ため息がでるほど美しい…。「盆栽」を見て、こんな気持ちになるなんて。

 

折り鶴は、「祈り」の象徴なのかもしれない——。

 

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そう語るのは、アーティストの小野川 直樹さん。小さな折り鶴を折って、盆栽と一体化させているのです。

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枝には、イチョウの葉のようにびっしりと折り鶴が。まっすぐ空へと飛び立ちそうな、すべての鶴が枝が伸びるのと同じ方向を向いています。

折り鶴と盆栽。日本の伝統工芸がひとつになって、繊細なのにエネルギーが溢れ出す。“新たな命”を私は感じました。

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幼稚園の頃から、折り紙に熱中していた僕。高校を出て美術系の学校へ通いだした時に、自身の「核」になるものを掘り返してみると、折り紙にたどり着きました。折り鶴をモチーフに選んだのは直感。言葉では言い表せない可能性を感じたからです。

 

僕は専門学校在学中に3.11を東京で経験しました。その夏に初めて折り鶴を使った作品『smile』を制作。その半年後、卒業制作で『鶴の樹』を制作しました。3.11に関して、東京で体験した激しい揺れと報道で知った現状。この時の体験を何か形にしたい。そんな思いから、自分のアイデンティティのひとつと捉えている「折り鶴」をつかい、本格的に制作をスタートさせました。

 

震災から、1年後。僕は4月に岩手県陸前高田を訪れました。現地の人々の話を聞いて、実際に町を観て周り感じたこと。それは、自然の脅威の前では人間は何もできないという恐ろしさ。それと同時に広大さも感じたのです。

 

自然は、人種も性別も社会的地位も関係なく襲ってきます。いつの時代も人間は、自然の脅威と向き合い続けてきました。しかし、時にはあやかり、共存しているのだとあらためて思うのと同時に、人間のもつ“心の強さ”を、実際に見て聞いて感じたのです。

 

折り鶴は「平和の象徴」と良く耳にします。陸前高田で瓦礫の近くや建物の入口に吊るされた千羽鶴を見つけたとき、行き場のない気持ちを折り鶴に託しているように僕には見えました。

 

戦後、折り鶴は広島や長崎に送られていますが、何トンという膨大な量の折り鶴が毎年届くのだそうです。人々の“彷徨い続ける思い”を吐きだす場所であり、習慣のようにただ繰り返される。このことに、少し違和感がある僕。

 

現代でいうと折り鶴は、平和の象徴ではなく「祈り」の象徴といった方がしっくりくるのではないでしょうか。人は願いを届けてくれる乗り物のように、折り鶴に願いを託すからです。

 

それは、平和を願う気持ちだけではありません。鎮魂の意を込めるのと共に、物事を再確認させるといった力も備えているのではないでしょうか。答えや正解ではなくて、ひとりひとりがどう考えるか、どのように受け入れるのか。いつの日か出会った折り鶴は、そんな事を教えてくれる。

 

これまで僕が制作してきた鶴の樹は街路樹の様に律義にスッとした、息を殺したような形でした。もっと生々しい「生命力」を感じる生物として表現できないだろうか。その思いから形が少しずつ変化していきました。

 

自然の脅威や恵みを生きている樹木に。この時代、ここで生きている自分自身を折り鶴に落とし込み、鶴の樹を制作する。これが僕が折り鶴に見る可能性です。

 

小野川さんの思いが詰まった作品。静かなようで、“熱い命”を感じる。

 

鶴の樹を見たあとは、目を閉じてそっと自分自身と向き合いたくなります。あなたは、自分の“心の動き”を感じませんか?

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Licensed material used with permission by Naoki Onogawa
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