工業用品をインテリアにすると?→ミニマル美学の最先端

「上質なインテリア」と聞いて、思い浮かべる素材は何だろうか。

石、木材、または革など様々だが、おそらく「コンベアベルト」は選択肢になかったはず。

ここに紹介するのは、“選択肢の外”だった素材を用い、実用的かつアーティスティックに仕上げられた椅子。まずは写真をご覧あれ。

© Design credit: Woojin Park / Photo credit: Mihyun Son

上質ななめし革のように見えるが、腰掛けに使用されているのは紛れもなく、コンベアベルト。工場で製品を運ぶあのベルトだ。

これは、韓国・ソウルを拠点とするデザインスタジオ「1/plinth studio」のパク・ウジン氏が手がけたもの。

ミニマルで洗練された姿の椅子は、仕組みもシンプル。

ボルトで固定されたスチールパイプの骨組みに、ベルトを巻きつけたモジュール式で、骨の構成と巻き方を変えれば立体椅子からソファまで多様なスタイルを実現する。

また、工業用ベルトは耐久性が高いうえに、巻くことで絶妙な張力が生まれているため、強度も担保されているそう。

© Design credit: Woojin Park / Photo credit: Mihyun Son

「モジュール式かつ特殊な素材」という制約の中で、素材を生かして色やテクスチャーのアクセントで魅せる、スタイリッシュなデザインだ。

ちなみに、名前の「CNVYR」も、コンベアの英語スペル「CONVEYOR」から母音を抜いたもので、ミニマルな遊び心を感じさせる。

スタジオ名の「plinth」は英語で「台座」を意味する単語。公式ページによると「美しい台座に乗せることで、工業用品の新たな価値を創り出す」というのが彼らの目的だという。

コンベアベルトを骨の台座に乗せたこの椅子は、まさに彼らのステートメントを体現する作品なのだ。

コンベアベルトを、シンプルなアイデア(と卓越したセンス)で実用的かつ美しい家具へと昇華した「CNVYR」は、工業用品の新たな用途、そしてインテリア素材の“選択肢”を押し広げた例と言えるだろう。

デザインが秘める、まだ見ぬ可能性に期待したい。

© Design credit: Woojin Park / Photo credit: Mihyun Son
Reference: 1/plinth
Top image: © Design credit: Woojin Park / Photo credit: Mihyun Son
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