正真正銘「とれたて野菜」で勝負するカナダのスーパー。
スーパーのプライベートブランドというのはよく聞きますが、カナダのスーパー「IGA Extra Famille Duchemin」の発想は、ユニークかつ大胆。というのも、大型店舗の屋上を使って、オーガニック農園を造ってしまったというのだから。
世界初
屋上で栽培したオーガニック野菜を
直売するスーパー
その広さじつに2,300平方メートル。生産された野菜は、もちろんすべて下のスーパーで販売。そんなプライベート農園に詰まった、世界初のシステムと、その魅力を見ていきましょう。
屋上でオーガニック野菜を作り、とれたてをそのまま店舗で販売する。
突飛なアイデアを実現するべく、スーパーの経営者であるRichard DanielとFrancis Ducheminは、都市で農業を営む人たちとプロジェクトチームを立ち上げました。
あらゆる可能性とアイデアを出し合い、彼らのチャレンジは着々と成功に近づいています。
屋上菜園では、カナダのオーガニックラベル<Ecocert Canada>の認定を受けたオーガニックレタスやトマト、ハーブなど30種類以上の野菜が栽培される予定です。このほかミツバチの巣箱も設置され、少なくとも600本分のはちみつが採取される予定だとか。
さらには、除湿システムで得た水を再利用して灌漑し、屋上の農園に活かすというのも世界初の試み。こちらは認可を出願中だそう。
ルーフトップ農園に
集まるアイデア
この試みが世界初となったのには、理由があります。やはり普通の農業と違って、屋上で野菜を作るのは技術的に難しかった。しかし彼らはそこで諦めず、数々の問題を専門家たちと共に解決していきました。
例えば、農園の土壌の深さはわずか15cmだそうですが、これでは従来のやり方で野菜は育ちません。そこで農業の専門家が作った専用肥料を使用することで問題をクリア。 添え木が必要な野菜には、スーパーで使われなくなった容器にセメントを流し込み、添え木を刺すことで解決するなど、この場所ならではの利点を最大限に活かしきることに主眼をおいたのです。
それでも、屋上で野菜を栽培するうえで一番の難敵が強い風と温度。これには、風除けと陰を作るためのハウスで対応しているようです。
新鮮でリーズナブル、
エコな野菜たち
屋上で作られた野菜は、同じオーガニックものとは比較にならないほどリーズナブルな価格で提供される予定。しかも屋上から下の店舗に移動するだけなので、輸送にかかる二酸化炭素の排出量も削減。正真正銘とれたての新鮮で美味しい野菜をスーパーで買うことができるなんて、ステキな革命ですよね。
他のスーパーも
真似してくれたら嬉しい。
ルーフトップ農園は、近隣住民の食への関心を高めると同時に、環境問題の解決の糸口にもなっているようです。IGA extra Famille Ducheminを経営するRichard Ducheminさんは「我々のアイデアが、他のスーパーにも広がっていくと嬉しい」と語ります。
大量生産、大量消費の舞台だったスーパーが、環境問題を考慮し、消費者と共にオーガニックな野菜を楽しむ方向に舵をきる世の中に。こういうの、ぜひ日本でも実現してほしいところ!