中国・長沙にかかる「縁結びの橋」がまるでジェットコースター

男と女が運命的な出会いや別れをはたす場所といえば橋の上。こう決めつける訳じゃないですが、ある意味ラブロマンス映画の鉄板演出がこれでしょう。ルコントもカラックスも、パリ・セーヌ川にかかる橋は多くの映画における重要な舞台だし、ものがたりの二人にあやかろうと、ロケ地で“橋詣”に興ずるカップルも少なくないはず。

さて、その流れで言うと中国・湖南省にできたばかりのこの橋は、まだ映画の舞台にこそ登場してはいないものの、縁結び効果絶大(?)かもしれない、今後注目の橋として覚えておいていただきたい。いつの日かカップルの聖地にだってなれるかも。

世界一型破りで美しい、
3層に波打つ橋

湖南省・長沙市に誕生したこの赤い橋梁。遠目からは、しなやかにうねる龍の背を模したようにも見えますが、近づいていくとその3D感に虚をつかれるに違いありません。だってほら、こんなにウェービーだし。いったいどうやってここを渡るの?

開通からまだ3ヶ月足らずというのに、この「Lucky Knot」はすでにCNNが「世界で最も型破りで美しい橋」に選出、いま国内外から観光客を集める注目スポットなんだそう。

最大高低差24メートル
ジェットコースター状態

全長約185メートル、高さ24メートルの歩行者専用橋は、実際には3つの別個の橋をからみ合わせて造られた構造で、それぞれの橋は5つのポイントで重なり合い、8つの出入り口から歩行者は自由にアクセスできる設計。もう、ほとんどジェットコースター状態なアップダウンだけど、これも単なる橋としての機能だけでなく、プレイグラウンドの延長として市民の健康促進も兼ねた設計を狙ってのものだとか。

中国の伝統装飾が、
縁と絆をかたく結ぶ

近年、急速発展をみせる長沙市でも新興エリアと都市部をつなぐインフラとして、この橋の建設はキープロジェクトだったようです。設計を担当したNEXT architectsによると、レクリエーションとエコロジーを融合させた機能に、中国の伝統装飾のひとつ「Lucky Knot(ラッキーノット)」をデザインに応用したそう。

「アジアンノット」や「中国結び」とも呼ばれるこの結び方。1本の赤い紐を切らずに結ぶことで装飾的な結び目をつくっていく方法は、お守りやネックレスで目にしたことがあるでしょう。

結び目がどこから始まり、どうつながっているのか分からないつくり。その幸福と繁栄を表す赤い結び目がこの橋の上で、下で、幾重にも重なり合う。行ったり来たりのLucky Knotを渡っているあいだに、いつしか二人の縁も絆も、きっとかたく一つに結ばれていくことでしょう。

橋の欄干部には「満月門(ムーンゲイト)」が。ここにも中国建築の伝統が生かされている。

ちなみに、中国8大料理のひとつに数えられる湖南料理は、あの四川料理よりも辛いことで有名。刺激的な辛味と縁結びを求める二人なら、旅行の選択肢に長沙はアリだと思うけどなぁ。

Licensed material used with permission by NEXT architects
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。