「誰だって、変化を起こせる」。オバマのポスターを描いたアーティストのいま
2008年。米・大統領選のシンボルとなった「HOPE」ポスターを作成した、グラフィティ・アーティストのシェパード・フェアリー氏。このポスターは、オバマ前大統領の知名度を上げる一助となりましたが、じつはこれ、オバマ氏に賛同したフェアリー氏が自主的に作成して、ネットや街中にばらまいたポスターが話題となったもの。
そんなフェアリー氏は、先日行われたアメリカ大統領就任式の日に向け、市民を巻き込む草の根アート活動を主導しました。
We the People
- 我ら 人民 -
プロジェクト名にもなっている「We the People」は、アメリカ憲法の一文目に出てくる言葉です。アメリカは「私たち」国民のためにある、ということを、強く表現しています。
アメリカ憲法は、
「尊厳を守ってくれるもの」「お互いを守ってくれるもの」そして「恐れにも勝るもの」
「私たちは引き裂かれない」
「私たちは立ち向かう」(先住民による運動)
目に入ることが
「知ること」につながる
これらのアートは、「Kickstarter」で資金調達をした政治活動の一端として行われました。一番の目的は、とにかくこれらの作品が人の目に触れること。
企画のなかには、ポスターやステッカーを自宅やクルマに貼るだけではなく、新聞広告のハックや、大統領に自分が選んだアート作品を絵ハガキで送る、なんていうものもありました。
そして実際、1月20日には彼らの作品が新聞をジャックしたのです。
「誰だって、変化は起こせる」
最終的には、作品を人々の目に触れさせることで、政治を他人事にしている「傍観者」を、「参加者」へと変えることが目標だと言います。
フェアリー氏は無名時代、ニューヨークの街の至るところに自身のステッカーやポスターを貼り付けて認知度を上げたという、ストリートハックの第一人者的存在。つねに目に触れさせることのパワーを実感しているフェアリー氏だからこそ、この運動を先導できたのかもしれません。
彼は、どんな政治体制の下であっても、どんな主義主張を持っていようとも「民衆がつねに問題意識を持って対話していくこと」が、社会を変える力になっていくと考えています。そしてその一歩としての活動を、アートから広めようとしているのだそう。
一見「草の根運動」かもしれませんが、後々大きなパワーとなる可能性を秘めた活動だと言えるでしょう。