元カレからの贈り物。捨てられないなら「失恋マーケット」へ。
「彼氏の家に行ったら、明らかに元カノ用に買ったんだろうなってぬいぐるみが置いてあってさ。ふつう、新しい彼女を家に呼ぶなら、捨てるか隠すかどうにかしない!?」
鼻息を荒くした友人から、こんな怒りの電話がかかってきたことがある。乙女心は、繊細で複雑だ。そんなに怒らなくても……と思ったものの、たしかに物が『クマのぬいぐるみ』というのは……ちょっと気を抜きすぎではないか、彼氏よ。
しかし、<元恋人との思い出の品をどう処理するべきか>という問題が出されたとき、なにが模範解答なのだろう。それがどんな物であっても、想いと一緒に捨ててしまう人もいるし、ただの思い出として、そのままにしている人もいる。
でも実際、恋人がいつまでもソレを持っていて、嬉しいと思う人はいないだろう。
行き場に困った「愛の証」
捨てられないならリサイクル
新たな居場所、用意しますよ。と提案したのは、ベトナムの『Heartbreak Market』。
ここに売られているものは全部、誰かの思い出の品。誕生日に高価なものをもらったけれど、もう自分では使えない。かと言って、壊れてもいないのに捨てるのはちょっと……別れたあとは、こんな悩みが物の数だけある。それと一つひとつ向き合うのは、精神的にツライものだ。
使えるものは再利用したほうがいいし、ずっと持っていることで新しい恋人と気まずくなったり、思い出が蘇って苦しくなるくらいなら、大事に使ってくれる人に渡したほうがいいではないか。
「気持ちごと、綺麗に手放すサポートができたら」。という思いから始まっている。
なんてwinwinなアイデアだろう!という声がある一方で、手紙やアルバムまで出品可能にするのは、当時愛情を込めて送ってくれた人のプライバシーを損害している。という意見もある。
たしかに、顔や名前の分かるものを、勝手に売りに出すのはタブーだ。けれど発案者であるディン・タンは、「このマーケットは傷を癒すセラピー的なサービスだ。手放すという機会をつくることに意味がある」と返答したそう。
う〜ん……それは分かるけれど、話題になっているからこそ、今後そういったものは売るのではなく、手放すだけのブースをつくるなど、改良が必要になってくるだろう。
男女問題は、いつも面倒だ。
話は冒頭の友人に戻るけれど、彼女は「彼がクマのぬいぐるみを持っていたこと」よりも、新しい彼女という自分に対して、「何も考えていないこと」に腹を立てたし、寂しいと思ったのだ。付き合ったからといって、過去にまで首を突っ込みたいワケではない。
過去は過去。だからこそ、「今の彼女がどう思うか」を考えたかどうか。その結果が、ケロッとした顔で(彼女にはそう見えただろう)ベッドに居座り続けている、クマに現れていたのだ。
彼からしたら、「何の未練もないんだからいいじゃん」と思うかもしれない。けれど、そもそも論点は未練の有無ではない。
おわかりいただけるだろうか。物を残しておくことが、悪いことだとは思わない。けれど、新しい恋人にその思想を「理解して」と押し付けたり、物があることで傷つけたりしないように、<管理する責任>が生まれてしまう。
それが面倒だったり、できないのであれば、『Heartbreak Market』は、選択肢のひとつに入れてもいいのかもしれない。