「VRを使った脳トレ」で、下半身不随の人が歩けるようになる日が来るかもしれない

いまVR(バーチャルリアリティ)技術は、医療分野においても目覚ましい研究成果をあげています。なんと下半身不随の患者が、VRをつかった「神経系のリハビリテーション」を続けることで再び歩けるようになるかもしれない、というのです。

下半身不随の男性が
キックオフ

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2014年6月、サッカーワールドカップの開会式で、あるデモンストレーションがおこなわれました。それは胸から下が動かない男性が、脳波によって機械の外骨格を操り、キックオフをするというもの。

これはWAP(Walk Again Project)による取り組みで、25ヶ国から100人以上の神経医学者、科学技術者、理学療法士などが参加しました。

このプロジェクトでは8人の下半身麻痺患者を対象に研究が進められていて、機械で脳波を読み取り信号を送る「ブレイン・マシン・インターフェース」、仮想現実を体験する「VR」、仮想現実でアバターが感じた感触を身体にフィードバックする「tactile shirt(触感シャツ)」を組み合わせた治療をおこなうことで、症状が回復したと言います。

仮想空間の感触を
現実にフィードバック

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治療はこのように、ヘッドマウントディスプレイを装着し、VRによって仮想のアバターの足を動かすことから始まります。

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次の段階ではその感触をシャツによって身体にフィードバックし、脳波を使って機械の外骨格を動かし、歩行する感覚を取り戻していきます。

車の運転が
できるようになった患者も

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この研究に参加した患者は、全員がASIA(アメリカ脊髄損傷協会)の定めるA級(完全麻痺)障がい者でしたが、12ヶ月の治療を受けたことで8人のうち4人がC級(不完全麻痺)まで回復したと言います。また歩行機能だけでなく、胃や腸の動きも回復したことがわかっています。

ある患者は自分の足の関節を動かすことができるまでに回復、またある患者は車を運転して外出することもできるようになったそうです。

現在、脊髄を損傷した患者は「完全麻痺」の診断を受けると、車いすを前提とした治療を受けるのが一般的ですが、WAPでは研究成果をもとに、この治療法を広めていきたいとコメント。

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プロジェクト主任のミゲル・ニコレリス博士はこう語ります。

「脊髄損傷により下半身麻痺になった患者は、世界中に25万人もいます。我々はすでにこの技術と治療法を、手頃な価格で広める手段を検討しています」

研究が続き、近い将来に自分の力で歩けるところまで回復する患者が現れたら……。世界中の希望になることは、間違いないでしょう。

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