森の木を切る。そんな「絶滅危惧種」の守り方

なにかとネガティブな文脈で語られることの多いことばだろう。

森林伐採。

僕自身、耳にするたび反射的に負のイメージを抱いていた。尊い自然が、ひたすらに人間の手によって失われていくような。

でも、その行為すべてをひとまとめにして考えるのはナンセンスかもしれない。

世の中には「ポジティブな伐採」だってある

まずは、「前向きな伐採」を語るうえで欠かせない、ある絶滅危惧種の説明を。

イヌワシは日本に暮らしている猛禽類で、翼を広げると2メートルにもなる日本でもっとも大きな鳥の一種。うさぎやヘビなどを好んで食べ、生態系の頂点とされている。

「イヌワシが暮らす森は、生物多様性が豊かな証拠」

そんな存在として扱われることも多いが、今となっては日本国内に500羽程度しかいない。

この状況を改善すべく活動を始めたのが、日本自然保護協会という公益財団法人。林野庁や地域市民と協力し、群馬県みなかみ町の赤谷の森でプロジェクトをおこなっている。

1万ヘクタールという山手線内側の面積の約1.6倍に相当する広大な森。ここには、雄雌のイヌワシ一羽ずつが暮らしている(逆にいうと一組が生活するのに、これくらいの広さが必要となる)が、同プロジェクトで取り組んだのは「木を切ること」だった——。

「森林大国」と呼ばれる日本ではあるが、だからといってそれは「自然が豊か」であることと同義ではない。

実は森林面積のうちの約40%は自然に生まれたものではなく、人間の手によって作られた森。当然、適切な管理がなされなければ、荒れ果てたものになってしまう。

太陽の光が十分に届かない。木はやせ細ってしまう。草も生えない。こうした森は、イヌワシのエサとなる動物たちにとっても住みやすいものではない。

加えて、仮にエサとなる動物を見つけたとしても獲りづらい。スギなどの人工林は密度が高く冬になっても葉が落ちないため、翼を広げると2メートルにもなるイヌワシが林内に降りることができないのだ。

だからこそ、まずは密集した人工林の一部を伐採することで狩り場を創出。さらに、自然の復元力により広葉樹などの進入を促し、本来の多様な樹種からなる自然林に誘導する試みにも取り組んでいる。

こうした活動の甲斐もあり、早速イヌワシがハンティングをしようと森の上空に現れた映像を記録することができただけでなく、7年ぶりの子育てにも成功したという。

こうした人工林は、急増した木材需要に対応すべく、政府が進めた拡大造林政策によって植えられたもの。

しかし、次第に海外から安い木材が輸入されるようになり、植えたはいいものの価値を見出すことができなくなった。切り出すだけで膨大なコストがかかり、しかも売れないという二重苦から、管理が行き届いていないのが実情のようだ。

そのような中、プロジェクトをサポートしたのが化粧品ブランド「LUSH」。切り出した木の一部を使って、ギフトアイテム用の包装紙、その名も「イヌワシペーパー」を作り上げた。

「どれだけコストがかかろうと、LUSHはイヌワシが暮らしていける豊かな森こそに価値を感じてくれました。取り組みはまだ始まったばかりで困難も多いですが、日本のスタンダードにしていきたいと思っています」

日本自然保護協会・岩橋大悟氏は同ブランドのサポートに対して、そう感謝の意を述べている。

この「イヌワシペーパー」は、日本全国の約90店舗およびオンラインストアで、今年2月から販売された4種類のギフトラッピング用包装紙として使用されているとのこと。

僕が「LUSHは化粧品ブランドじゃない」と悟ったキッカケのひとつに、こうした活動があったわけだ。

Licensed material used with permission by LUSH
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