ミニマルすぎて「骨になった」クルマの衝撃の姿
デザインの分野において無駄を省くことは、大概良いことと考えられている。
では、ミニマリズムと呼ばれるこの美学を極限まで追求すると、いったいどんなデザインになるのだろう?
答えはシンプル。「骨」になります。
© Ayoub Ahmad
ドバイを拠点とする3DデザイナーのAyoub Ahmad氏が発表したこちらは「HV-001」という自動車。シャーシにも見えるが、これでれっきとした完成形だそう。
無駄を極限まで省いたところ、じつにオーガニックな、“骨と外装が一体化した”という革新的なデザインへと至ったようだ。
これ、「パラメトリックデザイン」や「ジェネレーティブデザイン」と呼ばれる手法を用いたもので、一般的な設計のプロセスを踏まず、アルゴリズムに入力するパラメータに沿って形成していく工法のこと。
HV-001に使われたパラメータは、「強度」、「軽さ」そして「空気抵抗」。極限まで軽く、強く、抵抗の少ない形状を追求した結果、あばらのような形へと至ったということらしい。
© Ayoub Ahmad
3Dプリントによって生み出されるこの車両は、使う素材にも無駄がなく、エコフレンドリーという点でも未来的。
軽量化のためか、ホイールもハチの巣状の不思議な形をしていて、鋭いフォームも相まって『エイリアン』シリーズのようなSFホラー感がなくもない。
「極限状態のもの」とは、概して美しくもどこか畏怖を覚えるものでもある。
© Ayoub Ahmad
そんなHV-001は、V8ターボエンジンを搭載したスーパーカーであるらしく、実現すれば並みのスポーツカーを凌駕する一台になりそう。
「効率を極限まで追求すると、骨になる」——。既知の概念ではあるが、いざビジュアライズされるとなかなか衝撃的な姿だ。
Top image: © Ayoub Ahmad