ポルシェ、世界最速の「EVハイパーカー」を発表
クルマの未来を考えるとき、何を思い浮かべるだろうか。未来的な充電方法のEV車両、自動操縦やまだ見ぬ操作方法の搭載、または空を飛べたり……様々なアプローチが考えられるが、「Porche(ポルシェ)」が出した答えはシンプルだ。
伝説のレースカー「959」や現在でもプレミアの付く「カレラGT」、その後継である「918スパイダー」etc…これまでにも、数々の伝説や歴史を築いてきたポルシェの名機たち。
時代の移り変わりを経て、彼らが新たに生み出そうとしているのは、“未来のハイパーカー”だ。
6月8日に開催された「ポルシェスポーツカー75周年展」の開幕前夜、渾身の新プロジェクトがお披露目された。
ポルシェが、再び「ニュル最速」の称号を目指す
こちらが「Mission X」と呼ばれる新プロジェクト。
プロジェクトのミッションは、未来的な車のコンセプトに“新たなスタンダード”を設けること。進化し続けるハイパーカーに、ポルシェが再びマイルストーンを生み出そうとしているのだ。
つまるところ、これは世界最速のクルマ。
公式の声明では、ドイツの名門サーキット「ニュルブルクリンク」の北コース(ノルトシュライフェ)で、公道を走行できる最速の車両でなければならない、と語られている。
実現するためには1:1の重量比出力を実現し、あの「911 GT3 RS」をも上回るダウンフォース値を叩き出す必要がある。
また、900Vシステムによって充電能力も大幅に改善され、現行の最新機である「タイカン ターボS」のおよそ2倍の速度で充電ができるという。
Mission Xは、単に電気自動車として高性能であるに留まらず、レースで最強のパフォーマンスを発揮するEVハイパーカーを誕生させるプロジェクトというわけだ。
一方で、本車両は高性能なだけではないのもポイント。
歴代の名機のDNAを受け継ぐ、究極のフラッグシップ
デザイン面では、「ブランドのクラシックな要素の再解釈」がコンセプトに掲げられ、918スパイダーとほぼ同等のサイズやシルエット、かつての名機たちを思わせるディティール……しっかりとポルシェのDNAを感じさせる造りに。
伝説の名機917をモチーフとした“ル・マン・スタイル”と呼ばれるガルウィングドアと開放感抜群のガラスドームも特徴的だ。
これに加え、バー状のリアライトや過去のレースカーにインスパイアされたという特徴的なフロントライトといったモダンな要素も盛りだくさん。
伝統を保ちながら現代的に昇華させることで、最新カーマニアも往年のポルシェファンも唸らすデザインとなっている。
EVは前提事項。目指すのは「最高のハイパーカー」
ブランドの伝統を汲んだデザイン、ずば抜けたスペックからも分かる通り、ポルシェが目指しているのは最高のハイパーカー。
どこぞの米国車や同胞メルセデスなどが取り組んでいる自動運転技術、「BMW」のようなビックリ機構に言及しない辺り、Mission Xは最新EV車の文脈ではなく、ニュルブルクリンクで凌ぎを削るフラッグシップモデルと見なすべき車両なのだ。
常に最先端を進み続けるポルシェにとって、EV駆動であることはあくまでも前提事項であり、目的ではないということなのだろう。
さて、「世界最速のEV車両」の称号をめぐっては、5月に日本発のエンジニアリング企業がギネス記録を樹立したばかり。
エンジニアリング力でEVを突き詰める日本企業と、幾つものハイパーカーを生み出してきたポルシェのノウハウ……来るべき勝負の行く末にも注目だ。