デヴィッド・ボウイが亡くなってから一年。彼が歩んだ「変化の歴史」とは?
2017年1月10日は、「20世紀で最も影響力のあるアーティスト」と評されたデヴィッド・ボウイが亡くなってからちょうど1年が経つ日。
彼は、なりたい自分になろうと変わり続けた人であり、新しいことに挑戦し続けた人だ。ミュージシャンでありながら、アート、ファッション、デザイン、演劇…と、音楽だけに留まることなく世界中の人々に影響を与えた。そのパフォーマンスは、サウンド・ヴィジュアルともにめまぐるしく変わっていったけれど、難解にならずに世界中で愛されたポピュラーな存在でもある。彼は一体どう変わっていったのだろう。
50年以上の活動に関する300点以上の品々を展示した大回顧展「DAVID BOWIE is」で、常に時代の先端を行った彼の変化を振り返ろう。そのほか同時に開催されているボウイの写真展もあるので、ページの最後まで読み進めてほしい。
演じては、脱却する。
デヴィッド・ボウイの全貌。
ボウイは、まるで計算していたかのようにして亡くなった。2016年1月8日(69歳の誕生日)に、死をテーマとしたアルバム作品『★』(Blackstar)を発表。その二日後に息を引き取ったのだ。それまでも、作品ごとに登場人物を演じては脱却してきた彼だ。創造性のピークを迎えたと言われたのもなるほど、最後の脱却とも捉えられる。
それから1年後、奇しくも存命していれば70歳の誕生日だったはずの2017年1月8日から大回顧展が日本で始まった。
「DAVID BOWIE is」は、2013年にイギリス・国立ヴィクトリア&アルバート博物館で開催されて以来、世界9都市を巡回し、約150万人以上の動員を記録している。アジアでは日本が唯一の開催地であり、日本独自の展示もある。
当時のパフォーマンスを音楽や映像とともに再体験できる空間や、世界のトップ・デザイナーたちや舞台芸術のスペシャリストたちに手を借りて生み出した彼にしか着こなせない衣装がある。山本寛斎が担当したボウイの代表的な作品のひとつ『ジギー・スターダスト』時代のスタイルなど、実物は貴重だ。
彼が日常的に使っていた私物や、
日本オリジナルの展示も。
どんなものも着こなしてしまう彼の姿を写真や映像で観るほか、ボウイが描いた三島由紀夫の肖像画や、ベルリンやニューヨークで暮らしていたときに使っていた私物、手紙、ビデオを閲覧できる。入り口で渡されるヘッドホンからは、展示に応じて音楽や音声が流れてくる。
日本オリジナルとなる展示では、映画『戦場のメリークリスマス』 で共演した北野武と坂本龍一のインタビュー映像が展示されている。彼が変化し続けてきた歴史を、本人が書いた文字、描いた絵、使っていた道具、関わった人々から感じられる貴重な展示だ。
【開催概要】
■展覧会名
「DAVID BOWIE is」
■会期
2017年1月8日(日)~4月9日(日)
■会場
寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川2丁目6番10号)
※Google Map
■公式サイト
http://www.DAVIDBOWIEis.jp
■公式 SNS
@davidbowieisjp
(Twitter、Facebook、Instagram)
そのほか開催中の、ボウイ展。
彼に関係する作品の発表はほかにもある。ロンドンで開催された「DAVID BOWIE is」のキュレーターが、最終日にその詳細について語った様子を収録したドキュメンタリー映画『デヴィッド・ボウイ・イズ』の劇場公開や、彼が初主演を務めた映画『地球に落ちてきた男』の再上映が始まった。YouTubeには、アルバム作品『★』に収録されている楽曲『No Plan』のMVが新たにアップされた。
いま開催されている写真展も合わせてチェックしてみよう。ボウイが亡くなってから1年が経ったこの機会に、彼が歩んだ変化の歴史を振り返ろう。
■「Bowie : Faces」
複数の写真家による写真展
テリー・オニール
ブライアン・ダフィー
鋤田正義など
<開催場所>
・代官山 蔦屋書店
2017年1月6日(金)から2月7日(火)まで
※ミュージックフロアに展示する一部作品は1月11日から
・アクシスギャラリー・シンポジア
2017年2月10日(金)~11日(土)
・ブリッツ・ギャラリー
2017年2月17日(金)~4月2日(日)■「Duffy / Bowie‐Five Sessions」
ブライアン・ダフィーによる写真展
<開催場所>
・ブリッツ・ギャラリー(東京・目黒)
2017年1月8日(日)~2月5日(日)■「SUKITA / M Blows up David Bowie & Iggy Pop」
ボウイを70年代より撮り続けた日本人写真家・鋤田正義の写真展
<開催場所>
・キヤノンギャラリー
1月19日(木)〜3月6日(月)