世界に一台、「究極のロールス・ロイス」が異世界すぎた

世界の多様化に伴い、クルマの外観にも様々な革新がもたらされている昨今。

今年初めにBMWが「ボディカラーを自由に変えられるクルマ」を発表して話題をさらったのも記憶に新しいところだが、今度はさらにエレガントな見る角度によって色が変わるクルマが登場。

新たな概念を提案したのは、あの「ロールス・ロイス」だ。

同社の高級セダン「ファントム」のビスポーク(特製受注品)として、世界に一台の限定モデルが発表された。

© Rolls-Royce Motor Cars

この「ファントム・シントピア」は、専用に開発された「リキッド・ノワール」と呼ばれる鏡面塗料を使用した特別仕様。

太陽の下で虹色に輝くボディは、見る角度によってパープル、ブルー、マゼンタ、ゴールドの4色が交差する超前衛デザインとなっている。

© Rolls-Royce Motor Cars

斬新さとエレガンスがハイエンドに融合した姿は比類なき美しさだが、それもそのはず。手掛けたのは、オートクチュールデザイナーイリス・ヴァン・ヘルペンだというのだから。

動くたびにゆらゆらと異なる顔を見せる彼女のクチュールにインスパイアされ、「ウィービング・ウォーター(うねる水)」をコンセプトにした斬新なデザインが誕生した。

ちなみに、車名の「シントピア(ユートピアとディストピアの架け橋を意味する語)」も2018年にヘルペンが発表したコレクションのタイトルから拝借している。『Vogue』によれば、この語は「彼女の作風をよく表している」とのこと。

© Rolls-Royce Motor Cars

そんなヘルペンの世界観を体現する塗料を生み出すために、ロールスロイスは4年もの開発期間を設け、テストと検証には3000時間以上を費したそう。

また、外装だけでなく、一部はヘルペンのチームがデザインしたというインテリアも圧巻のクオリティ。シートからフレームまで豪華極まりないデザインだが、何よりも衝撃的なのは天井部分。

© Rolls-Royce Motor Cars

頭上に広がるのは「ウィービング・ウォーター・スターライト・ヘッドライナー」と呼ばれる星空で、これは厳選された一枚皮をベースに、162枚に及ぶグラスオーガンジー製の花びらを張り巡らせたもの。

一般的な車内インテリアと段違いなのは勿論、うねる幾何学模様と星の光が醸しているのは、もはや完全な異世界だ。

先のBMWも車内にメタバースへのエントランスを設けていたが、西洋では「クルマを異世界に繋げる」のが流行っているのだろうか?

さらに、これに伴ってロールス・ロイス史上初めてクルマ向けのフレグランスが導入されたほか、購入者にはイリス・ヴァン・ヘルペンによるオートクチュールが贈呈されるという、至れり尽くせりな超豪華仕様に。

オートクチュールとビスポーク、2つの「特別受注生産」が出会い”究極のデザイン”が完成した、というわけだ。

それにしても、一般にはおよそ手が届くはずもない(ファントムは通常モデルでも6000万円以上)代物だが、ビスポークである以上、誰かのために作られたもののはず……。

一体、誰の依頼なのだろうか。

© Iris van Herpen/YouTube
Top image: © Rolls-Royce Motor Cars
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。