今、わたしが仕事中に聴いているのは「Tadanobu Asano」。
俳優やロックバンドのヴォーカルとして精力的に活動する浅野忠信が、Tadanobu Asano名義で自身制作によるカセットテープ『額の中で』をリリース。
今作は、浅野が22歳のときに入手して以来、愛用してきたシーケンサー「YAMAHA QY100」をつかい録り溜めてきた多数の曲から、8トラックを厳選し収録されたもの。販売は、限定250本のみ。
追求したのは
徹底したミニマルさ
上にある、カセットジャケットのデザインを手がけたのも浅野自身。「ミニマルさを出す」をテーマにしているのだとか。無機質な部屋のイラストもかなり気になりますが、アートワーク、スリーブデザイン、リリース日などのクレジットが配置されているジャケットって珍しい。テキスト以外のスペースにデザインされたベタ塗りの黒も、中の音を全然想像させてくれない(!)感じがグッドですよね。
自身がもともと持っている機材と、アプリ「ガレージバンド(iPhone版)」のみをつかって作られた音源、自身が描いたイラストレーションで作られたジャケット。完全インディペンデントなこの作品は、本人の創造性が細部までいきとどいている半径の狭さが大きな魅力だろう。
カテゴライズ不能
とにかく1回聴いてみて!
気になる音源はというと、テクノとも実験音楽ともカテゴライズできない、まさにフリーフォームな世界観....。たとえば A面の「HENMAL」。聴きすすめるほどに規則性をはなれ、どこか森の中にいるようなネイチャーな香りもすれば、中盤ではクラシック音楽がはじまる瞬間に似た厳かな空気も漂う。で、一体それってどんな音なの?というと....
(言語化を放棄するわけじゃないですが)そもそもこの音源を言葉にして伝えようとするのがナンセンス。なにも考えず、とにかく一度聴いてみてください。現時点でひとつ言えるのは、ここまで規則性もなく先の展開の予測をつけづらい音であるにもかかわらず、耳あたりがよく、空間にも馴染む音であるということ。部屋で流すと、作業も結構はかどります。
たくさんの人に聴いてほしいので、限定生産っていうのがもどかしいところではありますが、それもこだわり。気になった人は急いで!
8月2日、duenn label より発売。