人間の「指」がヒントだった!「触覚」で表層下を知る技術

学術誌『Cell Reports Physical Science』の論文によると、中国の科学者チームは、人間の知覚メカニズムを基に、複雑な物体の表面下の状態を画像化する触覚フィードバックシステムを備えた「スマートバイオニックフィンガー」を発表した。

これまでに開発された人工触覚センサーといえば、外形や表面の質感、および硬さを認識して区別することしかできなかったため、物質の表層下の状態を把握するとなると、CTスキャンをはじめとする光学技術が必須だった。

しかし、「触れた感触が電気インパルスとして送信され、その衝動が中枢神経系を通って脳の体性感覚皮質に伝わり、物質の特徴を識別する」という人間の指の知覚メカニズムを利用したことで、感触によって表層下の状況を把握できる技術を開発したのだ。

©Y. Li et al., 2023

これは、指で物質の表面を突き刺すように圧力を加えてスキャンすることで、炭素繊維が圧縮され、その圧縮度合いによって柔らかさや硬さを判断し、3Dマップデータに変換されるというのだが……。

文字での説明では追いつかないため、以下の画像でイメージを掴んでほしい。

© ScientifiCult / YouTube

同技術でスキャンすれば、筋肉層の下にある血管の位置モデル組織の構造さえも正確に再現できるというから驚きである。

研究者たちは今後さらなる研究を重ね、全方向検出を行うバイオニックフィンガーを開発していくという。この技術もすごいのだが、元より人間の指はすごい……。

Top image: © Y. Li et al., 2023
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