肉にも魚にも合うから、アウトドアのワインは「オレンジワイン」で決まり
秋も深まった今日この頃、気候がよくて、食べ物もおいしい秋はキャンプやBBQといったアウトドアのベストシーズン。星空の下、焚き火を囲みながらワイングラスを片手に夜通し語り合う......なんて最高!
そんな秋のアウトドアシーンにぴったりの「どんな料理にも合う」とジワジワとファンが増えている「オレンジワイン」をご紹介。
まだまだワインストアでもお目にかかることが少ないオレンジワインのなかから、ソムリエ(兼キャンパー)が選んだ“アウトドアに気兼ねなく持っていけるお手頃ワイン5選”もお楽しみに!
オレンジワインがアウトドアに
最高にマッチするわけ
究極のフードフレンドリー
赤・白・ロゼの“いいとこどり”のオレンジワインは、肉にも魚にも、アッサリした和食、コッテリした洋食、スパイシーなエスニック料理にだって......とにかくなんにでも合う“スーパーフードフレンドリー”なアルコール。
「ステーキだから赤ワインだよな〜」「揚げ物にはやっぱビール?」なんて、料理ごとに組み合わせを悩む必要なし。つまり、オレンジワイン1本あればOKなので、結果的に荷物も少なくなるってわけ。
温度管理がラク
白ワインやビールはキンキンに冷えてた方が断然おいしいが、オレンジワインは冷えてても、少々温度が高くてもおいしく飲める。銘柄にもよるが8度〜15度くらいが飲み頃だ(ちなみに白ワインの適温は8度〜10度)。
つまり、おいしく飲める温度の幅が広いので、温度管理が難しいアウトドアに最適というわけ。外気の冷たい秋冬はクーラーボックスなしで常温で飲めるのは嬉しいポイント。
話のネタや会話のキッカケにも
一部のワイン好きを除いてまだまだ知名度が高いとはいえないオレンジワイン。
「色がオレンジのワインでしょ?」「オレンジ(柑橘類)を使ったフルーツワインのこと?」。そんな風に思っている人も多いので、「オレンジワインってじつはね......」なんて語れば、いい話のネタや会話のキッカケになるかも?
ところで、オレンジワインってなに?
赤・白・ロゼに続く、“第4のワイン”として注目を浴びるワイン、それがオレンジワイン。
見慣れない「オレンジ色」をしたこのワインの特徴は、独特の製造方法と味わいにあり。
オレンジワインの原料は白ワインと同じ白ぶどう。通常、白ワインでは果皮を取り除いて醸造するところ、このオレンジワインは果皮はもちろん、茎や枝までもまるごと使用するものもある。茎や枝まで漬け込んだワインは、より複雑味が増してマニアックな味わいに......。この複雑味こそがオレンジワインのクセになるところだ!
また、オレンジワインの製造方法は果皮ごと醸造する赤ワインに近しいため“赤ワインのような白ワイン”と呼ばれることも。
味わいは白ワインよりもしっかりとしているが、それでいて主張しすぎない。また、赤ワインのような深みと雑味を持ち合わせながらも、スッキリ飲めるので合わせるべき料理を選ばない。オレンジワインが赤・白・ロゼの“いいとこどり”のワインと呼ばれる所以は、この優れたバランス感にあるのだ。
キャンパーのソムリエが選ぶ
「おすすめオレンジワイン」5選
そんな優秀なオレンジワインの中心価格帯は4000円〜5000円。でも、キャンプやBBQなど、アウトドアに持って行くならもっとリーズナブルなものでないと......。ということで、本当においしくて、コスパの良いオレンジワインを、“ワインとキャンプに情熱を注ぐソムリエ”の萩森さんに選んでもらった。
とにかく“スモーキー”で
クセになるオレンジワイン
香りも味も、とにかく“スモーキー×スモーキー”なこのワインは、キャンプ料理の定番となった「燻製」によく合う。このスモーキーさを出すために、ワイナリーは相当こだわったのだとか。
「甲州醸し SMOKE - スモーク」
■産地:日本/山梨
■ぶどう:甲州
■色:透き通るようなオレンジ(ロゼとオレンジの中間)
■香り:スモーキーな香り
■味わい・風味:スモーキーな辛口、レモンやライムのような酸味がある
■販売価格:750ml 2000円前後
■相性がいいアウトドア料理:燻製(鯖、サーモンハラス)、ベーコン、シェーブルチーズ(ヤギ)、牛タン(レモン汁で)、BBQ
グルキャンの乾杯には
やっぱりスパークリングでしょ
「ルミエール」は1885年から続くワイナリー。シャンパンと同じ方法で作ったスパークリングワイン「フリッツァンテ」(イタリア語で微炭酸)は、グルキャン(グループキャンプ)での乾杯に最適。今日はビールじゃないな、という場面にぜひ。
「ルミエールスパークリング オランジェ」
■産地:日本/山梨
■ぶどう:甲州
■色:淡いオレンジ
■香り:グレープフルーツと野生酵母のアロマ
■味わい・風味:完全なる辛口
■販売価格:750ml 2100円前後
■相性がいいアウトドア料理:カレー、パエリア、生春巻き、エビチリ、鹿のジャーキー、スパイシーなソーセージ
ツウな人と飲みたい
ビオディナミ農法のオレンジワイン
このワイナリーでは、ほぼすべてのぶどうを完全無農薬より厳しい「ビオディナミ農法」で栽培。ウンブリア州はイタリアで唯一海に面していないエリアなので、海の幸よりも山の幸に合う、酸味と甘みのバランスが取れたワインが豊富。
このレベルになると、ワインを知っている仲間と飲んだらテンション上がりそう。飲み口が柔らかいので初心者にもおすすめ。
「カンティーナ・ライナ・グレケット・ウンブリア」
■産地:イタリア/ウンブリア
■ぶどう:グレケット
■色:濁ったイエロー(ノンフィルターのためワインそのものの色合い)
■香り:アプリコット、イチジク、コリアンダー、フェノール香
■味わい・風味:厚みのある辛口
■販売価格:750ml 2180円前後
■相性がいいアウトドア料理:肉料理全般、鶏のオレンジワイン煮込み、パクチーサラダ、餃子
飲みやすさ抜群。初めてならコレ
今回紹介するなかでもっともクセのないワイン。すっきりと飲みやすいので、オレンジワインが初めてという人におすすめしたい。魚介に合わせると最高。都内のスーパーでも扱っている手に入れやすい手頃な価格帯のワインなので、大人数で飲む時にも活躍してくれそう。
「甲州 オランジェ・グリ」
■産地:日本/山梨
■ぶどう:甲州
■色:淡いゴールド、透き通っている
■香り:柑橘系、ミネラリー
■味わい・風味:すっきりとした辛口
■販売価格:750ml 1480円前後
■相性がいいアウトドア料理:アクアパッツァ、魚介パスタ、ハーブ入りの白ソーセージ、海老のグリル、ピクルス、きのこのレモンバター炒め
伝統製法で作るアンバーワインは
本物志向のあなたに
ワイン発祥の地・ジョージアのアンバーワイン(オレンジワイン)。8000年の伝統をもつジョージアのワインはなんと「無形文化遺産」なのだ。都内の5つ星ホテルでも提供されているこのオレンジワインは、持って行けば「おっ」となる逸品。
「マカシヴィリ ルカツィテリ」
■産地:ジョージア
■ぶどう:ルカツィテリ
■色:ゴールド(注いでから空気に触れるとオレンジに変わる)
■香り:熟したりんご、メロン、ジャスミン
■味わい・風味:柔らかい飲み口で余韻が長い
■販売価格:750ml 2850円前後
■相性がいいアウトドア料理:ロックフォールチーズ(青カビ)、ウォッシュチーズ、アヒージョ、ジャーマンポテト、ダッチオーブンで作る天然酵母のパン、ハンバーガー
知れば知るほど好きになる
「オレンジワイン」のウンチク
最後に、気になるオレンジワインの“ウンチク”を萩森さんに聞いてみた。
──オレンジワインを扱っているお店をあまり見かけないんですが、本当に流行ってるんですか?
流行ってますよ(笑)
これを言うと元も子もないですが、オレンジワインは手に入りづらいので、なかなかお店に置いてないんですよ。だからこそ、キャンプに持って行くと「おー」となりますね。
──オレンジワインはなぜ人気に?
オレンジワインの根底にあるビオディナミは、オーガニックよりもさらに厳しい基準の農法。身体に悪いものが一切入っていないから、近年の健康思考とマッチして人気が出たという感じですね。
──ワインはヴィンテージがいいと聞きますが、オレンジワインは?
オレンジワインに関してはヴィンテージにこだわる必要はないですね。年数っていうよりは「生産者」とか「作る方法」に着目したいのがオレンジワインです。キャンプだからこそ、高級なものでなく、“おもしろいワイン”を持っていきたい。話のネタにもなりますしね。
気になる一本を見つけたら、
いざフィールドへ!
アウトドアに最適なオレンジワイン。流行っているかどうかなんて、じつはどうでもよくて、おいしいから飲んでみて欲しいっていうのが本音。
この秋はビールの代わりに「オレンジワイン」をクーラーボックスに突っ込んで、アウトドアに出かけてみては?