「幸せそうなカップル」そう思ったあなたへの痛烈な皮肉

まずは、これを見て。

美しい写真には、ヒミツが。

美しいカップルの写真、と思いきや、彼らは赤の他人。左下に記されている時間の通り、ついさっき出会ったばかりなのだ。

これはフォトグラファーMarieさんの作品、「Lifeconstruction」。全く知らない人同士を、あたかも親密な関係であるかのように撮るシリーズ作品。

全ての参加者はマッチングアプリ「Tinder」で見つけている。

「好き勝手にスワイプして、依頼するの。向こう見ずな人や、実際に相手探しをしている人たちにね」

こちらもやっぱり他人同士の一枚。それを知りつつ見るだけでもオドロキだけど、「なぜこんな取り組みをしているの?」と聞いてみると、意外な答えが返ってきた。

ある意味、痛烈な「皮肉」。

「私は、リアルな感覚が大切だと思ってる。生身のものを実際に自分で探して、見つけて、それで自分自身を満たすことが肝心だって。

本当は遠く離れているのに、まるで近くに物事があるかのように装う電子スクリーンなんかは閉じて、手を差し伸べてリアルの何かを作り出すことが必要なの。

だから逆に、私はリアルを装うのがいかに簡単かってことを、みんなに気づかせようと思った。

ここにあるものはみんな嘘なの。表面だけのものを作るのはとても簡単。でも、もっと深いもの、本物が欲しいのなら、デバイスでのつながりなんか捨てて、実際に動かなきゃ」

こう答えられてドキっとしたの、私だけじゃないのでは。

これは、私たちが「表面上」のものだけを見るようになっていることを鋭く突いたメッセージだったんだな。

この写真たちは、ある意味、リアルに鈍くなった私たちに警鐘を鳴らす「美しい皮肉」とも言えるのかもしれない。

本物だけが欲しかった。

うわべだけの愛情、関係、ネットだけの繋がり、などなどライトな関係には困らなくなってきた現代。それで、こんな風に「一見、美しくて綺麗なもの」を作ることだってできる。

でも、それでいいの?本物じゃなくていいの?いや、そもそも「本物」ってなんだろう?「本物の愛情」「本物の関係」「本物の繋がり」ってなんだろう?それが何だかわからなくなってしまったまま、漠然と飢えてる人が増えているようにも思えるのは気のせい?

デバイスを指でなぞるだけで、関係は掃いて捨てるほど生まれる。

でも、それに対してこの写真たちは美しく疑問を呈している。

Licensed material used with permission by Marie Hyld, (Instagram)
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。