女子がお風呂場にこっそり忍ばせるもの…
先日、同じ部署の女の子たちがお昼休みに盛り上がっていた。
なにかと思ってさりげなく輪の中に入ってみると、彼女たちが話していたのは「サウナ」。
(サ、サウナ…?)
きっと彼氏や社内の噂でもしているのだろうとばかり思っていたので、正直驚いた。
確かに、最近メディアなどでその名を見聞きすることが増えた。けれど、いまいちピンとこなかった私は、トレンドに敏感な同期のマリコに聞いてみることにした。
「サウナ?もちろん行ってるよ」
「えっ、そうなの?」
私はキツネにつままれたような顔をしてマリコを見た。だって、ほぼ毎日顔を合わせているのに、彼女の口からその言葉を聞くのは初めてだったから。
「なに驚いた顔して(笑)」
マリコは驚く私の顔を見て笑うと、サウナの良さを語りはじめた。まず、サウナに入り水風呂へ。そのあと外気浴をする。これをくり返していくと、「ととのう」という感覚を得られるそう。
リフレッシュができて、気持ちよくて、気づいたらサウナ通いがやめられなくなっているんだとか。
「そうだったんだ…」
週末は、もっぱら友達と飲みに行っている私は、いつの間にか人に語れる趣味を見つけていたマリコがすこし羨ましかった。しかも、二日酔いになることもある飲み会と違って、マリコの趣味は心身ともにリフレッシュできること。
「サウナの中ではどうやって過ごしてるの?」
これまで聞いたことがなかったマリコの話に、いつの間にか興味をもっている自分がいた。頭のなかでは、(もし自分が行ったら…)なんてことを考えはじめていた。
「そうね…」
すこし考え込む仕草を見せたあと、マリコは最近、お気に入りのアロマオイルをフェイスタオルにたらして、サウナの中で顔にのせてゆっくりすることが好きなのだと教えてくれた。
「すっごくリラックスできるんだよね。タオルにすこしつけるだけだから、他の人の迷惑にもならないし。自分だけの空間をもてている感じがして良いの」
「へー!なるほど。いいね」
アロマオイルって、小さい瓶とかでよく売ってるから、出先でお気に入りの香りを見つけるとついつい買ってしまう。でも、意外と使い切ることってすくなかったり。気づいたら、使いかけのものが溜まっていたりするのだ。
「もうそろそろGWで旅行にいくだろうし、まずは自宅でそれっぽいことを始めてみたら?レイカ、面倒くさがりだし。まずは自分にあう方法で始めてみるといいかもね」
「そうだね、ありがとう」
*
あの後、自宅で何度かアロマ蒸しタオルを試してみた。
今日は何にしようかなと考えながら、毎回、その時の気分で香りを変えてお風呂につかっていると、以前よりぐっすり眠れるようになった気がする。
(人の好きなことを、自分なりに取り入れてやってみるのっていいかも)そんなことを考えながら、なんだか得した気分で霧に覆われた浴室の天井を見あげた。
今度は、近所にあるサウナにも行ってみようっと。