自動運転の「Uber」始動。ポイントは橋の認識らしい(米・ピッツバーグ)
2016年8月、ついにアメリカのカリフォルニア州ピッツバーグで、自動運転の車が実際に公道を走り始めました。走っているのはUberが運営するもので、車種はボルボのXC90。
いま、ピッツバーグの街でUberのアプリを使うと、ランダムでこの自動運転の車が手配されます(割り振られた人は無料)。年内に100台が投入される予定とのこと。
自動運転だけど「無人」じゃない
いきなり自動運転のタクシーと言われると、興味よりも不安を持つ人のほうが多いと思いますが、このUberの自動運転タクシーにはちゃんと運転席に人が乗っています。ただし、あくまでも万が一のときのため。つまりは「有人自動運転タクシー」なのです。
いま、Uberのテストカーが道路上の様々な法律や状況判断を学習しながら安全運転で運行をしています。運転席と助手席にはエンジニアが乗り込んでおり、車には何百というカメラ、センサー、レーダーが取り付けられ、ノートPCで記録を取りながらの走行。
道、車線、建物、駐車している車、消火栓、信号機、樹木など、様々な障害物のデータを取り、ピッツバーグの道にあるすべてのものを詳細な地図にまとめているそうです。
そのなかでも、とくに判別が難しいのが「橋」だと言います。ピッツバーグには全部で500もの橋が架けられていますが、Uberの自動運転システムは橋を渡ることができず、このときばかりは自動運転がオフになり、ハンドルは運転手の手に委ねられるとか。
Googleへの挑戦。完全な無人自動車の実現を目指す
UberのCEO、トラヴィス・カラニックはこの自動運転システムを開発するために何百人というエンジニアを集結。
また自動運転技術を開発、そして無人トラック計画を進めていた企業「Otto」を買収し、その共同創始者であるアンソニー・レヴァンドウスキーの助力を得ることに成功。レヴァンドウスキーは元々、Googleの自動運転プロジェクトチームのひとりです。また、OttoにはGoogle Mapのリーダーを務めていたライアー・ロンや、Googleロボティクスのクレア・ドロネー、エンジニアのドン・バーネットなど多くの技術者がいました。
ご存知の通り、自動運転の車を開発している企業はUberだけではありません。Googleやテスラモーターズ、フォードなども同様のプロジェクトを進めています。が、いまだ自動運転のサービスを開始した企業はありません。また、Uberが彼らと違う点は車両を独自で開発せず、ボルボや他の自動車メーカーと提携しているところです。
CEOのカラニックは「確実に安全な自動運転技術を開発することで、自動車事故をなくしたい」と語ります。また、ボルボと協力して2021年までに完璧な自動運転の車を開発するために3億ドルの予算を用意している、とも。
ピッツバーグで無人の自動運転タクシーに乗ることができる日は、意外と早くやってくるかもしれません。