ラブリが目指すタレントとファンの新しい関係。「TAKI BITO」レポートvol.2

MCとゲストが、焚き火を囲んで語り合う新しい形のトーク番組『TAKI BITO』。「人生の種火 = 転機や大きなきっかけ」について、事前台本一切なしの等身大でリアルなトークを展開します。MCを務めるのは、ULTRA JAPANのクリエイティブディレクターである小橋賢児さん、女優やモデルとして活躍する高山都さん、そしてTABI LABOの代表である久志尚太郎の3人。

昨年12月13日(水)に放送された第2回では、モデルやタレント活動のかたわら、詩や写真などの創作活動に勤しむラブリさんを初めてのゲストとしてお迎えしました。それでは、その様子をお届けしましょう。

「ラブリ」と「いずみ」。どちらも大切な名前

久志 やっぱ、火っていいね。

高山 うん、いい。

小橋 なんでこんなに落ち着くんだろうね。

久志 1回目はキツかったよね(笑)。

高山 ねっ(笑)。今日は晴れてよかった!

ラブリ 前回と今日とで、また違う焚き火になるのかな?

高山 前回はどしゃぶりだったからね。

小橋 今日は初めてのゲストであるラブリちゃんを迎えるのに最高な天気だよね。星も見えるし。

久志 いずみちゃん(ラブリの本名)って焚き火したことあるの?

ラブリ ない。小学生のときのキャプファイヤー以来。火のそばだと、冬でも暖かいんだね。

小橋 ビンちゃん(久志のニックネーム)、いずみちゃんじゃなくてラブリちゃんって呼んでよ(笑)。

久志 そっか(笑)。

ラブリ 私と賢児くんはもともと仲が良くて、それでビンちゃんとも一緒にご飯食べたりするようになったんだよね。初めて会ったとき、名前何ていうの?って聞かれて。

高山 えー!?

久志 初めて会ったとき、いずみちゃんが何やってるか知らなかったんだよね。

ラブリ それで「じゃあ俺は『いずみ』って呼ぶわ」って。

久志 「いずみ」とは言ってないよ!「いずみ“ちゃん”」ね。

高山 ねぇ、「いずみ」って本名?

ラブリ そう。愛情の「愛」って書いて「いずみ」って読むの。

高山 へえ!いい名前! 

ラブリ おばあちゃんが「愛が泉のようにあふれますように」ってつけてくれた名前。

高山 素敵すぎる!でも、じゃあ「ラブリ」は?

ラブリ ラブリはクリスチャンネームなの。だから、いずみって呼ばれるとなんか親しい感じ。

久志 小橋くんに初めていずみちゃんを紹介してもらったとき、何者かよくわかってなかったのね。

高山 こんなにカワイイのに、わからないもんなの?

小橋 それがビンちゃんだから(笑)。でもビンちゃんはずっとラブリちゃんのこと「めちゃくちゃおもしろい」って言ってて、今回だってビンちゃんが絶対呼びたいって。

久志 先入観がなかったから、さらにおもしろかったんだよね。

ラブリ たしかにフラットだったよね。

久志 仲良しの小橋くんの友だちだからめっちゃ仲良くなって、ご飯食べてカンパーイ!みたいな感じだった。……そういえば、乾杯します?

高山 そうだね!まだ乾杯してなかった!

久志 今日は僕がお酒を用意したんだけど……これ見て!「Ultra」っていう日本酒なの。ULTRAのクリエイティブディレクター・小橋賢児と焚き火を囲むならってことで。

小橋 こんなのあるんだ!

久志 僕は日本で一番おいしい日本酒なんじゃないかと思ってる。普通、日本酒って精米するときに削る割合で種類が変わってくるんだけど、これはお米そのものにめちゃくちゃこだわってるの。

高山 ラブリちゃんは日本酒飲めるの?

ラブリ 日本酒大好き!

高山 一番好きなお酒は?

ラブリ うーん、迷っちゃって決められない。お酒って料理によってもっとおいしくなるのがおもしろいよね。

小橋 それじゃあ、焚き火を見ながらゆっくりと、普段は言えないこと、聞けないことをお話しできたらいいなと思います。乾杯!

全員 カンパーイ!

高山 おいしい!

久志 おいしいんですよ。

ラブリ なんか微炭酸っぽい。甘くはないんだけど、コクはちゃんとある感じ。

高山 どう?このシチュエーションにこのお酒って。

ラブリ もう、ずっとここにいたい(笑)。

高山 ラブリちゃんはお酒を飲むとどうなるの?

ラブリ もうただひたすらに楽しくなってくる!

高山 暴言吐いたりは?(笑)

ラブリ しないよ!(笑)

絶品。ラブリが作る「クリエイティブ味噌汁」

ラブリ 今日はお呼ばれしたので持ってきました。

久志 お!お味噌汁!

小橋 ちょっと待って、お酒より先に飲みたかった!俺、味噌汁めっちゃ好き!あ、でもみんな好きか。

高山 日本人の心だもん。

ラブリ 私、本当にお味噌汁しか得意じゃないの。他の料理はたぶん普通くらい。

小橋 前にビンちゃんと「味噌汁だったら負けない」って言い合ってたじゃん。その後どうなったの?

久志 味噌汁話で盛り上がって、LINEで「俺のほうが」「私のほうが」ってずっとやり合ってた(笑)。どっちの味噌汁がうまいか勝負しようって言ってて、それからの今日。

高山 何味噌使ってるの?

ラブリ 麦味噌!私、地元が愛媛県なのね。だから愛媛の味噌と愛媛の揚げを使います。

高山 これなに?

ラブリ 松山揚げ。

高山 いま入れるの?

ラブリ そう。これはね、後から入れるの。めちゃくちゃおいしいよ。

高山 なにそれ、すごい知りたい!あっ、卵も入れるんだ?

ラブリ そう。卵は最後の仕上げ。

高山 卵はひとり1個分? 

ラブリ そう。とかずに、半熟な感じで。それから、ちょっと豆乳を入れるんですよ。

小橋 豆乳!?クリエイティブ味噌汁だね!

ラブリ ねえ、汁が足りなかった!

高山 いいよいいよ。そういうのもアウトドアの楽しみだから。

ラブリ しかも、卵全部割っちゃった。暗くて……。

高山 かきたま味噌汁みたいでいいじゃん。うん、めっちゃいいにおい!食べていい?

ラブリ うん。

高山 めっちゃおいしい!

小橋 いただきます!……なにこれ、すっごいおいしいじゃん!

ラブリ いや、ほんとはもうちょっとおいしいんだけど……。

小橋 本当にクリエイティブ味噌汁だね。

久志 これ、いままで食べた味噌汁のなかで一番おいしいかも。

ラブリ 本当はもうちょっとおいしいけどね(笑)。

小橋 これはかなりびっくりだね。

久志 ねえ、なんでこれこんなに優しい味がするの?

高山 白味噌と豆乳だからマイルドなんじゃないかな。木綿豆腐もいい感じだね。

ラブリ そうなの。木綿豆腐を大きいスプーンでざっくり取って入れてる。あと、醤油を足したりとか。

高山 味噌のうまみだけじゃないんだね。

小橋 方向的には粕汁に近いんだけど、酒臭さがなくて。なんだろう、めっちゃ落ち着く。

久志 こんなにおいしいものが食べられて感無量ですね。

小橋 負けた?

久志 いや、勝ち負けじゃないけど、俺より上?かな。なんかびっくりした。おいしすぎて。

ラブリ 普通の味噌汁とはちょっと違うんだけど、また食べたいって思ってほしいなって。

小橋 これを食べさせられたら大変だよ。食べたくてもなかなか食べられないからね。

久志 すでに、もう1回食べたいもん。

「ラブリ」のファンと「ことば」を通して「いずみ」でつながる

小橋 ラブリちゃんの詩の世界観はすごく独特なの。間のあけ方とか言葉のリフレインとか、文字の配置のしかたまで。

高山 ちゃんと風景が浮かんでくるよね。季節の色とかにおいとか。

ラブリ そう言ってもらえるとうれしい。私にとって「ことば」を作るのは、自分を確認するための作業。全部自分の中から生み出したものだから、リアルなんだと思う。

久志 作品づくりへのモチベーションってどこから湧いてくるの?

ラブリ モチベーションっていうか、自分自身を確認したいからかな。表現することによって「私は今ここに生きてるんだ」ってことをちゃんと確かめて発信したい。モデルとかタレントとかやってるけど、それはあくまで私の一部分でしかないのに、表面的なものだけがすべてだった思われちゃう。だから自分を守るためにやってる。

久志 本当の自分を忘れないため?

ラブリ 自分を保つためであり、自分への責任って感じかな。

小橋 今でこそ、そういう世界観を確立できてると思うけど、はじめはからかわれたりしなかった?なにクサいことしてんだよとか。特にSNSってなぜか文句言ってくる人がいたり、仲の良い友だちだからこそクスってされたりしなかった? 

ラブリ 最初はあったよ。「メンヘラ」って言われたり。でも、はじめは自分のために発信してたのが、ファンレターに私のことを「カワイイ」「キレイ」じゃなくて、「あなたの言葉を読んで変わることができました」って書いてあって。私のことをパーソナルな部分で好きになってくれてるって言うか。

小橋 確かにラブリちゃんのInstagramを見てると、ファンとすごく親密だもんね。最近、Webマガジンみたいなファンクラブも作ってたよね。いや、ファンクラブって感じでもないんだよな。

ラブリ そう。ファンクラブだとすごく浅く聞こえちゃう。

小橋 本当に家族みたいなんだよね。

高山 それってどんな活動してるの?

ラブリ 私がみんなの写真を撮る撮影会をやったりしてる。何のためかって言うと、私とあなたたちはみんなただの人間で、一緒なんだよってことを見せたいの。

小橋 タレントとファンだからって、特別な人とそうじゃない人って分けるのに違和感があるんだよね?

ラブリ そう。私とファンの子たちとの関係ってすごく不思議で。みんな人生相談とか恋愛相談とか、パーソナルな話をしてくれるの。

久志 なんでファンとそういう関係性を築こうと思ったの?

ラブリ 芸能の仕事って楽しいんだけど、あまりにも表面的すぎて。でも、自分よりカワイイ子もキレイな子もたくさんいるから、その中で自分の存在を確認するのってすごく難しかった。5年くらい前にテレビに出だしたときも、これって所詮1、2年しか続かないよなって。

そのとき、自分が何かとつながっていられる場所ってどこだろうって考えたとき、ファンの子たちとの関係性を深くしていけば、モデルとかタレントとかっていう肩書をなくしたとしてもつながっていられるんじゃないかなって思ったの。肩書を越えた関係性を深くして、みんなで成長していくかたちさえ確保できたら、私はちゃんと自分の存在を確認できるなって。

高山 じゃあ、もうどこに行っても怖くないね。

ラブリ そう、怖くない。

小橋 そういうことをしてきたからこそ、いまの新しいかたちがあるんだろうね。

ラブリ いつか、自分で自分のことがイヤになっちゃうんじゃないかなって思って。だったら、私は自分のことを利用しようって決めた。「ラブリ」って名前を最大限利用してできることは何かなって考えた。

久志 俺はさ「ラブリちゃん」じゃなくて「いずみちゃん」しか知らないじゃん。でも「ラブリちゃん」のファンの子たちも、本当に見てるのは「いずみちゃん」なんだね。だから「お姉ちゃん」とか「友だち」みたいに、すごく大切な存在だって思ってるんだね。

ラブリ 私とファンの子たちは「友だち」であって「姉妹」であって「家族」であってっていう関係。だからInstagramのコメントを見たら、その子の顔がちゃんと浮かぶの。

久志 それファンの子からしたら超うれしいよね。だって、憧れの人が「あっち側」じゃなくて「こっち側」にいるんだもん。いずみちゃんといずみちゃんのファンは、こうやって一緒に焚き火囲めるよ。

ラブリ そうなの。仕事のあと、外で待っててくれたファンに普通に「これからご飯行かない?」って誘われるもん。そのときは他に予定があったから断っちゃったんだけどね。

久志 それを言い合えるのがいいよね。信頼関係があるってことでしょ。

ラブリ 最近、上京してきたけど東京で働く勇気がないってファンの子に「私が働いてたバイト先で働けば?」って紹介したもん。

高山 もうそれ、友だちじゃん!

ラブリ そうしたらすぐ応募して面接して、もうそこで働くって言ってた。「ラブリちゃんの後輩として頑張ります!」って。

久志 それいいな。

高山 めっちゃいいよね。

小橋 もう友だちなんだよ。だから、もはや普通のことなんだよね。

ラブリ その子に伝えたのは、もし辞めたくなったとしても、私のことを思い出せば踏ん張れるんじゃないかって。私の存在が頑張る勇気になるんじゃないかなって。

小橋 逆に自分が相談することはないの?

ラブリ あるよ。「ことば」とかでさ、恋とか愛の話もするし、悲しいことがあったらそれが表れちゃうじゃない?そうすると、ファンの子に会ったとき「ラブちゃん最近なんかあった?」「なんかあったら言ってね」って。本当に友だちみたい。だから「最近うまくいってないんだよね」とかって普通に相談する。

小橋 ラブリちゃんのやってることは、個の時代で生きることの象徴みたいだよね。それにしても、こうやって焚き火を囲んでるとさ……。

ラブリ なんか話しちゃうね。

高山 ぜんぜん話し足りないよね。

小橋 しかもめっちゃ素じゃない?

ラブリ うん。素にさせられるね。

久志 どうだった?初めての焚き火は。

ラブリ 大人の焚き火は子どもの頃のものとはぜんぜん違うね。もうすでに、またやりたいもん。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。