「女の子だから学校に行けない」を 「女の子だから持ちたいバッグ」で救う。
ナイジェリアでは、たくさんの子どもたち、そのなかでもとくに女の子が学校に通えていない。理由は、幼くして強いられる結婚や労働、紛争など色々あるけど、家庭が抱える経済的な問題がメインだ。ファッションブランド「Olori」のHPによれば、学校に通えない女の子の割合は73%にものぼるらしい。
学校に通いたい。でもお金がなくて通えない。
このような状況で苦しんでいる、母国ナイジェリアの女の子を救うために、Tomide Aweさんは、先の「Olori」の立ち上げを決意した。
ハンドバッグで女の子を救う
決して裕福とは言えない家庭で生まれたAweさん。しかし彼女の両親は、家庭の大切なものを売り、資金を集め、彼女を必死の思いで学校に通わせてくれた。
大学に進学した彼女は、アメリカでMBAを取得したのち、あることを考えるようになった。
アフリカの教育問題を解決に導くようなビジネスを始めたい──。
そこで、Aweさんが目をつけたのはハンドバックだった。そのワケを彼女はこのように話している。
「女性はみんなハンドバッグを持っているでしょ?私は、ハンドバッグが女性を支えてくれる象徴のような存在になってほしいと思うの」
「Olori」は販売だけではなく、経済的理由で学校に通えない、アフリカの女の子たちを援助することも目的にしている。ハンドバッグが1つ売れるたびに、その収入の一部を少女の1ヶ月分の学費として寄付するのである。
2017年3月にブランドを立ち上げて以来、60ヶ月分の学費に相当する寄付金を集めている。つまり、約1年たらずで5人の女の子を学校に通わせることができた。今後は1年で100人ほどの女の子が学校に通えるよう資金を集めていく計画なんだとか。
「第3の魅力」
伝統色あふれる美しい織物
ハンドバックを買うことで、ナイジェリアで苦しむ女の子がいることをたくさんの人に知ってもらう。資金援助で教育を受けられるようにする。この2つのほかに、「Olori」にはもう1つの目的があった。
それは、「アフリカにおける織物の文化を世界に知ってもらいたい」という願いだ。
ナイジェリアの織物技術は高いそうで、伝統的な「アショオケ」は結婚式など特別なイベントで使わている。この織物は昔から男性によって作られていて、いまはそのルックスから、主に女性に向けにデザインされたものが市場に出されるそうだ。
アショオケは、「Olori」の商品の表と裏に使われていて、長い間受け継がれているこの色鮮やかな織物は、バンドバッグの魅力をより一層引き立てている。
故郷への思いから自身のブランドを立ち上げたAweさん。彼女には大きな夢がある。
「ハンドバッグを買うことで、他の女性たちに影響を与えられると信じている。Oloriがめざしているのは、アフリカだけではなく世界。みんなが、どこでも買えるようにしたいな」
だからこそ、「Olori」をもっと世界に知ってもらうために、今後は商品開発に力を注ぐらしい。ファストファッションや大量消費に目が行きがちなこの世の中で、どこか遠い国の子どもたちを笑顔に変えるような、そんなハンドバッグに注目するのも良いかもしれない。