飲みたい「地ビール」で旅先を決めるのも、いいかもしれない。

春は出会いの季節。老若男女あらゆる人と、おしゃべりをする機会も多いことでしょう。誰もがわくわくする話題に事欠きたくないあなたへ、特別な「地ビール」の情報を。

Tablet Hotels」のビール通が選んだおすすめクラフトビールと、それぞれの醸造所に近い、お似合いのホテルをご案内。お酒を片手に賑わいながら、仲間と一緒にゴールデンウィークやこの夏の旅行プランを立ててみてはいかがでしょうか?

01.
アンデックス・ドッペルボック・デュンケル
(ドイツ・アンデックス)

「KLOSTERBRAUEREI ANDECHS」のドッペルボック
(アルコール度 7.1%)

ドッペルボック(濃厚なラガービール)好きが愛してやまない、この地とこのビール。修道士が作る、深みと飲みごたえのあるドイツビールです。聖なる山の聖なるビールとでも言いましょうか。

ドイツの鉄道・Sバーンのヘアシング駅から、爽やかな森林に囲まれた上り坂ルートを約1時間強歩いた先にあるのは、アンデックス修道院。バイエルンで何世紀と受け継がれてきた、ベネディクト会修道院らしいホスピタリティの伝統を丸ごと体験できる場所です。隣接したレストランで、キロ単位でオーダーできるシュバイネハクセ(ドイツのブタ料理)をしっかりいただき、自慢のドッペルボックビールをデザート代わりに堪能すれば、お腹も心も大満足。

■ピッタリのホテルは…

ここには、ミュンヘンからの日帰り旅行として訪れるのがおすすめ。セントラル駅からSバーンを利用すれば、アクセスも簡単です。泊まるのは、すっきりとしたアートギャラリーのようなスタジオ式ゲストルームと、屋上のテラスバーからアルプスの山が眺められる「フラッシング・メドーズ」。

または「ソフィテル・ミュンヘン・バイヤーポスト」のエレガントなスパとフィットネスセンターで、贅沢な食事で吸収したカロリーをそぎ落とすのもいいのかも。

02.
トラピスト・ウェストフレテレン XII
(ベルギー・ウェスト=フランデレン州フレテレン)

「BROUWERIJ WESTVLETEREN」のクアドルプル
(アルコール度 10.2%)

世界最高のビールは、なかなかお目にかかれないもの。「ウェストフレテレン XII」は、修道院で醸造されているトラピストビールの伝統に従って、醸造量も控えめ。しかも卸売はしないということで、ビール好きにとっては伝説的存在です。

でも、努力して手に入れれば、その複雑な味わいと飲みごたえに、(単なる高度アルコールによる酔いではなく)開眼したかのような気分になるはず。スパイス豊かな風味から始まり、複数種の酵母から生まれた深みを感じるフルーティーな味わいへ。アルコール度の強いビールだから、フランドル地方の寒い夜でもポカポカでいられそう。

一つだけ、ここを訪れる際はご注意を。ゲストハウスで味見をすることは可能だけれど、ビールの購入には電話予約が必要で、ピックアップでの販売のみ。しかも需要をはるかに下回る製造量なので、予約連絡はお早めに。

■ピッタリのホテルは…

近くの町イーペルは、第一次大戦の最前線として歴史的に知られる土地であると同時に、ホロ酔いの旅行者も優しく迎えてくれる町。全6室の「メイン・ストリート・ホテル」は、スタイリッシュなプチホテル。

さらに、プライベート感たっぷりなギステルの「スポール62」。古い列車の駅を造り替えた客室2室のみのこの宿は、客室内もガーデンも、爽やかでコンテンポラリーかつ、ロマンティック。二日酔いでも、こんな空間ならゆったり気分良く過ごせそう。

03.
常陸野ネスト ホワイトビール
(茨城県・那珂市)

「木内酒造」のホワイトエール
(アルコール度 5.5%)

そもそも、これだけ幅広い飲み物を一言で「ビール」と呼んでしまえるのは、ある意味すごいと思いませんか。「木内酒造」のベルギー・スタイルの白ビールは、重めなダークビールとは大違い。グラスに注がれるのは少し濁りのある黄金色に、適度な厚みの白い泡。すっきりと爽やかな飲み口で、これぞ何にでも合う万能ビール、とでも言ってしまいましょうか。

オレンジピールに白胡椒、キリッとしたコリアンダーといった香りと味わいは、那珂湊(なかみなと)焼きそばや常陸牛料理にも持ってこい。今やクラフトビールのトップブランドとして、国内はもちろん、海外のこだわりのお店でも人気です。

■ピッタリのホテルは…

そんなお洒落感あるコスモポリタンな雰囲気は、ご存知、東京・目黒の「クラスカ」にも通じるものがあるでしょう。高層ビル内に造られたチェーンホテルが台頭する都内でも、こんなこだわり空間が存在する余地はまだまだあるのです。

もちろん、高層ビルだから悪いというわけではありません。汐留の「パークホテル 東京」は、未来的なセンスを感じさせるホテル。特に、オリジナルアートが彩るアーティストルームは、大手ホテルの頼れる快適性と、斬新な個性を持ち合わせた万能空間になっています。

04.
シャウユ・フメ
(イタリア・ローマ)

イタリアのクラフトビール「BALADIN」麦ワイン
(アルコール度 14.0%)

今まで、こんなビールはありえなかった!でも、最近はあるんです。ビール醸造のマエストロ、マッテリーノ・“テオ”・ムッソ氏は、従来の「ビールの作り方」を覆すべく、泡とガスを控え、ゆっくりと味わい楽しむためのビールを提案。

彼にルールは一切ナシ!上面発酵させて、意図的に酸化させて、スコッチウィスキーのオーク樽で寝かせることで、ピートが効いたフレーバーなったこのビール。14%という高いアルコール度数が間違いでないことも、この恐るべきダークで強力なビールをひと口飲んだ瞬間、分かるはずです。しかも「バラデン」名義でリリースされているから、イタリア国外で手に入れることも可能。

■ピッタリのホテルは…

G・ラフ」も、ムッソ氏同様、真面目な表情で多様なイタリアンスタイルを混ぜ込んだ、ルールに縛られない実験的なアプローチで知られるホテル。目まいのしそうなこのビールにぴったりなのでは。

または、ローマの人混みを避けるべく、閑静な「ジッリ・ドーロ・スイート」に駆け込み、デザイン性の高い穏やかな客室(または客室内のジェットバスに浸かりながら)で、心を落ち着かせましょうか。

05.
IPA
(スペイン・コルドバ)

「CALIFA」のIPA
(アルコール度 6.3%)

このところ、印象的なIPAというとアメリカ産のものが主だけれど、そのトレンドを塗り替えるべく質の高さを競い合っているのがスペインの「カリファ」。地元の水と麦芽にこだわり、アンダルシアならではの味わいを感じさせてくれるビールを作っています。

しっかりとした麦芽のフレーバーを土台に、意外にも、希少品種のギャラクシーホップとトロピカルフルーツが特徴となった、香りも味も美しいカリファのIPA。オレゴンをはじめとするアメリカ北西部のIPAよりももっと自由で、エキゾチックでありながら温かい親しみやすさを感じる、なんとも職人の腕が光るクラフトビールです。

コルドバ中央部にあるカリファの直営パブで、小皿料理をつまみつつ、このIPAはもちろん、その他どれも上品な個性を楽しめる彼らのビールをご堪能あれ。

■ピッタリのホテルは…

カリファ醸造所から近い「オスペス・パラシオ・デル・バイーリオ」は、モロッコのリヤドを彷彿とさせるムーア式建築の美しい宿。ほろ酔いの午後を物思いに耽りながら過ごすにも、そのままお昼寝するのにも、プールでひと泳ぎして目を覚ますにもぴったり。

一方「ホテル・ビエント」は、かつてのユダヤ人居住区や有名なモスク兼カトリック教会(聖マリア大聖堂)からも近いので、ちょっと飲み疲れていても、観光スポットはしっかり回れるはず。

06.
ラ・ロッジアーグランド・リザーヴ
(アメリカ・ミシガン州デクスター)

「JOLLY PUMPKIN ARTISAN ALES」のアメリカン・ワイルドエール
(アルコール度 8.0%)

「アメリカ以外のビールがきてる」とは言ったものの、アメリカだって質の高いビールをまだまだたくさん輩出しているのは確か。

例えば、「キャプテン・スプーキー ロン・J」なるニックネームを持つ天才が手がける、自由奔放でワイルドなこのビール。「ラ・ロハ」と名付けられたこのエールのアルコール度は高め。樽で最高10ヶ月醸造させているため、アメリカンな土臭ささえ感じさせるファンキーな味わいも。キャラメルとフルーツのノートが特徴となった、酸味のあるビールです。

もちろん無濾過で、低温殺菌もナシ。サクラやブドウの木が辺りに並ぶ「ジョリー・パンプキン」の直営パブは、トラヴァースシティのオールド・ミッション半島にあり、フワフワしながら湖畔を散策するのも醍醐味。ほら、ミシガン湖だっていつもより綺麗に見えるでしょう?

■ピッタリのホテルは…

実際にビールの醸造所があるのは、デクスター市。もちろん、ここでもサンプリング可能。デトロイトに泊まるなら、「トランブル&ポーター」にチェックイン。工業的要素を都会的でおしゃれに利用したインテリアと、若者が集まるビアガーデンに、新しい風を感じます。

もっと落ち着いたスタイルがお好みなら、近くのバーミンガムにある「ザ・タウンセンド・ホテル」は、上品でタイムレスなオプションです。

07.
ユニオンジャック IPA
(アメリカ・カリフォルニア州パソロブレス)

「FIRESTONE WALKER BREWING COMPANY」のアメリカンIPA
(アルコール度 7.5%)

そしてもう一つ、アメリカのビールを。西海岸は、アグレッシブなホップを扱うのが上手いんです。相当のビール好きじゃないと飲めないようなホップ全開の味を競うのではなく、いかにバランスをコントロールできるかが、最近のポイント。

そんな中、イギリス人の創業者を持つ「ファイアーストーン」は、そのルーツを強調するかのように、自信たっぷりの「ユニオンジャック IPA」を作っています。クラシカルなIPAの苦味は健在ながら、麦芽の甘みも見え隠れし、時に大胆なグレープフルーツの風味を、時にカリフォルニアの立派なマツの木を思わせる香り高さを楽しめるこのビール。アマチュアには分からないであろう、この繊細なバランスは、真のビール好きならじっくり堪能したいところ。

■ピッタリのホテルは…

ルート101号から高速1号へと進み、「カンブリア・ビーチロッジ」へ。チェックイン時に、様々なアウトドア・アクティビティのツールを揃えた「アドベンチャーキット」を渡してくれます。自然に触れ合いながらの滞在をお楽しみあれ。

または、ルート101号を直進し、「グラナダ・ホテル&ビストロ」の繊細なセンス光る空間で、もう少しリラックスしても良いかも。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。