なことを教えてもらえると思ったからなんです。学びの媒介っていろいろあると思いますが、その伝える力をより強くワインには感じて。生き方という大きな話以前に、わたしたちは日々小さな選択をひとつひとつ繰り返しながら生活をしていますよね。その中で、ナチュラルワインというものに惹かれて仕事をしている人がたくさんいて。

生きることと仕事をすること
その境のない人生を「選んでいる」

理想のはたらき方を目指して、僕たちは今この仕事をしていますけど、生きることと仕事をすることに境がなくなってくると、心が楽になるんですよね。たぶんワインをつくっている彼らも、ワインを通じてそういう人生を選んでいて。生きることや持っている価値観を仕事に反映しているし、その逆でもある。

ワインを通して誰かに届けていきたいものって、もしかしたらただ単に「美味しい」っていうことだけじゃなくて、そういうメッセージなんじゃないかなって思っています。

 

ちょっとずつちょっとずつ、いつもいろんな段階の中で学びを与えてもらっているなと思っています。ひとつひとつ体に染み入って自分が理解していくような感覚があるんですよね。だからつくり手である彼らや、彼らの生き方、そうしてつくられるワインから学びをもらいながら生きていきたい、それを伝えることが仕事になるなんて最高だなって思って。自分にできることを消去法で探していったら、店を持つことになったんですけど(笑)。

掘れば掘るほど
キラキラしたものが出てくる飲みもの

それにワインって、会話をしたり何かを人とシェアをするっていうときに、ものすごく強力なツールになるんですよね。それが潤滑油になったり、いろんなコミュニケーションが生まれる発祥になって。そんな力を持つ飲み物でもあるなと思っています。

一緒に飲んでいる人たちと楽しい時間を共有している中で、最初は楽しくて美味しいと思って飲んでいるだけなのに、あるときに、あれ?どうしてこんなに軽やかで身体が喜ぶような感覚があるんだろうって気づくことがあったりして。そこには、つくった人のストーリーや思いがあることを知って。掘れば掘るほど、そういうキラキラしたものが出てくる飲みものですよね。

《 さいごに……》
ふつうのワインと、ナチュラルワイン
ひとことでいうと、どう違う?

僕はよく、音楽でいうところの「CDとライブの違い」って言っているんです。

CDには最高の演奏が記録されていますよね。それをつくるためにいろんなチームが努力をしていて、できあがってしまえばずっと同じ演奏が楽しめる。ワインは、味こそ変わっていくものですけどフィロソフィーは同じで、ブランドやエチケット(ボトルについているラベルのこと)へのプライドっていうのものがあるので、期待されるものに応えられるようにみんなが頑張ってつくっています。

対してナチュラルワインは、その再現性っていうのはある意味犠牲にしている部分もあるんですけど、代わりに自由さがある。つくる人によっても違うし、その方法もさまざまで、同じワインを3本並べて開けたときに、それぞれ味が違ったりするのがライブっぽいというか。

たとえば「今日のライブ、いつもと違ったね……」っていうことがあっても「まぁまたいくか」って(笑)。あの時に聴いた、あの素晴らしい演奏の記憶が忘れられなくて。本当に、ナチュラルワインもそんな感じだと思います。

 

そうそう(笑)。とても良いとき、普通に良いとき、もちろん失敗するときもある。でもライブですごい演奏を聴いたときに、その曲がCDに入っているからもう一回聴こうって思っても、もうその演奏は二度と聴けないんですよね。その場その場で、その瞬間に、その空気の中に消えていっちゃうものだから。ナチュラルワインっていうのはそれに近い感覚で。一度そういう感覚に出会っちゃった人は、虜になるんですよ。

 

\おふたりのプロフィールはこちら!/

 

そんなおふたりを招いて、
ナチュラルワインのイベントやります!
※開催日が3月14日(木)に変更になりました。

『I MY ME WINE 〜自分の好きなナチュラルワインを見つけよう!〜 』

長くワインの輸入に携わってきたインポーターの藤木潤さんと、中目黒でワイン屋さん「THE WINE STORE」を営む横川かおりさんをお招きして、ナチュラルワインを楽しむイベントを開催します。

二人が訪ねたつくり手のストーリーや思い等を聞きながら、そのつくり手のワインを味わうことで、ナチュラルワインの深い魅力を掘り下げます。

その他にも二人が厳選セレクトしたたくさんのナチュラルワインを飲み比べることで、ナチュラルワインの立体的な魅力を体験しながら、自分の好きなMY WINEを見つけましょう!

 

【日時】3月14日(木)19:00〜22:00
※開始時間に間に合わない場合でも、ご参加いただけますので、ご安心ください。

【定員】50名
※先着順となります。


【場所】
BPM  東京都世田谷区池尻2丁目31-24 信田ビル2F
(田園都市線池尻大橋駅南口より徒歩30秒)

 

【料金】

前売り
ワイン6杯 チケット+プチ飲茶つき 3,500円(税込)〜

当日
ワイン6杯 チケット+プチ飲茶つき  4,000円(税込)〜


※当日、追加で1杯〜チケットを購入可能です。

※飲茶は当日キャッシュオンで追加ご購入いただけます。


【詳細・チケットの予約はコチラ】
https://imymewine1.peatix.com/

Illustration by Shiomi Wada

名前から自然派ワインとわかるオーストラリアの「ナチュラル・ワイン・カンパニー シラーズ」。ゴクゴク飲めて味わいも非常にクリーンなので安心してオススメできる...
キャッチフレーズは”にごりワインの”ヒトミワイナリーというほど、濁ったワインにこだわりをもつ造り手による赤ワイン「h3 IKKAKU イッカク 2017 ...
新世界ワインから、日本産のワインを紹介。丹波ワインの「京都青谷産スパークリング城州白梅ワイン」。いわゆる「日本ワイン」とはひと味どころじゃなく違うけど、め...
ヨーロッパやカナダで販売されているお菓子、ワインガム。ガムというよりも、グミみたいな食感で、国によってはかなりメジャーな存在です。
ワイン選びにお困りというアナタに少しヒントになるTips。ワインボトルのラベル、フランス語でいう「エチケット」を少し知っておけば、ワンランク上のワイン好き...
さすが欧州No.1のオーガニック大国と思わせる心地よさ抜群の白ワイン。ピュアでナチュラルな味わいをぜひ試してほしい1本。
「え、そんなとこにも?」という国の新緯度帯ワインをご紹介。世界からも注目を浴びるタイの赤ワイン「グランモンテ・ヘリテージ・シラー」。サミットの晩餐会ワイン...
「第4のワイン」として注目されはじめている「オレンジワイン」はじつはアウトドアに最適なアルコール。ここではその理由と、キャンプとワインを愛するソムリエがオ...
国産ぶどう100%使用して日本で醸造される「日本ワイン」からオススメの1本。大和葡萄酒の「番イ(つがい) 2016」は刺身との相性がいい白ワイン。一緒に飲...
このマラソン大会、毎年ボルドーで行われているもので、ランナーはぶどう畑を通る42.195キロのコースを走ります。20ヵ所以上ある給水地点では、さまざまな醸...
昨年の12月、米セブンイレブンが缶入りワイン「Roamer」を発売しました。これはひとつのトレンドを象徴するような出来事だと思います。アメリカでは今、缶ワ...
「ちょっと高くても美味しいワインを」としてオススメしたチリワイン「コラゾン・デル・インディオ ヴィニャ・マーティ」。値段は2,000円台前半。プレミアムワ...
まるでミックスネクターってくらいにフルーティさが際立つ、アメリカ、カリフォルニアの「アイアンストーン・オブセッション・シンフォニー」。超・超フルーティな香...
ワインの用語を勉強する中で感じたのが、「~ジュ」って単語がとにかく多い!ということで、参考までにワインを語れるよう自分の勉強ノートからワードをいくつかご紹...
「Rebel Coast Winery」による、カリフォルニア産ソーヴィニヨンブランを使ったワインには、アルコールが入っていません。だから、いくら飲んでも...
この夏を爽快にする白ワイン「KWV クラシック・コレクション シュナン・ブラン」。1,000円もしないのに、エチケットのデザインや美しいオリーブ色の液体に...
意外と困ってしまうワイングラス洗い。薄くて繊細だし、シャンパングラスなんかは細いのですごく洗いにくい。そんな悩みを解決する最強スポンジを発見。
世界有数の肉消費国・アルゼンチン産の赤ワイン「トラピチェ オークカスク マルベック」。牛肉との相性ではもってこいとオススメ。 価格は1,000円台とリーズ...
赤ワインをおいしい状態に仕上げるには、一定の長さ空気に触れさせておく必要がありますが、そのデカンタージュを代わりに果たしてくれるアイテムが登場しました。
国産ぶどう100%使用して日本で醸造される「日本ワイン」からオススメの1本。まるき葡萄酒の「まるき ルージュ」は和食との合わせがバツグン。そこには120年...