悲しい「ブルー」がポジティブに。熊本地震から生まれたバッグのいい話
2016年4月14日と16日未明に、熊本と大分を襲った「熊本地震」。
あれから1年と約半年。
熊本出身者であり、当時、熊本で地震を経験した私の耳にうれしいニュースが届いた。きっと前向きになれるこの話を、すこしでも多くの人、とくに、地震の経験を共有した被災地のみなさんに届けたい。
「青」が地震の象徴に。
この写真は、震源地の益城町にある私の祖父母の家。ご近所さんもほとんどこんな状態だった。見渡す限りの倒壊家屋、そしてその上には必ずブルーシート。
「熊本はどこに行ってもブルーシートだらけ」。まさにそんな感じだった。
「ブルーシート」を
「ブルーシード(復興のたね)」に。
「震災で使用されたブルーシートを悲しい思い出に終わらせたくない」という想いから誕生したバッグがある。
このバッグ、被災地で実際に使用されたブルーシートでできている。日々のくらしを守ってくれた使用済みのブルーシートを回収し、洗浄、加工をへてつくられる。
「被災地のブルーシートを見た時に『このブルーシートもいつかバッグになるのかも』と思えるかもしれない。そうしたら、悲しみの景色を、少しだけ明るいものに変えられるかもしれないと考えました」
被災地のブルーシートはすべて「復興の種」。そんな想いを込めて、「ブルーシード(青い種=復興の種)バッグ」と名付けられた。
「メイドイン九州」への
こだわり。
バッグを手がけるのは、クリエイティブの力で復興支援を行う「BRIDGE KUMAMOTO」というプロジェクト。生産管理は熊本の「sitateru®︎」が担い、縫製は大分の「竹田被服」が担う。「熊本県への寄付」以外の部分でも、売上のほとんどが大分・熊本に落ちる仕組みづくりを徹底している。
そして、忘れてはならないのが、バッグの真ん中にあるロゴ。地震で崩落した「阿蘇大橋」 をイメージして“支援の架け橋”となっている。並々ならぬ想いが垣間みえる。
想いは人の心を動かす。
そしてこのたび、「ブルーシードバッグ」が「2017年度 グッドデザイン賞」を受賞した。しかも「グッドデザイン・ベスト100」にも選定!
バッグそのものはもちろんだが、「悲しいブルーシートのイメージを転換することで被災地に希望をもたらし、地域外と繋ぎ、支援にしていく」という取り組み全体が、審査委員会により特に高い評価を得たそうだ。
デザイナーの佐藤かつあきさんは受賞にあたり、以下のようにコメントしている。
「今回の受賞が、被災地でいまだ大変なご苦労を強いられている人たちの励みに、少しでもなれればと思います。 また、被災地のために尽力してくれる仲間と受賞できたことを、本当に嬉しく光栄に思います」
本当に受賞おめでとうございます!
そして、一熊本出身者として、ありがとうございます。