生活習慣病や心の病を引き起こす「血糖値スパイク」って何?

テレビ番組や雑誌で頻繁に取り上げられ、世間の注目も大きくなってきた「血糖値スパイク」。糖尿病とは少し違った厄介な症状、放っておくとどうなるのか、その危険性について、医師目線でわかりやすく解説した本を紹介します。溝口徹さん著『「血糖値スパイク」が心の不調を引き起こす』(青春出版社)。

これまで3,000人の糖負荷検査を行ってきた溝口さん。20年に渡って「うつ」や「パニック障害」など精神疾患の治療にあたってきた人物です。氏によれば、うまく血糖調整できていない人は、とくに心の不調を起こしやすい、と。いったい、血糖値スパイクってなんなの?

日本人の10人に1人
「血糖値スパイク」って?

皆さんは「血糖値スパイク」という言葉をご存知でしょうか? 聞いたことがあったとしても、本当の意味を理解している人は少ないでしょう。

私たち人間が食事をとると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)はゆるやかに上昇します。これは食べ物に含まれている糖質が影響しているからです。ごく当たり前のことなので何の問題もありません。

ところが中には、食後に血糖値の上昇や降下を激しく繰り返す人がいます。この状態がまさに「血糖値スパイク」なのです。この症状がある人は、全国に推定1,400万人以上いると言われています。つまりは、日本人の10人に1人は発症者がいる計算になるのです。

「血糖値が高い=メタボ体型の中年男性」というイメージを持つ人もいるかもしれません。ところが、健康診断では異常なしと言われている人や、スリムな体型の女性にも、「血糖値スパイク」保持者は存在するのです。

身体的な病気だけでない
見えざる危険性

健康に関心がある人であれば、「血糖値が高くなる病気=糖尿病と関係しているのではないか」、「血管に関わる病気と関連しているのではないか」と思うかもしれません。

もちろんこの予想は間違っておらず、「血糖値スパイク」は、心筋梗塞、脳梗塞などあらゆる病気の元凶になります。これだけでも十分恐ろしいのですが、じつはそれだけではありません。

「血糖値スパイク」は自律神経のバランスを乱し、心の病を引き起こす原因にもなっています。このことは、まだあまり注目されていませんが、長年精神疾患の患者さんと関わり、その食生活を指導してきた私(著者)にとっては、ごく当たり前のことです。

「血糖値スパイク」は、大病になるリスクはもちろん、あなたの日々のイライラや不安、頭痛、疲れの引き金にもなっている可能性がある危険な状態なのです。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。