ハリウッドも熱視!日本生まれの「ドリフト」がAIと融合
重低音を響かせながら、煙を巻き上げ、タイヤをギリギリまで滑らせる。そんなアクロバティックなドライビング・テクニックが「ドリフト」。 日本発祥とも言われるモータースポーツとして知られるドリフトが今、海を越え、世界を熱狂させている。
古典と最先端の融合!
東欧の街を駆け抜ける日本車
舞台は東欧のベラルーシ。歴史的な街並みを背景に、国際色豊かなドリフトチームが映画撮影に挑んだ。参加したのは、日本、オーストラリア、タイ、ブラジルから集結した「Blockchain Sports Drift」チーム。2週間に及ぶ撮影期間中、202本のタイヤと1トン以上の燃料を消費する、まさに映画史に残る規模のプロジェクトとなったそう。
「ストリートでドリフトする機会は滅多にないので、最初はとても緊張しました。でも、この経験は本当に息を呑むもの。地元のファンのサポートを受けながら街中でドリフトを披露する瞬間は、私のドリフトキャリアにおいてもっともエキサイティングな瞬間でした」
こう語るのは、チームメンバーのダニエル・メスメル。
彼らの挑戦は、単なる映画撮影に留まらない。ベラルーシが誇る世界遺産コッソヴォのプスロフスキー宮殿やネスヴィシュ城など、歴史的建造物を舞台に繰り広げられるドリフトは、伝統と革新が織りなす、唯一無二の映像体験を予感させる。
AIが創造する、ドリフトの未来予想図
ところで、今回のプロジェクトを語るうえで欠かせないのがAI技術の存在。イベント主催者の一社である「Drift Labs」は、「Flux Engine」という、人工知能(AI)をベースにした自律型ドリフト車両制御システムを開発している。
「Flux Engine」は、人間のドライバーの動きを学習し、それを再現することができる。今回の撮影で得られた膨大なデータは、AIの学習に活用され、人間の感性と、AIの持つ精密性を兼ね備えた、まったく新しいドライビング体験を生み出す可能性を秘めている。
「ドリフトは、情熱的で親切なコミュニティを育む素晴らしいスポーツ。このスリリングな世界に興味を持った方には、私たちが自ら知識や経験を喜んで共有します。一緒にドリフトのコミュニティを成長させていきましょう」
ドリフト走行の技術を競うモータースポーツ選手権「D1GP」で活躍するタイチャポン・トインチャロエンの言葉通り、ドリフトは競技の枠を超え、多くの人々を魅了する、カルチャーとしての側面も持ち合わせている。
ドイツ映画界の巨匠も参戦
ドリフトが繋ぐ国境を越えた情熱
さらに、映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』や『イングロリアス・バスターズ』で知られるドイツの名優ティル・シュヴァイガーの参加も大きな話題を呼んでいる。彼は2日間にわたる撮影を終え、次のようなメッセージを残した。
「自分の夢を信じ、他者の幸せを喜ぶことを忘れないでください。エゴイストは何も成し遂げられません。人々に誠実であり、努力を惜しまなければ、必ず成功します」
夢を追いかけることの大切さを説く彼の言葉は、国境や文化を超えて、多くの人の心を打つ。
日本発祥のドリフトは、AI技術や世界的俳優とのコラボレーションを通じて、今まさに新たなステージへと進もうとしている。それは、単なるモータースポーツの枠を超え、世界中の人々に感動と興奮を与える、グローバルエンターテインメントへと進化を遂げようとしているのではないだろうか。