「スコーン」と「ビスケット」の本当の違い、知ってた?
見た目は激似なのに、なぜやら呼称がちがう。たとえばホットケーキとパンケーキ、ウィンナーとソーセージ、しらたきと糸こんにゃく…。
一体どこに境界線が引かれているのだろうと気になっている最中、「Food52」のEmma Laperruqueさんが、自身のエピソードも交えて、「ビスケット」と「スコーン」の違いを紐解いてくれました!
調理法も材料もほぼ同じなのに?
私が20代前半のころ、ベーグル、スコーン、そしてビスケットにハマっていました。なぜベーグルが好きになったのかはさておき、今回は『スコーン」と「ビスケット」についてお話します!
①私のスコーン時代
スコットランドのエディンバラに3ヶ月間留学中、私はスコーンを見かけない瞬間がありませんでした(私がつねにスコーンを嗅ぎつけていたのかもしれませんが)。
私的に、イギリスのスコーンは背が高く、サクサクしていて、ハンサム。そして、何よりもサイズが大きい。ふわっふわの柔らかい生地には、噛みごたえのあるフルーツや、クセのあるチーズが隠れていて、それにジャムやクリームを塗りたくります。
②私のビスケット時代
ノースカロライナ州に3年半滞在中、私はベーカリーで働いていました。アメリカの南部では、ミモザが出されるブランチや深夜のドライブスルーなど、どこにでもビスケットがあるんです。まさにスコットランドのスコーンと同じ立ち位置。
ビスケットの生地には何も練りこまれておらず、どちらかといえばサンドイッチのよう。とは言え、サクサク、ふわふわ感はスコーンと一緒。固さと柔らかさの両方を持ち合わせているのも、たっぷりのバターが使われているのも同じ。でも、なぜか南部地方の人は、みんなスコーンをことごとく嫌うんです。じゃあそもそも、この2つの違いってなんなの?と私は疑問を抱くように。
レシピ本『The Joy of Cooking(料理をする喜び)』で調べてみると、ビスケットの項目には、なんと「スコーンを参照せよ」という文字が。この本の著者ですらスコーンを「スイートでリッチなビスケット」と描写しているんです! さらには、『How to Cook Everything(すべての調理法)』でも、「スコーンは非常に濃厚なビスケット」という記述が。
スコーンとビスケットは名前が違うだけで、じつは同じなのだろうか。
私は、その真相に迫りました。
〜本題〜
ビスケット vs スコーン
スコーンもビスケットも、実は調理法はまったく一緒。違いは"分量"ではないかと思い、『The Joy of Cooking』のレシピで比較してみました。
【小麦粉】
ビスケットもスコーンも同じ。1と3/4カップ。
【ベーキングパウダー&重曹】
ビスケット:ベーキングパウダー小さじ2と、重曹小さじ1/2。
スコーン:ベーキングパウダー小さじ2と1/4。重曹はなし。
→この違いは、混ぜ込む"液"の種類にあるようです。
【液】
ビスケット:ベーキングパウダーを活性化する酸性のバターミルクを1と3/4カップ。
スコーン:酸性ではなく、脂肪分が多いクリームを1/3カップ。
→つまりスコーンはビスケットに比べて"液"の量が少ないようです。
ですが、卵(大)はちゃっかり2個(1/3カップ相当)使用。
【バターと砂糖】
ビスケット:バターもしくはショートニングを大さじ4〜6杯。砂糖なし。
スコーン:バター大さじ8杯(ビスケットの約2倍)。砂糖は大さじ1。
【仕上げ】
ビスケット:溶かしたバターもしくはミルクを表面に塗る。
スコーン:卵に浸けてから、砂糖もしくは塩を振る。
【形】
ビスケット:「ビスケットカッター」で円状に。
スコーン:クラシックウエッジシェイプ(三角)、もしくは棒状(丸や四角を型どるスコーンもある)。
〜おさらい〜
ビスケットは脂肪分の種類や分量を調整できますが、スコーンはあまり調整がきかない模様。それから使われる"液"がそもそも違いましたね。さらには、スコーンはビスケットとは違って「砂糖と卵」を使用していました。加えて、スコーンは割とどんな形でもいけますが、ビスケットは円状のみ。最終的な仕上げの仕方も異なります。
この違いを知ると何が得か?このルールを知っていれば、型破りなことを試せちゃう!
ということで、早速応用編です。
〈応用編の6レシピ〉
01.
ビスケットを作るときの"脂肪分"を置き換えてみましょう。たとえば、バターをショートニング、ラード、もしくはベーコン脂肪に置き換えるなど。
02.
ビスケットがバターミルクを好むのは、酸性の乳製品だから。ならば類似の仲間も混ぜ込んじゃいましょう。たとえばプレーンのヨーグルトやクレーム・フレーシュなどがおすすめ。脂肪分の高いバターミルクを使ってみるのもいいでしょう。きっと味の違いがわかります。
03.
スコーンは、より濃厚なクリームを好みますよね。ならば、脂肪分の高いヨーグルトやクレーム・フレーシュを代用してみては?
(Claire Ptakさんも『The Violet Bakery Cookbook(ザ・ヴァイオレット・ベーカリー・クックブック)』に掲載されている「プルーンとオーツのスコーン」で試していますよ)
04.
はちみつやバターを添えて、お菓子としてビスケットを出す場合は、スコーンからインスピレーションを盗みましょう。砂糖を小さじ何杯か混ぜ込んで、上にはクリームを塗ってあげて(黄味とクリームを混ぜたものならなお◎)。それから砂糖を振りかけて、焼きましょう。
05.
ビスケットを偽ショートケーキに変身させたい場合は、既存のレシピに黄味を2つ追加して。
06.
ビスケットサンドイッチの具材を、スコーンの生地に混ぜ込んじゃいましょう。たとえばサイコロ状に切った燻製のハムにチェダーチーズ。もしくは、小さく砕いたソーセージにピメントチーズでも。
いろいろ試行錯誤して、自己流のレシピを見つけてみてくださいね。