別居もなんのその、夫婦円満の秘訣
「夫婦は、生活を共にするもの?」
「Your Tango」に寄稿された遠距離婚の経験者、作家でブロガーのビクトリア・フェデンさんのコラムによれば、離れているからといって心まで離れ離れになるわけではないと言います。友人が「新婚早々、単身赴任させられた」なんて話を聞くと気の毒にもなりますが、もしかしたら当人たちはあまり悲しんでいないかもしれません。
夫婦円満の形とは、一体どういうものなのでしょうか。
「遠距離恋愛なんて長続きしないわよ」って
みんなに言われた。
13年前、当時私はフロリダに住み、サンフランシスコにいた彼と付き合い始めた。3,000マイル以上離れていたから、会うためには仕事を調整しなければいけないし、交通費がかかるし…とにかく問題は山積み。家族や友だちはやめたほうがいいって言っていたけど、私たちの関係は続いた。
3年くらいの遠距離恋愛を経て、彼がフロリダに引っ越してくれて、私たちは結婚した。もちろんちょっとしたケンカや小さな不満はあったけれど、毎日一緒にいられることが奇跡みたいで、やっと一緒になれたことが本当に嬉しかった。
でも、同時に私たちが遠距離恋愛でもうまくいっていた理由にも気が付いた。振り返ってみれば、私たちはふたりとも1人でいることが好きだった。執筆活動をしたり、1人で考えごとをしたり、そんな時間が必要だった。
私たちは、お互いにそんなところが似ていたからこそ、この結婚はうまくくいったんだと思う。
結婚して10年が経ち、夫と私は何回も遠距離婚について話し合った。私は一人で自由に過ごせる時間を気に入っていたし、1年のうち数か月は夫婦で別々に暮していた。多くのカップルからすれば、私たちのような生活は奇妙だろうし、不安定な関係に見えると思う。
でも、私たちにとっては一人きりの時間も必要だし、離れているからこそ絆は強くなった。
私はロンドン、彼はブラジル。
それでもふたりの魂は繋がっていた。
歴代の元カレについて振り返ってみると、全然自分と合っていなかったなと思う。
私の都合に関係なく電話してきたり、家族と海外旅行に行きたいと言っただけで怒ったり。女友だちと遊ぶことさえイヤがる男性もいた。元婚約者は私が仕事ばかりで、一緒にパーティに出席しないことを責めてきた。
でもきっと、彼らが悪いんじゃない。実際、私たちはまったく違う人種だったのだ。
だけど夫は、私が私であるために必要なものも全部ひっくるめて受け入れてくれた。私はロンドン、彼はブラジルへ。別々に旅をしていても、ふたりの魂が繋がっていると感じている。大陸さえも違うインターネットカフェから、お互いに送り合ったラブレターを読むくらい。
もちろん葛藤もあるけど、充実していく実感があるの。
結婚して何年かしたあと、私はアイオワの大学のサマースクールを受講する機会を得た。私はどうしても行きたかったけれど、さすがに長期間も別居してアイオワでひとり暮らしなんて間違っているんじゃないか、とすごく悩んだ。
夫も一緒に行くとは言わなかった。フロリダに仕事があったからだ。私たちの結婚自体が間違っているんじゃないだろうか。これじゃあ「普通」の結婚とは言えないのかもしれない。
それでも夫は「大丈夫だ」と言ってくれた。離れている間、彼は手作りクッキーを送ってくれたりもした。おかげで何の憂いもなく、夏の間ひとりで執筆活動に打ち込むことができた。
そして、2010年には娘が生まれた。
同じ年、夫にはニューヨークでの素晴らしい長期の仕事のオファーが来た。私はまた、この生活が「普通」なのかどうか悩んだ。でも実際のところ、すべてがうまくいったの。離れているからこそ、ふたりの関係をより良い物にしよう、と努力するようになったからだ。私たちは一緒に過ごす時間に、すごく感謝するようになった。
娘はもうすぐ6歳。毎年、夏になると私と娘はアイオワで過ごす。去年の夏は、夫とは2か月半も離れて過ごした。普通の家族のあり方とは違っていても、私たちはこの生活を気に入っているの。
もし、私たち夫婦がひとつの家に住んでいたら…
夫の仕事に融通が利くなら、もっといいかもしれない。でもその反面、私たち家族3人が常に一緒にいることが理想的だとも思わない。人間関係や結婚生活にストレスを抱えやすい独立心が強い人にとって、ひとりきりの時間を持つことも大切な「充電期間」だから。
結婚のカタチはひとつの枠に収まらないし、ムリヤリ収めるべきでもないと思う。私の祖父母の結婚生活がうまくいってる秘訣と、私の親友夫婦の秘訣は違うし、義理の父母の40年間の婚姻生活の秘訣も、またそれぞれちがうはず。
「普通」かどうかなんて気にせず、夫婦はお互いにとってベストな形を自分たちで決めていくべきだと思うの。