赤、白、ロゼ、オレンジ、そして……ワインに「第5の色」が登場

昨夏あたりから、じわじわとSNSで広まりつつある「パープル・レイン(Purple Reign)」。プリンスの曲じゃありません。白ワインなのになぜか紫色をしたワインのこと。

ん、ワイン?

赤、白、ロゼ、オレンジときて、ついに……紫のワインが登場。今、世界が注目する「パープル・レイン」について、ソムリエ吉川大智さんに聞いちゃいました。

吉川大智(よしかわだいち)
世界40ヵ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。JSA認定ソムリエ。現在は多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。

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紫色って……「なんか変なモノでも入っていそう」と、少し不安になるかもしれない。けれどブドウは「セミヨン」「ソーヴィニヨン・ブラン」「シャルドネ」、3種の白ブドウ品種のブレンド。決して特別なブドウを使っているわけではない。

では、この「紫」はいったい、どこからやってくるのか?

透明感のある紫の色調。じつはこれ、「チョウマメ(蝶豆)」というマメ科の植物由来のもの。「バタフライピー」という英名にぴんときた人もいるかもしれない(こちらの方が有名?)アンチエイジングの効果も期待できると、チョウマメはハーブティーとしても人気だ。

それにつけても、なぜチョウマメをワインに? じつは、そこには偶然に偶然が重なることで生まれたストーリーがあった。

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パープル・レイン

【生産地】オーストラリア
【タイプ】白ワイン
【味わい】辛口
【ぶどう品種】セミヨン/ソーヴィニヨン・ブラン/シャルドネ
【アルコール度数】12%
【価格】4000円前後

妻への想いから生まれた偶然の産物

紫ワイン誕生秘話の前に、軽くワインの酸化防止剤についておさらいを。

市場で売られているワインのほとんどには「酸化防止剤(亜硫酸塩)」が含まれている。発酵中のワインを雑菌から守るため、また酸化によるワインの品質を安定させるために必要な成分で、ワインだけでなくドライフルーツやかんぴょうなどにも使用量を定められたうえで使われるもの。

一般的にワインに使われる酸化防止剤の量も、人体への影響はないとされている。それでも、できるだけナチュラルな製法でワインをつくることが、近年の醸造家たちのトレンドだ。

パープル・レインの生みの親、西オーストラリアに所在するワイナリー「Masstengo」の創業者ティム・マクマナラもその一人。彼は「酸化防止剤が入っているワインは飲みたくない」という妻のため、研究に研究を重ねた結果、酸化防止剤の代用にチョウマメをワインに添加するという製法を見つけた。

チョウマメに含まれるアントシアニンには、抗酸化作用がある。これによりワインに使われる酸化防止剤の量を極限まで減らすことができたのだ。

さて、醸造過程でチョウマメを添加。すると、ワインが淡くきれいな紫色に。こうして、人工的な着色料や香料も一切使わない、ナチュラルな紫色をまとった「パープル・レイン」は生まれた。

前菜と「パープル・レイン」で
もっと食卓を鮮やかに!

とにかくこのワイン、グラスに注ぐと透き通った輝きのある色調が唯一無二。活きいきとした酸のあるフレッシュな辛口で、後味にほのかな苦味を感じさせる。

たとえば、キウイやグレープフルーツを使った「フルーツサラダ」、あるいは「カプレーゼ」、ほかにはチーズを乗せた「カナッペ」あたりとの相性は抜群。きゅっとレモンをしぼった「魚介のカルパッチョ」や「シュリンプカクテル」といった海鮮系とのペアリングも文句なし。

注ぐだけでこんなにも彩り豊かで、食卓が一気に華やかになるワインも珍しい。誕生日、記念日といった特別な日の演出に。間もなく迎える春や初夏の爽やかな季節、「パープル・レイン」で家飲みを楽しんでみてはいかがだろう。

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