本当の「ラグジュアリー体験」は、自給自足キャンプで味わえる

コロナ禍において僕たちが必要とするもの──。

長野県・野沢温泉村をフィールドにする自給自足キャンプ「LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN(以下、LFC)」を体験してみて、その価値をこう表現できると思った。

心と体をととのえる体験こそ、時代を象徴する豊かさ=新しいラグジュアリーだ。

もっと多くの人たちにLFCの魅力を知ってほしくて、この企画を生み出した3人に詳しい話を聞いてみることにした。

 
井本喜久

LIFE FARMING CAMP プロデューサー / The CAMPus 校長

東京農大を卒業するも広告業界へ。コミュニケーションデザイン会社COZ(株)を創業。2012年に飲食事業を始めるも、数年後、妻がガンになった事をキッカケに健康的な食に対する探究心が芽生える。「世界を農でオモシロくする」をテーマにインターネット農学校 The CAMPusを開校。小規模農家の育成に特化した「コンパクト農ライフスクール」を開始。

小松隆宏

LIFE FARMING CAMP プロデューサー / The CAMPus COO / WATOWA INC. 代表

「ファッション」「アート」「デジタル」「今」の感性をミックスして新しいプロモーションを企画・演出をするクリエイティブプロダクション「WATOWA INC.」の代表。東京のランドマークプロジェクト「KISS TOKYO」のメンバーとして、発起人千原徹也とともにイベント企画やオブジェprojectなどプロデュースも手掛ける。

河野健児

地元LIFE Farmer / LIFE FARMING CAMP in NOZAWA スーパーナビゲーター / NOZAWA GREEN FIELD 代表 / 長野県野沢温泉観光協会 会長

小学生の頃から高校生までアルペンスキー選手として活躍。2002年にフリースタイルスキー・スキークロスに転向し、12年にわたり世界を転戦。世界選手権やワールドカップで入賞するなど、数々のレースに参加。NOZAWA GREEN FIELD代表として、ツリーキャンプ場の運営やSUPツアーのコーディネートを手がけている。

「都会に戻っても、
豊かさを感じてほしい」

©LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN

──LFCを知らない人も多いと思うので、簡単に説明をしてもらえますか?

 

井本:LFCは「生き方を耕す」をコンセプトにしている自給自足キャンプです。

いま、暮らしの中にある豊かさに気づけていない人たちが多いんだけど、自然環境に身を置くことで気づける豊かさもあるということを実感してもらうためにはじめました。

その最初の場所となったのが長野県の野沢温泉村。スキーで聞いたことをある人はたくさんいるかもしれないけど、春夏秋のグリーンシーズンにこそ、循環型の暮らしがあって。

僕たちも実際に足を運んでみて「いいじゃん!」と発見して、この感覚をシェアしたくなったんですよね。

 

小松:農体験のできるグランピングの次になるようなキャンプイベントをつくりたくて、いろいろなところにロケハンに行って、一番グッときたのが野沢温泉でした。

そもそも世界のグランピングは、大自然の中にたった1週間や1ヶ月のためにテンポラリーでラグジュアリーな巨大テントホテルを立ち上げて、キャンプが終わったら元の自然に戻ります。そして、そのなかで一流シェフの素材の味を活かした料理やアクティビティ、パーティーを楽しむカルチャーがあって。ホテルの横にテントを張るという日本のグランピングは、本来のあり方とは違うし、得られる体験が違うなと感じていました。

そして、本当にグラマラスでラグジュアリーな体験ってなんだろう?と考えた結果、体験型ツアーとグランピングを融合させて、普段とは違う景色や雰囲気を楽しんで、ときには不自由さを感じたりすることで、都会に戻ってからも豊かさを感じてもらえるコンテンツをつくるべきだと思ったんです。

 

──なるほど。井本さんと小松さんは東京を拠点にしているけど、野沢温泉村で暮らしている河野さんにとって、ふたりはどういう存在なんでしょう?

 

河野:野沢温泉村に住んでいない人たちならではの目線で、たくさんのヒントをくれる存在ですね。

どうしても村で暮らしていると、自分たちの良さにも気づけないし、そもそも当たり前になっていることが多いし。

村の外にいるスーパーアドバイザーという立ち位置で、教えてもらったことは村の中にいる人たちと一緒に試したりしてます。僕はいいチームワークを築けていると思いますよ。

 

──今までも村の外からアドバイスをする人たちはいたと思うのですが、彼らと一緒にやることにした理由は?

 

河野:僕たちが提供しているコースをみてもらえれば分かりますが、井本さんと小松さんは村の人たちも巻き込んでくれたんです。

これまでも村でイベントを開催したいという話をもらっていたけど、結局、地域との交流がなかったり場所だけを使ったりするもので。だけど、彼らはたくさんの人を誘って一緒に盛り上げようと言ってくれたのが、大きな違いでしたね。

 

──いい影響はありました?

 

河野:村の外と内の交流が活発になることで、村の中にいる人たちでも外にいる人たちと同じくらいポテンシャルがあると感じることができました。

このLFCで協力してもらった人たちも、自分たちのやってきたことが評価されていると感じていると思いますよ。最初は緊張していたみたいだけど、こうした取り組みを通して、だんだんと話もするようになって、ワカサギを持ってきてくれたりするようになりました(笑)。

 

小松:そうなんだ(笑)。それは知らなかった。

 

河野:そうなんです。今も違うことで相談を受けたりするので、新しい絆ができた感覚ですよ。みんながハッピーになりましたね。

 

「四季の移ろいが激しいから、
いつ来ても新しい発見がある」

©LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN

──改めてLFCの魅力はどんなところだと思いますか?

 

井本:僕の中で一番根本にあるのは、持続可能な社会を実現するということなんです。気候変動の問題があるけど、それを多くの人は見て見ぬ振りをしているような状態になっている。でも、第一次産業に関わる人たちはこの問題を肌で感じているわけですよ。

解決したいなら、消費者が変わらなければいけない。それだけでなく生産者や流通に関わる人も含めて、すべての人が変わって、足るを知らなければいけないと思うんです。

足るを知るっていうのは「今の暮らしでもいいじゃん」と感じられるときに実現できるはず。それがLFCでは体験できるようになっています。

 

小松:魅力はたくさんあるんだけど、LFCのサービス提供者とお客さんの垣根がなくて、野沢温泉村で一緒に暮らす仲間たちだと思ってます。

初めましての人も含めて、ニックネームで呼びあったりしていて、帰りには友だちを見送る感覚になっている。それくらい近い距離で接することができていますね。

でも、体験できるコンテンツは非常に濃いものになっている。だからなのか、多くの人に「また来るね」「次は1週間泊まりたいな」と言ってもらえてますよ。

 

河野:野沢温泉村は世界レベルで四季の移ろいが激しいんです。冬は5〜6mの雪が積もるし、夏は30℃以上になる。今回は10月をメインにやったのだけど、どの季節でやっても価値のあるものになると思っています。

違う季節にやれば、また違う体験になるのがおもしろいですね。10月に来てくれた人が春に来れば、新しい発見があるはずです。

 

「不安を抱えていたとしても、
自然と触れ合えば解消される」

©LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN

──それでは、LFCの1期目を終えた感想とこれからやっていきたいことを教えてください。

 

井本:夏休みが終わったな〜という感覚ですね(笑)。

 

小松:たしかに、パソコンとかは全く使っていなかったな〜。都会の仕事が滞っちゃったもん(笑)。

 

河野:みんなで遊びましたもんね(笑)。スゴく楽しかったです。

 

井本:こういう感じで、仕組みをつくったというよりも……LFCでは絆をつくった感覚なんですよね。自分たちもだし、参加してくれた人もそう思ってくれているんじゃないかな?

これからは50代〜60代の人たちにも来てほしいなと考えています。家族で一緒にというのも大歓迎。LFCは多くの世代に楽しんでもらえるコンテンツになっていると思いますよ。

 

小松:個人的な話ですけど、バーニングマンに行って帰ってきてから、大きな変化がありました。環境意識が強くなって、大量生産や大量消費で地球を傷つけるのはやめたいなと思うようになったんです。

バーニングマンとは違う体験だけど、LFCでも都会での暮らしが変わるような体験ができたりエネルギーを感じられたりする場所にしたいなと思っています。

 

河野:僕は世代とかは関係なく、コロナウイルスの影響で生き方や働き方に不安を持っている人に来てほしいですね。

野沢温泉村はたくさんの自然があるし、それに触れることで豊かさを感じてもらえれば、きっと不安は解消されるのではないかなと思っています。

 

人はただの消費に
飽きている

井本さんと小松さん、河野さんに話を聞いて、改めて思ったことがある。それは、人はただの消費に対して飽きを感じているということだ。

いまクラウドファンディングが盛り上がっているのは、アイデアを持っている人と何かをやっている感覚があるからだろう。LFCには他では味わえない“一緒に創る”という体験価値がある。

すでに体験している人もLFCのユニークネスを評価しているので、いくつかコメントを紹介したい。

ここを愛する内外のパワフルな人たちと、野沢温泉の化学反応を、その場で見て、まだだれも知らない野沢温泉を一緒に探索してるような感覚になる。そして、いつのまにか運営も顧客もなく仲間になっている。

──山川咲(起業家/ CRAZY WEDDINGブランドマネジャー)

Life Firming Campでは、生きる力と知恵を、こんなにGoodセンスな空間で学ぶことができます。

生きる学び、生きた学び、生かしたい学びがここにはあります。

──大田由香梨(ライフスタイリスト)

 

大自然と常に触れ合うことで、せわしく過ぎる都会の生活の中で忘れてしまっているもの、見失ってしまっているコトなどと向き合う本当に充実した時間でした。

──高橋優也(フォトグラファー)

最後の最後に、井本さんと小松さん、河野さんに「豊かさとは何か?」という質問をしてみた。

「すでに自分の中にあることに気づくこと」

「なんでも自分でできると思うこと」

「人と人とのつながり」

彼らはそう答えてくれた。そして、これらを体験できるのが「LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN」だ。

現在は春以降のグリーンシーズンで開催できるように、計画を練っている途中とのこと。新しいラグジュアリーを体感してみたい人は、ぜひLFCに足を運んでみてほしい。

Top image: © LIFE FARMING CAMP in NOZAWA-ONSEN
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。