「Blanche Market」オーナー&ディレクターに26歳の等身大をインタビュー

 

今、SNSを中心に注目を集める「Blanche Market(ブロンシュマーケット)」。オーナーのYuriちゃんとディレクターのMichelちゃんの2人で運営する、実店舗を持たない移動式のヴィンテージショップです。

彼女たちは26歳で私と同じ年齢。気品とぬけ感がミックスしたヨーロッパテイストなファッションセンスはもちろん抜群に素敵。だけど、そこだけじゃなく人柄からファンになるお客さんが多いとの噂を聞いて、いつもどんなことをして、どんなことを考えているんだろう?と日常が気になっていました。

初めてのファンミーティングを池尻大橋の「BPM」で開催するというのでインタビューを決行。等身大のすがたをさぐってみました。

 

──「Blanche Market」のはじまりは?


Yuri:
私自身「30歳くらいで古着の販売をしたい」って漠然と考えてたんですね。どういう風に形にして運営するかまではさておいて。Michelはお店のブランディングとかPRに興味があったから、「じゃあ一緒に何かやってみる?」みたいな流れではじめました。


Michel:
私がちょっとだけSNSのフォロワーが多かったから、初めて出店する時に興味を持ってくれる人がちょっとだけいて、その人たちが拡散してくれたお陰で「Blanche Market」の認知度が上がって、どんどんお得意様が増えていきました。

 

©Blanche Market

 

──ヨーロッパでの買い付けにこだわる理由は?


Yuri:2週間くらい滞在するから、単純に好きな国じゃないとテンション上がんないんです(笑)。学生時代ヨーロッパで生活してたのもあるんですけど、雰囲気とか空気感がすごく合う。他の国では味わえない何かがちゃんとそこにはあって、すごく好き。言葉で「これです」とはうまく言えないです。それこそ、陸続きですぐいろんなところへ行けるのもひとつの魅力だと思う。

ヨーロッパを極めたら、東南アジアとかどこかに拡げてくかも。


Michel:パリとかベルギーとかいろいろ行くんですけど、そこで生活してるだけで楽しい(笑)。自分たちがテンション上がるところで買わないと売れないと思っていて。楽しんでセレクトしてるかどうかってお客さんにも伝わる気がするんです。


──2人の役割分担は?


Michel:
Yuriは経営と顧客管理をやってて、バイイングとか企画の進行は全部2人で話し合って決めてます。Instagramで発信したり外に出て行ったりっていうPRと企画立案は私がやってます。

Yuriは管理の仕事が得意で、例えば初めて来たお客様の顔も名前も、会話の内容までしっかり覚えてるんです。何を買ったかまでも。だから2回目のご来店時に100%パーソナルな接客ができるんだけど、これは私が努力してもできることじゃないから(笑)。完全に任せてます。もちろん助け合うんだけど、できないことを無理にやろうとはしないです。


Yuri:
私たちは得意と不得意が顕著で、よく言えばそれぞれができない部分を補い合っててハマるんですけど、悪く言えば1人じゃ何にもできない(笑)。たぶんお互い得意なところが人より得意だったから上手くいってる感じ。2人ができないことは潔く外注。この間発売したzineも制作はすべて友人に任せました。

 

©Blanche Market

 

──ファンミーティングの目的は?


Michel:毎回イベントに来てくれるお得意様にお礼がしたくって。普段のコミュニケーションとはまた違う形で、ごはんを食べたりしながら一緒に時間を過ごして恩返ししたいと思ったんです。


──お客様とのコミュニケーションで意識していることは?


Yuri:
常にオープンでいる。距離を感じさせないよう積極的にお互いのプライベートな話をする。そうやって1回目の接客でパーソナリティをさぐることを大事にしていて、お得意様は「この人たちにだったら話しても平気だな」「この人たちが選んだ洋服が着たい」と思ってついてきてくれる人がほとんどかな。


Michel:
SNSに投稿するのはカッコつけた写真が多いから「来るのに勇気がいりました」って方が多いんですよね。せっかく来てくれたのに会話しないなんて失礼なので、こっちから心を先に開いて嘘偽りなく関わるようにしています。何も隠さないし、聞かれたことはそのまま答えます。

私たちよりも若くて「体験談が聞きたい」ってお得意様が結構多いんです。だから恋愛とか就職とか留学とかいろんなことをざっくばらんに話します。ただ洋服を買うだけじゃなくて「私たちのこういう考え方とか体験が今につながってる」「こういうことしたらいいんじゃない?」とかできる限りのアドバイスをして、何かのきっかけを与えたいと思ってて。進捗を報告するために次のイベントに来てくれる人もいるんです。


──印象に残っている接客体験は?

Yuri:ある日、ものすごく内気な子が勇気を持ってぷらっと来てくれたんです。たくさん話をしたら次も来てくれて、それから頻繁に来てくれるようになって。どんどん表情もファッションセンスも明るくなる様子を見て、その子の心に花を咲かせてあげられてる、人生に寄り添えてるんじゃないかなって実感できたことですかね。

 

©Blanche Market

 

──2人の性格は?


Yuri:だらしない。ちょー適当でいろんなことに鈍感(笑)。あんまり人にも干渉しないし。よく意外って言われます。ちゃんとすべきところはちゃんとするんですけどね。


Michel:私は何か問題が起きたら冷静に対処しようとする。そこがYuriとは合ってるのかも。一緒に感情的になってたら何も解決しないから(笑)。


──お互いのいいなと思うところは?


Yuri:
Michelはちゃんとしてるっていうか、物事を計画的に進めていくタイプ。私は「なんかよくわかんないけどまあいいや」みたいに体が先に出ちゃうところがある。


Michel:
楽観的なところ。それがいい意味で私に移って、前は1〜10まで思い通りにいかないことがあるとすぐワーッとなってたんだけど、例えそれが1〜5までしかできなくても「そういうこともあるよね」って思えるようになった。「最後の最後で10にたどり着けばまあいっか」って。


──最近楽しかった出来事は?


Yuri:
いつも楽しい。2人ともおもしろい人やことが好きだから、だいたい何か起きる。


Michel:
毎週末、私たちとYuriの旦那を含めた共通の友だちとか、そういう仲のいいメンバーで集まるんです。みんなでラジオをやってるんだけど、収録終わりはいつも決まって美味しいものを食べに行く。イベントをやる時も必ず終わる頃に来て、片付けを手伝ってくれて、そのままご飯を食べに行ったり。地方出張にもついて来てくれる(笑)。

よく旅行もしますね。ついこの間は1泊2日でスノボーに出かけたし。友だちのフットワークが軽いおかげで仕事もプライベートも一緒だから、いつも楽しい。


──最近ムシャクシャした出来事は?


Yuri:さっき、なかなか車のエンジンがからなかったこと。いつもと違う音がしてちょっとパニックになった(笑)。


Michel:
頭が働かない時は走ってリフレッシュする。自分自身で整理ができるから最近はムシャクシャしてないかな。


──生きていくうえで大切にしているマインドは?


Yuri:
母親の影響で、嫌なことがあっても「全部に意味がある」って考え方でずっと生きてきた。あとから振り返った時に「あの時のあれって今のこのためだったんだ」って繋がると思ってるので、あんまり悲観的にならないです。ホントに嫌なこととか悪いことは自分には起きないと思ってる(笑)。


Michel:
いい気の人としかいない!仕事でもプライベートでも、マイナス思考だった一緒にいたら落ち込むような人とはあんまりいないようにしてる。

 

©Blanche Market

 

──今後、新たにチャレンジしたいことは?


Yuri:どっちもアイデアベースなんですけど、まずは「Blanche Wedding」かな。結婚式っていう大きなライフイベントのひとつに関われる何かがしたい。

あとは、知り合いのお父さんが聴覚障がいを持ってて、今、そういう人たちが気軽お買い物できる市場が小さいみたいだから、何か新しい販売方法でアプローチできたらいいなっていうのが頭の片隅にあります。


Michel:私は環境問題についてもっと発信していきたい。テーマ的に堅苦しくて、100%詳しくないと話題に出しちゃいけないイメージがあるけど、知ってる範囲で「こういうことすると環境にちょっといいのかもしれない」っていうのを私なりに広めたい。プレッシャーを感じたり億劫になる必要はないと思ってます。

今回のファンミーティングでは環境に配慮したお皿やカトラリーでベジフードを提供したり、今、ブランドのエコバッグを作ってたりもする。買って、次の来店時に持ってきてくれたら値引きする、みたいな。洋服のショッパーってあると便利だけど別にいらないでしょ?かと言ってコンビニとかスーパーみたいに「いらないです」って言いづらいし。だから「あると便利かも」と思って企画して、もう3月末には仕上がる予定です。


──理想の社会人像は?


Yuri:
とにかく自立欲が強いんですよね。「自分の力だけで生きてくんだ」みたいな想いがあるから、「Blanche Market」を通して「女性でもここまでできる」ってことを確立したいと思ってます。


Michel:「この人に会ってみたい」とか「ここで洋服を買ってみたい」と思ってもらえる存在であり続けるのが目標かな。嘘をつかずに等身大でいて、いろんな楽しい経験をして、それを発信して、人にもハッピーを届けて。ずっと誰かの何かのきっかけでありたいです。

 


 

<編集後記>

私もファンミーティングに参加したんだけど、顧客様とコミュニケーションをとる様子は、接客してる感なんてまるでなく、お互い気取らずにプライベートな会話を楽しんでいたのが印象的でした。

今月29日まで代官山蔦屋書店でポップアップフェアが実施中。2人はパリで買い付けをしているところで、帰国後、3月にイベントを開催するとのこと。可愛い洋服をさがしに、YuriちゃんとMichelちゃんに会いに、ぜひ行ってみて!

 

Blanche Market

オーナーのYuriとディレクターのMichelによる実店舗を持たない移動式のヴィンテージショップ。イベントやマーケットなどに参加しながら運営している。

Top image: © Blanche Market
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。