秋の終わりの夜は、音楽と本であの人の「文脈」をたどるイベントへ。
「好きな人の好きな本」って、知りたくなりません?
というのも、「好きな本」って結構プライベートな媒体だと思うんです。読んだ本によって人のバックグラウンドがつくられることもあるし、そこに自分のルーツを見出したり、投影することもあるはずで。
自分の好きな人は、どんな本につくられてきたんだろうと、しばしば考えるわけです。それは恋人でも、大切な友人でも、たとえば、よく聴いているあの曲をつくった音楽家でも。
あの人を「つくるもの」
去る9月の終わり、『Contexts(コンテクスツ)』というイベントに行ったんです。場所は東京・神楽坂のライブハウス。そこにあったのは、アーティストたちが鳴らす素敵な音楽と、ちいさな本棚。
イベントのテーマは、“Context=文脈”。
「“文脈なき時代” と揶揄される現代に、“文脈”に重きを置いた」このイベントでは、「ルーツを大切にしながら未来へとつないでいくであろう、素敵な音楽を鳴らしている」アーティストたちのライブと、彼ら自身によって選ばれた本が並んでいました。
『Contexts』オリジナル・グッズの販売も。
この “音楽家の本棚” には、それぞれのアーティストがお薦めする本に加えて、イベントのスタッフによってセレクトされた関連本も。ページにはアーティスト直筆のコメントカードが挟んであり、気に入った本はその場で購入することもできるんです。
ライブで音楽を聴いて、それを奏でる彼らのルーツ(文脈)をつくってきたであろう本を手にとり読むことができる。こういう機会って、なかなかないですよね。
情報として知るだけなら今の時代は簡単にできますが、リアルタイムで、肌で感じ、手でさわり、辿ること。この時代に、あらためて「だれかの “文脈” にふれること」について考えた、温かな夜でした。
11月26日にも、やります
11月26日の日曜日、『Contexts』は第3回を迎えます。出演は、蔡 忠浩(bonobos)、Emerald、1983。
かなり個人的な話をしてしまうと、bonobosはわたし自身のルーツをつくってくれていると言っても過言ではないアーティスト(高校時代の多感な時期に出会い、いまもずっと聴いているアーティストのひとりです)。そんな彼のルーツ(文脈)を今、知ることができるなんて。
そんな私情はさし置いても、このイベントは、素敵な音楽や本との出会いのきっかけになるはず。秋の終わりの夜は、ぜひ『Contexts』へ出かけてみてはいかがでしょう。場所は前回とおなじ、東京・神楽坂。