走りながら「充電できる道路」デトロイトで実用化へ
走行しながら充電、と聞けばEV車の新機能かと思うだろう。けれど、ここに紹介するのはまったくのベツモノ。だって、道路自体が充電器の役割を果たすというのだから。
イスラエルのテルアビブに拠点を置く「Electreon Wireless」社は、自動車メーカー「フォード」、エネルギー関連企業「DTEエナジー」と協力し、走行中にEVに充電できる道路を2023年までにデトロイト市内へ導入することを発表した。
© electrobluz / Instagram
さて、走行中さらには車両が停止しているときでさえ充電を可能とするのは、誘導充電と呼ばれるプロセスにあり。
磁気を利用し、道路の下に埋められたコイルから車両底部に設置する特別な受信機に電力を伝達する仕組みだそう。
あたかも置くだけでスマートフォンを充電できるワイヤレス充電器のように、道路を走行するだけでチャージが可能となるんだから、ユーザーからしてもメリットは大きい。
とはいえ、初期投資はそれなりにかかるようで、現在の想定されている受信機の費用は3000〜4000ドル(約35〜45万円)ほど。将来的には1000ドル程度に引き下げる狙いがあるようだ。
ちなみに充電区間は約1マイル(約1.6km)で、デトロイト中心街にほど近いミシガン・セントラル駅付近に設置される計画。余談だが、同駅はデトロイト自動車産業の衰退によって人口が激減し、1988年より使われなくなった駅舎は現在、廃墟と化している。
デトロイトに本拠を置くフォードが、この“負の遺産”に10億ドルを投じ、駅舎の再開発とともに自立走行車やEVをはじめ交通網のソリューションを図ることで、未来型モビリティ都市構想「モビリティ・イノベーション地区」の実現を目指すと発表したことは記憶に新しい。
脱炭素社会、都市交通網の刷新に向けて動き出した新生デトロイト。充電インフラはEV車普及における最大のハードルとも言われている。走るだけで充電可能な道路が、「未来のモビリティ」のあり方を示してくれるだろうか。今後に注目したい。
Top image: © iStock.com/Keattisak A