エロに洒落をきかせるって、究極的なエンタメです。峰 なゆかインタビュー

「エロ」は、人々の妄想を掻き立てるもの。

そこに宿るファンタジー性は、人間の可能性を切り拓く創造力、そして想像力を大きく高めてくれる大切な要素なはずです。この特集では、エロスとファンタジーの密接な関係について、様々な舞台で活躍する「表現者」にオープンマインドで語っていただきます。

第3弾は、漫画家・峰 なゆか(みね なゆか)さん。恋愛もセックスも赤裸々に描く、彼女のなかにある「エロス」の原動力とは。多くの読者の共感を呼ぶ、「性」の代弁者の本音に迫ります。

峰 なゆか

漫画家。アラサー世代の恋愛観やセックス観を冷静かつ的確に分析した作風が共感を呼んでいる。代表作『アラサーちゃん 無修正』は、累計50万部を超えるベストセラーに。

出会った人たちを
パターンで分類してしまう癖

──漫画制作以外もテレビ出演や講演など、多忙な峰さんですが、主にどういったテーマが多いですか?

 

恋愛とか女同士の友情を、峰さんなりのうがった視点で「ズバッと切ってください」というのがほとんどですね。やっぱり『アラサーちゃん』のイメージが強いんだと思います。

 

──「モテと自我の間で立ち位置を決めかねている、アラサー世代の主人公(巨乳)」。アラサーちゃんって、やっぱり峰さん自身を描いたもの?

 

よく聞かれるんですが、違います。私のイメージする“理想の女の子像”を描いているのがアラサーちゃんですね。

 

──理想とする女性像とは、具体的にどういう女性?

 

自分に正直で言いたいことはズバズバ言う、みたいな。なるべく理想の姿に近づくように自分自身が努力しているので、ちょっとずつアラサーちゃんに近づいてくるという部分はあると思います。

 

──登場人物たちのキャラ設定がとにかく秀逸ですよね。彼らのペルソナを立てていくとき、そこに妄想が働いたりします?

 

私、小さい頃からある癖があって。すぐ人のことをパターン分けしちゃうんです。以前キャバクラで働いていた時期があるんですが、そこでも来てくれるお客さんをいくつかのペルソナに分けていました。

例えば、Aパターンは闇金で働いている感じのオラオラ系。Bパターンは普通のサラリーマンでキャバ嬢にハマっちゃって、借金してでも通ってくるタイプ。Cパターンはちょっとお金に余裕があって、恋愛感情とかカラダ目的じゃなく、友だちっぽいキャバ嬢を求めてきている男性。こんな感じで接客している間も、頭の中では分類が始まるんです。

 

──つまり、妄想の中でのパターン分けですよね?

 

そう。私、日常の中でもめっちゃしてるんですよ。出会った人たちをすぐに「はい、このパターンね」みたいに。そうやって人間を分類していくことで、作品にも登場するゆるふわちゃんや非モテちゃんが生まれたり、大衆君を完成させました。

 

──おもしろい!分類の仕方は第一印象で決まるもの?それともある程度、人間性が見えてきてから?

 

もう速攻ですね。2回くらい会えば。頭の中でパターン化が始まっちゃいます。あまり深く知るよりも、直感くらいの方が大別には向いていますから。

インテリ層の下ネタは
谷崎 潤一郎作品にからめて話す

──人間観察でパターン化した登場人物のキャラ設定。これならネタに困るようなこともないでしょうね。

 

いやいやいや、連載の1回目からネタに困ってますってば。「もうネタがない〜!」って、最初っから編集者に嘆いてますよ。

 

──めちゃくちゃ意外でした。泉のように湧いてくるものかと。ネタがないとき情報収集はどうするんですか?

 

とりあえず飲み会に参加するようにしています。新しい発見を求めて。最近もあるインテリ層の人たちとの会に参加したんですが、彼らずっと下ネタを谷崎 潤一郎の作品とからめて話すんですよ。小説『卍』はどうエロいだとか。

 

──メタファーを使ってくるわけだ。

 

そう、そのくせ自分のプライベートな話は一切しないんですよね。話が漏れていくのが怖いのか、プライドが高いのかなんなのか知りませんけど。かといって、下ネタに加わらないのも男らしくない、みたいな格好するんですよ。それでちょっとフェミニンに見えるエロで女性の共感を得ようとしたり。そういうヤラシイ引き出しを持ってました。

 

──ネタとしては、収穫あり?

 

普通の会社員と飲み会しても、やっぱり想像以上の話はあまり出てきませんからね。だから、なるべく風変わりなコミュニティとの交流を通して情報収集をしています。先のインテリ男の話は、4コマのなかで文系君にさせたりして。

 

──ネタ収集にSNSを利用することは? Twitterでのつぶやきに対するリツイートなんて、ネタの宝庫のようにも思えるのですが。

 

ネタを思いついたとき、4コマにするほどでもないかも、みたいなものもやっぱりあるんですね。いわゆるボツネタです。それをTwitter投稿してみると、意外と反響が大きくて何千リツイートされることがあったりして。あとあと4コマにしたりもしています。

「性教育本」のつもりで描いてます。

©扶桑社 / 峰なゆか

──「だよね〜」とか「わかる〜」といった、誰もが共感できる要素が散りばめられているのが『アラサーちゃん』だと思うのですが、普段からどういったことを意識しているんでしょう。マス受けしそうだとか、ニッチなところに刺さりそうって、わかるもの?

 

私、あるあるネタを描いているように思われるんですが、日常の生活を振り返ると、他人に共感されないことの方が多いんですよ。自分本位な意見を4コマにしているだけなので、こんなの共感できる?っていう方が多いかも。

最近は、別にみんなに受け入れられなくてもいいとさえ思っているくらい。いいんですよ。わかる人にはわかるくらいでも。

 

──世の中、気づいていても言えなかったり、心のどこかでくすぶっている想い。それを代弁してくれているのがアラサーちゃんなんじゃないでしょうか。

 

セックスの描写において、女子がダメ出しするような作風は過去にもありますが、前戯が短いのがイヤだ、みたいな定番文句がほとんどでした。ことエロに関するネタで言えば、ここまでニッチでディテールを描写する人って、あまりいなかったと思うんです。違う意味で生々しいという。

 

──いわゆる「生々しい」というのは、これまで、同人誌やレディースコミックの中にある肉感的な描写ですよね。けれど峰さんの描く生々しさは一味違う。もっとこう、性に対する男女の根源的な欲求に近い。そういった意味で、新しいジャンルを切り開いたのが『アラサーちゃん』なんじゃないかと。

 

下ネタを描かない漫画家さんって多いんですよ。「なんで描かないんですか?」ってよく聞くんですけど、この人が下ネタ描いたらめっちゃ面白いだろうなって思う人に限って「漫画でそれはズルい気がする」とかいうんですよね〜。

下ネタで笑いをとるのは邪道とかって言われたりして、頭にきちゃいました。多分、自信ないんだと思う。自分の性に対して。

 

──性癖をさらけ出す感覚に近いということでしょうか。それが作品の中でも、性に対する後ろめたさになって現れていたりする、とか。

 

それでいうと、私は元プロ( AV女優)だったっていうことが強みですよね。間違っている訳ないじゃん、プロの意見なんだから。そう思いません? 一般人女性が描いても個人の主観や統計に過ぎないことでも、説得力があるじゃないですか(笑)、どうしても私の場合。

 

──逆にどうして峰さんは、「性」を題材として扱おうと思ったんです?

 

エロで押し出したいっていうよりも、啓蒙活動というか、性教育……本?みたいなものになって欲しかった。だって世の中、間違った情報だらけなんですもん。一般的なハウツー本って、書いてあることおかしくないですか?

 

──そこ、もう少し詳しく教えてください。

 

男の人って、数値化したり命名するの好きですよね。「女性の背中を撫でるときは秒速7センチで」とか。キスとかもいろんな言い方するじゃないですか。必殺技みたいでおかしくって。『アラサーちゃん』でも、童貞がやたらと歯ぐきの裏を舐めてくるみたいなのを描いたんですけど、「それねー」とか「わかる」って女性の意見を多くいただきました。

だけど言っていいですか?こういうの、女からしたら全部イヤだから。

 

──経験はないのに、知識だけはインプットされまくってる男が多いってこと?

 

そう、そんな印象。だってキスにおいて大切なのは、単純に緊張を解きほぐしたり、舌を柔らかくするっていう目的ですよ。ヘンな必殺技なんて要らないのに、どこにこだわり持ってるんだか。セックスで間違ったことをされると「おおっ、ネタがきたきた!」なんて、最近はヘンな喜びさえ感じるようになってきちゃって〜(笑)。

だから作品には、そういうのも含めてきちんとしたセックスだったり、女性視点の意見をしっかり入れるように心がけています。そういう意味での、性教育本ですね。

カップルなのに性器の呼称すら
口にできないのは不健全

──峰さんの世界観って女性だけじゃなく、男性にも共感(というか痛感)する部分がある。誰にでもある性に対する「省みる点」とでもいったような。

 

自分が女なので、どうしても女性サイドの意見が多くなってしまうけど、なるべく男性側の感覚も描くように努めていますから。

 

──的確に分析した上でのリアルな男女関係が表現されているように思います。

 

私が最後までこだわったのは、漫画の中で男女の性器に“伏せ字”を使わないでってことです。

 

──ファ◯クみたいなことですよね。

 

『アラサーちゃん』がスタートする前、編集部でこれをどう表記するかについて、かなり編集会議が持たれました。

 

──最終的にそこは勝ち取ったわけだ。以前にも、こうした「性器の呼称を自然に言える社会の方が健全じゃないか」といったお話をされていますよね。そう考える理由は?

 

いや、ハタチ前は私も絶対言えなかった。AV女優になって仕事の話をしなければいけないときに、そこを恥ずかしがっていては何も仕事が進みません。これ、AVの現場だからっていうんじゃありません。口にすることを恥ずかしがっていて、カップル同士でどうやってセックスするんですか。

よく仕事で、性に対するお悩み相談を受ける機会が多いんですが、世の中の人のセックスに対する不満をよく聞けば、そんなのお互いに話せば解決するじゃん、っていうことが本当に多くて。

「強くされたら痛い」とか「もっとこうして欲しい」をきちんと話せばいいのに、結局そういう話さえできない。要するに、これって恥ずかしがって性器の呼称すら口にしないところから原因がきていると思いません?

不健全じゃないですか。

エロに明るさを求めるオトコ
オンナは比較的、根暗が好み

──どうしてこの不健全な風潮に向かってしまったんでしょう。それこそ江戸の時代は国芳や北斎らが春画を描き、浮世絵の1ジャンルでしたよね。これを「バカだなぁ」なんてきっと言いながら見ていたろうから春画は「笑い絵」とも呼ばれてた訳で。なんかそういったエンタメ的要素がもう今はない?

 

いやいや、まだまだ健在だと思いますよ。AVでもパッケージやタイトルにやたらとダジャレ入れ込んでくるし。男の人ってエンタメ要素好きですよねぇ。時間が止まるAVとか、もうオモシロじゃないですか(笑)。それこそエロにファンタジーを求めているというか、洒落をきかせるって、究極的なエンタメだと思うけどなあ。

 

──こういうファンタジーを女性視点でどう捉えています?

 

どちらかというと女性の方が暗いエロを求めているように感じますね。何かのランキングで見たんですが、AVの人気ジャンルで男性は「巨乳もの」や「熟女もの」がランクインするのに、女性の2番目は「痴漢もの」ですよ。実生活でそんなのされたらたまったもんじゃないはずなのに。

でも、これもわかるような気がして。やっぱり女性の方がエロに対して抵抗感が強いからだと思う。自分からガツガツ行くことに恥じらいもあるし、心のどこかで自制心が働く。だから、男性ほど楽しく明るいエロには夢中にならないんだと思う。

ちょっとあるじゃないですか、強引さとか、無理やり、みたいなシチュエーションに熱くなる感覚。

 

──妄想の極みじゃないですか。

 

つまり、エロなんてはしたない!みたいな自制心と、自分の性欲がちょうど合致するポイントが「痴漢もの」なんだと、勝手に私は分析しています。レディコミで多いのも、やっぱりイケメンが強引に(無理やり)求めてくるっていう想定ですからね。

喩えるならフィギュアスケート
それが私の中の「エロ」

──そんな峰さんが抱く「エロ」に対するイメージってどんなものですか?

 

うーん………(だいぶ間をおいて)私が唯一、積極的にするスポーツかな。

 

──なるほど、ジャンルで言うと何系のスポーツ?

 

対戦とか、対決とかではないんですよね。あ、フィギュアスケートがいちばん近いと思う。それもペア。今日は得点高かったね、シンクロしてたよね、みたいな(笑)。

 

──それでいうと、フィギュアには魅せる美しさが伴いますよね。「エロ」の中にもこうした「美しさ」が内包されていると?

 

どうなんだろう、女性誌の特集でよく「セックスできれいになる」みたいなのがありますけど、どこかでエロに対する罪悪感に裏打ちされているような気もします。なにか言い訳をつくって、セックスに対して能動的になろうという方便に聞こえてしまう。あまりエロとビューティーを一緒には考えないタイプかも。

男の人がセックスしているときの「顔がボケーとしている問題」ってあるじゃないですか。二人でしているのに勝手に自分の世界に入っちゃってるような。ああいうの見ちゃうと、そこに「美しさ」を意識するなんてムリ(笑)。

Top image: © YUJI IMAI

 

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