あなただけの、うまい!のために。DNAからビールグラスをデザインする。
ビール会社が、より美味しい一杯を求めるのは当然のこと。ただし、ここで紹介するプロジェクトは、かなり異質なものと言っていい。
なぜなら、ビールそのものではなくグラスへアプローチしたものだから。さらに、その手法が、個人の遺伝子にまでおよぶ、壮大なものだから。
遺伝子が、
うまいと叫ぶ一杯を
そのプロジェクトとは、サントリーが主導する「DNA GLASS」。一人ひとりの遺伝子に合わせて、それぞれに最適なビールの味わいを引き出すグラスを開発するという。
唾液からDNAを採取、専用の試薬を用いて解析。その後、独自のアルゴリズムで、グラスの3Dデザインを生成する。
たとえば、アルコール分解力は容量に反映されるそう。ホップの苦味への感度は飲み口の厚みに、麦芽の香りへの感度は口径の大きさに、といった具合。刺激欲求の強さは外形のシャープさ、社交性は外形の複雑さに表れる模様。
たとえば、
ジャマイカ人男性Aさんの場合
趣味は、BMXフリースタイル。マウンテンバイクを自在に乗りこなす彼は意外にも、「刺激欲求:おだやか」タイプ。「社交性:みんな」タイプらしく、グラスの形状はポコポコと楽しげ。「香りへの感度」「苦みへの感度」がどちらも高いため、口径を大きく、飲み口は厚く、香りと苦みをバランスよく楽しめるデザインに。
ロシア人女性Bさんの場合
「香りへの感度:低い」ので、飲み口をすぼめ、香りを凝縮させるデザイン。「社交性:みんな」タイプらしい、華やかなデザインが特徴。「アルコール分解力:高い」ことから、ビールがたっぷり注げる設計になっている。
その一杯は、自分らしく飲むことの美味しさ、楽しさ、心地よさを教えてくれる。DNAをもとにした、あなただけの「うまい!」の追求。ビール好きにはなんとも堪らない取り組みだろう。
現時点では今後の展開は明言されていない。が、もし個人で注文できるようになると、かなりの注目度となるのは間違いなさそうだ。