商用EVの充電に革命なるか。省スペース・電気代削減・リモートコントロールを実現した「サイクリックマルチ充電器」が登場

世界的なEVシフトが行き詰まりを見せる中、2月19日(水)~2月21日(金)東京ビッグサイトで開催される「SMART GRID EXPO 春 第17回 国際スマートグリッド展」にて、注目の新商品が展示される。

ニチコン株式会社が発表した「サイクリックマルチ充電器」が、現状を打開するかもしれない。

最大6台を効率的にチャージ。「サイクリック充電」の革新性

世界的なカーボンニュートラルの推進に伴い、日本でもEVの導入は加速しつつある。

特に商用車のEV化においては、2030年までに8トン以下の新車販売の20~30%を電動車とする目標が掲げられている。しかし、運輸事業者は充電設備の導入に際し、コストや設置スペースの確保などの課題に直面しているのが現状だ。

ニチコンの「サイクリックマルチ充電器」は、こうした課題を解決するべく開発されたもの。

この充電器は、複数台の商用EVを効率的に充電できるよう設計されている。最大の特徴は、1口最大90kWという高出力で、最大6台のEVに順番に充電を行う「サイクリック充電」方式を採用している点だ。

この方式により、充電器の能力を最大限に活用し、限られた電力設備でも効率的な充電が可能になるという。

また、充電電力のピークを抑制できる点も魅力的。

複数のEVを同時に充電する場合、従来の充電器では大容量の受電設備が必要となり、ピーク電力の増大に伴い電気基本料金が上昇する。

いっぽう本製品では、最大充電電力が一定に保たれるため、受電設備投資や電気基本料金の抑制が見込めるようだ。

設置スペースの課題もクリア

さらに注目したいのが、設置レイアウトの自由度に優れ、倉庫や車室内の省スペース化を目指していることだ。

電源盤、スイッチャーボックス、ディスペンサのセパレート構造によって自由な設置レイアウトが可能。また、スリムなディスペンサデザインは、駐車スペースを有効活用し、充電器設置による車室の減少も防げる。

また、ディスペンサは壁掛け、ロースタンド、トールスタンドの3タイプが用意されており、トールスタンドにはケーブルマネジメント機能を搭載。充電ケーブルの取り回しも良好だ。

© ニチコン株式会社
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PCやスマホからのリモート管理にも対応。
商用化に向け、時代のニーズに応える技術となるか

その他、CMC(Cyclic Multi Charger)用サーバによる充電管理にも対応しており、PCやスマートフォンから離れた場所でも充電管理が行える等、本格的な商用運用に向けたニーズを配慮した製品となっている。

また、ニチコンは本製品に限らず、電気の地産地消、家産家消を目指した分散型電源ネットワークの構築を通じて、スマートな社会の実現に貢献していく方針だとしている。

こうした技術革新は、企業のEV導入を加速させるだけではない。

2023年問題に直面する運送業界にとって、ドライバーの負担軽減は喫緊の課題であり、効率的な充電システムは、ドライバーがゆとりを持って休憩や業務にあたれる環境作りにも貢献する。

商用EVの普及と持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となるか。まずは「SMART GRID EXPO」での実展示、そして今後の展開にも注目したい。

詳細仕様は以下画像より。

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