ミニシアターの元祖「岩波ホール」が今年7月閉館へ

東京・神保町の「岩波ホール」が、7月29日(金)をもって閉館となることが発表された。長引く新型コロナウイルスによる影響は、老舗ホールにも重くのしかかっていたようだ。

1968年に多目的ホールとして開館した同施設。昭和期の映画文化活動家であった故・川喜多かしこ氏と、ホール総支配人であった故・高野悦子氏による「エキプ・ド・シネマ」がここで発足。

大手配給会社が扱わないような、世界に埋もれた名作映画を発掘し上映するこの運動は、今でいう“単館系”や“ミニシアター”の草分け的存在でもあっただけに、今回の発表に心を痛めている映画ファンは決して少なくないはずだ。

なんとも名残惜しいのこり半年あまり、閉館までは以下のラインナップで上映予定だ。

1月29日~
「ジョージア映画祭2022」ソ連時代の名作34本を一挙上映

2月26日~
『金の糸』
ラナ・ゴゴベリゼ監督/2019年/ジョージア=フランス映画

4月16日~
『メイド・イン・バングラディシュ』
ルバイヤット・ホセイン監督/2019年/フランス=バングラデシュ=デンマーク=ポルトガル映画

6月4日~
『Nomad: In the Footsteps of Bruce Chatwin』(原題)
ヴェルナー・ヘルツォーク監督/2019年/イギリス映画

 

「ジョージア映画祭2022」では、1978年に上映した『ピロスマニ』以降、深い関わりがあるというジョージア映画34作品を一挙上映。

『金の糸』は、91歳の女性監督が日本の「金継ぎ」文化にインスピレーションを得て描いた過去との和解の物語。

『メイド・イン・バングラディシュ』は、大手アパレルブランドの工場が集まるバングラデシュ・ダッカで、過酷な労働環境を改善すべく戦う女性たちを描いた実話にもとづく物語だ。

また、『Nomad: In the Footsteps of Bruce Chatwin』は、ドイツの名匠、ヴェルナー・ヘルツォークが、ノマドライフで世界的に有名な小説家ブルース・チャトウィンの軌跡をとらえたドキュメンタリー。

なかなか出会えない貴重な作品を観に、そして、一時代を築いた同ホールの“景色”を目に焼き付けに。ぜひ多くの人に訪れてほしい。

詳細は岩波ホール公式ページで。

Top image: © iStock.com/Paleha
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