「ジェンダー・ギャップ指数」118位の日本が本気で考えなくてはいけない「女の子のエンパワーメント」
去る10月11日が「国際ガールズ・デー」だったことをご存知だろうか?
国際NGO「プラン・インターナショナル」が行ったキャンペーン『Because I am a Girl』を発端に、2012年より10月11日は「国際ガールズ・デー」として国際連合に採択された。世界中の若い女性たちが直面する問題に取り組むことを訴えるために制定された記念日。
今年、日本でも女の子のエンパワーメントをテーマに「PLAN GIRLS MOVEMENT 2024〜私の声が未来をつくる」が開催された。
女の子のエンパワーメントを応援
「PLAN GIRLS MOVEMENT 2024」
当イベントを主催した「プラン・インターナショナル・ジャパン(以下、プラン)」は、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに活動している。特に、途上国において差別や偏見から機会を奪われている女の子の「生きていく力」を育むことに力を入れている。
プランとパートナー企業が協力してジェンダー平等の実現、とりわけ「女の子のエンパワーメント」サポートする活動として行われているPLAN MOVEMENTの一貫である当イベント。パートナー企業は、プランとの協力関係を通して、企業のブランディングやコミュニケーション、ビジネス機会創出といった領域で、多種多様なアプローチを行っている。
イベントでは、プランからCMO(チーフマーケティングオフィサー)小泉美礼氏、パートナー企業複数から各担当者が登壇したトークセッションや、女の子が日常生活のなかで勇気をもって“変化”をもたらし、経験などを表現した動画・エッセイコンテストにおいて優秀な成績を収めた参加者に表彰が行われた。
多様な業態が織りなすトークセッション
〜ジェンダー平等を当たり前の社会に〜
プラン小泉氏とパートナー企業によるトークセッションでは、各企業の担当者が女性のエンパワーメント施策について語った。セッションで紹介された各企業の取り組みや、“いま”を生きる女の子へのコメントを簡単に紹介したい。
パナソニックグループ:白鳥真衣子氏
社内にジェンダーや性といったテーマを積極的に扱う機会が足りないと考えた白鳥氏をはじめとしたメンバーによって社内副業として立ち上げられた「ふつう研究室」。多様性社会に溢れるさまざまな「ふつう」と向き合い、ソリューション提案、キュレーションを行うPanasonic Design内のDEI(Diversity, Equity, Inclusion)ストラテジーチームだ。
「#ThinkYourNormal」プロジェクトでは、ショートフィルムを通して、誰が決めたかわからない「ふつう」から、それぞれが心地よい「ふつう」を考えるきっかけを届ける試みがなされている。
株式会社ポーラ:後藤利佳子氏
ポーラはジェンダー平等を社会があたりまえとするはるか前、1937年から女性がセールスをリードするアイディアを実践してきた化粧品メーカー。「女やったら、あきませんか。」というパワフルなコピーを通して、女性の力、可能性を信じる企業としてのあり方を提示し続けている。
企業がもつ専門性を活かし、数多くのフェムケアプロジェクトに取り組むポーラは、「mamaniere」という産後ケアアプリも運営。ポーラ独自の肌のビッグデータを活用した顔分析技術を搭載し、産後の心身の状態がわかるような機能をもつ。
マクラーレン・オートモーティブ アジア日本オフィス:根岸美穂子氏
女の子のエンパワーメントを目指すうえで重要な要素として、将来設計が制限される要素を取り除くことは最重要項目の一つ。マクラーレンはペアレンツコミュニケーションに焦点を当て、「マクラーレンキッズエンジニアエクスペリエンス」と題し、小学生向けに、エンジニア体験イベントをプラントの協力のもと実施。
スーパーカーメーカーという、一見男性中心に思える業態でありながら、様々なロールに女性が関わっていることを社会に伝える努力をしているという。また、外資系企業ならではの男女の壁を感じにくい環境は働くうえでの魅力の一つと主張。
株式会社Waris:田中美和氏
第一次出産を経て4割近くの女性が離職するという現実を前に、Warisは女性の働き方の多様な選択肢を提供するキャリアプラットフォーム。ジェンダーバランスの適正化を目指す企業と、自分らしく働きたい女性たちを繋いでいる。
現在はベネッセグループとして、女性のキャリア支援をエージェントのみならずリスキリングの側面からも支えている。キャリアデザインにおいて、様々な領域を越境した経験を強みとして理解し、自信にしてほしいと田中氏は語った。
セッションは、「ジェンダー平等」を目指す活動が事業の主軸になる企業からそうでない企業まで、さまざまな形で女性の機会を創出することがあたりまえの社会になりつつあることを実感する内容だった。
個人の可能性、選択、権利を守ることは理想ではなく、あたりまえ。また、高齢化が進む日本において労働生産人口の減少は死活問題であり、女性就業率を下げないことは、社会全体として自らの首を締めないためにもあたりまえであるはずなのだが……。
日本は「ジェンダー・ギャップ指数」において世界118位。G7加盟国においては最低という現状だ。選択的夫婦別姓などあらゆるジェンダー平等にまつわる政治的意思決定のテンポも遅い日本。まだまだ、やれることしかないこの問題のステークホルダーは、国民全員なのではないだろうか。