ロンドンで2日過ごしたら、LUSHは「化粧品ブランドじゃない」と悟った
色鮮やかな石鹸やバスボムが代名詞の化粧品ブランド。
「LUSH」をそう認知している人は少なくない。かくいう僕もその一人だった。
でも、“だった”と表現したのは、今はもうそれだけではなくなってしまったから。
間違いじゃないのだけれど、なんというか僕の中ではそんなシンプルなくくりでは収められなくなったのだ。
2月のロンドン。
たった2日間で、抱いていたLUSHのイメージは激変した。
異次元の「店長会議」
このたび参加する機会に恵まれたのは「Lush Summit 2018」。同ブランドにおいては、いわゆる“店長会議”としての機能を果たしているらしい。
そう聞くと、世界中から集まったストアマネージャーたちが各自の売り上げ達成度や成長戦略、そんな類のものを報告し合う場だろうと思うはず。
否。
部外者の僕がお呼ばれするのだから、そんなはずもない。
迎えたイベント当日。
会場では、LUSHの関係者だけではなく世界中の活動家や団体など、計3,000人以上が一堂に会した。
2日間にわたって開催されたサミットの目的は、同ブランドが商品を製造するうえで直面しているあらゆる社会問題を発信すること。そして、受け手がインスピレーションを感じ、理解し、解決へ向けたアクションへと繋げることだったのだ。
メインステージでは、ゲストスピーカーの講演やパネルディスカッションが。
大中小さまざまな大きさのブースでは、森林や動物の権利保護、密漁、ジェンダーの平等、先住民の権利など多岐にわたるイシューが語られていた。
特筆すべきは、それらの問題の解決策に、何らかのかたちでLUSHの商品が関わっていることだろう。
例えばこの「スマトラ シャンプーバー」は、インドネシア・スマトラ島の森と動物たちを保護するための商品。
この島では、化粧品の原料となるパーム油を手に入れるため違法な森林伐採が続いており、絶滅危惧種スマトラオランウータンなどが住処を奪われているという。
そこでLUSHは、パーム油不使用でこのシャンプーバーを製造。チャリティー商品として販売し、消費税を除く売上の全額が森林保護団体へ寄付され、東京ドーム約10個分という広大な土地購入に充てられる。
さらには、原材料もそこで育てると同時に、持続的に現地コミュニティの人々と付き合い、一緒になって元の生態系が整う森林に再生させることを目指すのだ。
メインステージのスクリーンには、商品化を目指すメンバーの奮闘の記録が流された。
ここでは書ききれないが、「スマトラ シャンプーバー」のような事例は数多い。
ふだん僕たちが店頭で目にするカラフルな陳列の裏側には、何らかのイシューの存在とその解決を願う人たちの想いがある。そんなことを教えられた2日間だった。
だからこそ今の僕は、LUSHを“社会変革者”のような存在としてとらえている。その手段として化粧品がある、くらいに思っている。彼らの信念、取り組みの本気度を目の当たりにすると、そう思わざるを得ない。
ブランドや価格、品質だけをモノを買う基準にするのではなく、地球環境や社会に配慮しているかどうかまで考慮する「エシカル消費」なんて言葉が浸透しつつある現代。
そのムーブメントを牽引する存在のひとつが、LUSHであることは間違いない。