到着するまでも美しい「熊本天草の橋」。調べてみたらすごかった
5年ほど前、熊本県の天草へ出張で行ったことがあります。大自然の美しさや魚介の美味しさは素晴らしかったけど、実は一番記憶に残っているのは「島にたどり着くまでの風景」。
そもそも九州本土から天草本島へはいくつかの橋を渡り、小さな島々をまたいでいきます。個性的な橋と島々という変化に富んだ風景と、車の窓から入る風の心地よさを今でも思い出します。
5年経った今、改めてその橋を調べると、「天草五橋」という名であることがわかりました。さらに一つひとつの橋が、建築物として多くの記録を残していることも。ここではそんな「天草五橋」の話をしていきたいと思います。
記憶だけじゃなく
記録も残してきた「天草五橋」
一号橋(天門橋)
これは、三角〜大矢野島間にかかる「一号橋(天門橋)」。全長502mで、細長い部材を三角形に繋ぎ、それを繰り返して造られるトラス橋の構造をしています。
中央径間300mは、連続トラスとして開通当時世界第1位の長さを誇っていたのだとか。
青い海に、規則正しい白い三角形が美しく映えています。
二号橋(大矢野橋)
この「二号橋(大矢野橋)」は、大矢野島〜永浦島間を繋ぐ黄色いカラーが特徴的なランガートラス・合成桁橋です。
ランガ―トラスは、トラスをアーチで補強した造りのことを指します。橋の下部にはトラス橋の特徴である三角形が並んでいます。全長は249.1mで、156mにもなるランガ―トラス部分の長さは、開通当時日本第1位でした。
三号橋(中の橋)
永浦島〜大池島間に架かる「三号橋(中の橋)」は全長361mで、ラーメン橋と呼ばれる構造をしています。「ラーメン」と聞くとどうしても麺類を思い出してしまいますが、ここで使われているのははドイツ語の「枠組み」を意味する言葉。
ラーメン橋は脚の部分が橋の上部を支え、それが中央部分で接合した形のものを指します。アーチのちょうど真ん中が橋の接合部になっているのですね。
四号橋(前島橋)
最後に先ほどの中の橋と同様、ラーメン構造を持つ「四号橋(前島橋)」。
大池島〜前島間に架けられています。全長は510.2mで、天草五橋の中では最も長い橋になります。すっきりとした細長い橋と、浮かび上がる島々の景色が美しい撮影ポイントです!
五号橋(松島橋)
前島〜合津間に架かる「五号橋(松島橋)」は、青い空と海にくっきりと浮かび上がる赤いカラーが美しい全長177.7mのパイプアーチ・合成桁橋です。
日本で初めて造られた本格的パイプアーチ構造の橋で、日本の建築史のなかでも大きな意味を持っているもの。
歴史の面影が残る
天草の石橋
数多くの記録を残す「天草五橋」以外に、島に着いてからも見応えのある橋が見つかります。
写真の「祗園橋」は江戸時代以降に建造された石造桁橋で、国指定重要文化財に指定されています。ここは「天草・島原の一揆」で、一揆勢と唐津藩の守備軍が死闘を展開した歴史的な場所でもあります。
来島した際は、古き良き歴史を感じる石橋にも注目してみては?
ここで紹介しきれなかった天草の美しい橋は、こちらからも。