迷っているあなたの背中を、スッと押してくれる「5つのストーリー」

—— 人生には、無限の可能性がある。

小さい頃からそんな風に教わってきたけど、実際は自分の進路や仕事も「限られた枠」のなかから選びがちだ。しかし、ここで読んでいただくのは、人生におけるさまざまな選択を、既成概念に囚われることなく打ち壊してきた、5人のリアルなストーリー。そこには、5者5様の人生を自分らしく楽しむヒントが詰まっている。

新しく立ち上がった「LIFULL STORIES」というメディアから、その一部を抜粋して紹介したい。

01.
店を構えない「料理人」
新しい食のアプローチを切り開く田村浩二

©2018 LIFULL STORIES

2017年、オープンからわずか2ヶ月という世界最短でミシュラン1つ星を獲得したフレンチレストラン「TIRPSE(ティルプス)」の元シェフ、田村浩二さん。料理人として数々の受賞経歴があるにもかかわらず、彼はいま、あえてレストランからは距離を置き、フリーランスの道をゆく。

—— 料理人はお店を構えなきゃいけない、のか?

「実際に生産者を訪ねたことで、良い食材が多く世にでていない現状など第一次産業の課題が見えてきたんです。それと同時に、料理人だったらこの問題を解決できると感じました。僕たちは食材がなくなってしまったら料理ができない。生産者の方たちが前に出ることで、消費者の意識も高まるので、そうなるためには僕たち料理人が発信をすることが、一番説得力があるのではと思いました」

生産者の思いを消費者へ届けるのには、お店を持つことだけが正解ではない。

「料理人って自分のお店を持ってオーナーシェフになるという道に向かっている方が多いと思うのですが、そうではない生き方もあるということを、僕は下の世代にも知ってほしい。上の世代の方も、王道を通り、賞を取ってきた料理人が現場を変えたら、時代が変わったのかなと思ってくれると思うんです。そう思わせる人が必要だと思ったので、僕がやろうと。これを実現させることで、上世代も下世代も料理人としての見方が今までと変わると思います。スタイルにとらわれていては、僕がやりたいことは実現しないんです」

料理人として、自分だけのスタイルを確立する田村さんの、新しい食へのアプローチは、さまざまな人に “気づき” をもたらしている。

02.
「車椅子ダンサー」にしかできないこと
障がい者の壁を打ち破ったかんばらけんた

©2018 LIFULL STORIES

2016年、リオデジャネイロパラリンピックの閉会式にも出演した、車椅子ダンサーのかんばらけんたさん。先天性二分脊椎症という重度の障がいを持ちながらも、彼はこう語る。

「障がいを受け入れるタイミングや形は、人それぞれ。歩けないことにこだわりすぎて暗く暮らすより、障がいがあっても楽しく、幸せに生活するほうがいい。それが、僕が選んだ障がいとの付き合い方の形です」

すっかり受けいれているがゆえに、かんばらさんのマインドはとてもシンプルだ。

「 “車椅子だから踊れない” という感覚がないんです」

踊れるのは当たり前。さらにその先の、自分だけにしかできないダンスを求めている。

「車椅子で踊ると、観る人のハードルが下がるんですよ。たいして踊れてなくても『感動した』って言われるんです。でも、僕は『車椅子で踊れるなんてすごい』というところは目指してなくて、僕にしかできないダンスを踊りたい」

そして、より多くの人に届けるため、公園や美術館、駅などでパフォーマンスができる大道芸のライセンスを取得した。目下の目標は、世界が注目する東京オリンピックの開会式や閉会式への出演だという。パラリンピックではない。

「それができるかどうかわからないけど、“パラリンピック” と自分で枠を作ってしまわず、むしろ、どんどん枠から飛び出していきたいですね」

03.
「日本人だから」という枠は存在しない
海外挑戦をあきらめなかった長友佑都

©2018 LIFULL STORIES

2018 サッカーロシアW杯での活躍も記憶に新しい、長友佑都さん。体格差をものともせず、世界最高峰リーグのひとつ、イタリア・セリエAで7年もの間プレーし、「日本人は世界に敵わない」という既成概念をぶち壊したアスリートだ。2018年はトルコの名門ガラタサライに拠点を移し、世界の舞台で挑み続けている。

しかし、世界のトップレベルを前に、当初は不安や恐怖心があったのでは?

「まったくなかったですね。僕には、世界のどの選手よりもトレーニングして、誰にも負けない身体を作ってきた自信があったから、日本を発つ時は、『見せてやるぞ』としか思っていませんでした

さらに、こう続ける。

「僕の中には、日本人だからという枠自体が存在してないんですよね。日本人もイタリア人も、他のどの国の出身であっても、同じ人間。海外の選手が世界で成功できて、日本人にできないわけがないんですよ。どの国にも万能なスーパーマンはいないし、同じ人間同士が戦って、勝つか負けるかの世界というだけのこと。それは、サッカーの世界に限らず、どんな仕事に就いている人にとっても同じだと思います」

長友さんは、自身の息子への思いと重ねながら、海外に出るのを躊躇している人に、一歩踏み出す勇気を持ってほしいと語る。失敗も挫折も、大きな人生の財産になる、と。

「挑戦には失敗がつきまといます。おそらく、失敗の数だったら誰よりも多いんじゃないかな。でも、やっぱり成長したいんですよ。だから、僕はどんな壁も恐れず、挑戦し続けたいんです」

04.
「地方でしか実践できないものもある」
離島からファッションを生み出す是枝麻紗美

©2018 LIFULL STORIES

12年間にわたり、東京でトップスタイリストとして活躍してきた是枝麻紗美さんは、33歳のときに仕事をすべて終了させ、沖縄県の伊良部島へ移住。

現在は、伊平屋島に住みながら、アトリエ「種水土花(シュミドカ)」を主宰し、地方でしか生み出せないファッションと関わり続けている。

「『BARFOUT!』(ブラウンズ・ブックス)という雑誌が創刊した時の言葉 “THINKING GLOBAL, ACTING LOCAL” が好きで、今でも頭の片隅に入れています。『グローバルに思考したことを、身の回りで実践する』という意味ですね」

「種水土花」と名付けた本格的なアトリエでは、沖縄の自生植物を使った民具を扱っている。沖縄県内各地での展示販売はもちろん、日本全国のショップやイベントでも人気だ。

伝統的な民具を現代の生活にもマッチするよう、試行錯誤を重ねて作られたデザインは、今では感度の高い女性客を中心に人気を博し、離島から生まれたファッションが確かに広がっている。

「『都心じゃなきゃできない』ではなく、今までの経験を生かして地方で実践することが重要だと思います」

05.
「日本人であることは、アドバンテージ」
映画の世界に音で彩りを加える山本友樹

©2018 LIFULL STORIES

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(ワーナー・ブラザース)や『わたしを離さないで』(20世紀フォックス)など、多くの映画作品の音楽を手掛ける山本友樹さん。イギリス・ロンドン市内から西におよそ25kmに位置する街、バッキンガムシャー州にスタジオを構え、世界中で愛されている作品に “音” という命を吹き込んでいる。

「僕は英国に移住し29年になります。その中で、『日本人の音楽が世界に通用しない』と思ったことは無いです。むしろ日本人であることは世界ではアドバンテージになり得る」

山本さんのマインドは、世界への挑戦! という考え方とは少し異なり、日本人は世界の中でとてもユニークな立ち位置にいる、というものだ。

「英国に約30年住んで、欧米の仕事をし、トルコ映画の曲を書いたり、カタールで指揮したりしてきました。そして気づいたのは、日本人は例えば中東あたりの人々からは『同じアジア人』と思われている。それに、ヨーロッパでは日本人に対する信頼度はとても高い。日本人の一つ一つの仕事に取り組む姿勢、そしてやってもらった仕事に対してきちんとお礼や対価を支払うスピードの速さ(笑)。こんなに信頼関係を築ける人種はいません。日本人って、相手がなに人だろうとうまくやっていけちゃうんです。日本人は世界の中でとても優位でユニークな立ち位置にいるんです。これを仕事に生かさ無い手はないじゃないですか」

山本さんが願うのは、そういった日本人の独自性を、グローバルなニーズに合わせること。

「恵まれた日本の環境は素晴らしいですし、独自のものが生まれるのは一つの文化。ですが、ズレが大きくなりすぎると日本人自身が『自分たちは世界では通用しない』という間違ったコンプレックスを持ってしまう。それこそが問題だと思います」

自らのユニークさを認識し、チャレンジする。それが人生の「枠」を打ち壊すヒントになるのかもしれない。

自分らしく生きるあなたの
背中をスッと押してくれる

人生は、僕らが思う以上に「可能性」と「多様性」に溢れている。

「しなきゃ、なんてない。」をコンセプトに掲げる「LIFULL STORIES」は、自由に選択肢を広げようとする人たちに寄り添い、応援してくれるメディアだ。運営しているのは、住宅不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」などを手がける「LIFULL」。その社名が、LIFEとFULLを組み合わせた造語に由来していることは、ご存知の方も多いかもしれない。

©2018 LIFULL STORIES

LIFULL STORIES」では、今後もさまざまなストーリーがアップされていくという。大きな壁にぶつかりながらも、全力で自分らしく生き抜いている人たちの言葉に、きっとあなたも勇気づけられる。

Top image: © 2018 LIFULL STORIES