逆転の発想。「虫喰いをデザインにする」。

衣替えをして、気に入っている服に虫喰いの穴があいているのを発見したときは、地味にショックでした。しかもよりによって一番目立つ胸のあたり...。それからはタンスには常に防虫剤を切らさないようにしているのだけれど。とにかく一般的に「虫喰い」ってマイナスなイメージだと思います。

そのイメージを変えてしまったのが、〈RetRe〉という木工品ブランドです。

「虫喰い」もデザインとして楽しむ!

富山県にある尾山製材がデザイナーの山崎義樹さんとともに立ち上げた、虫喰いのナラ材を使ったブランド〈RetRe〉。

昔から、穴があいた虫喰い材は「使いものにならない」という考えから、山に放置されていました。利用されることがあっても、その多くは元の木の形状がわからないオガクズとして。

製材を生業としている者として、木が無駄になってしまう状況を見過ごすことができず、「どうにかしてこの現状を変えることはできないだろうか」という思いから生まれたのがRetReだったのです。

筒状の花器は、なかにガラス管が付属しているので、生花を生けることもできます。

黒い模様は、木が朽ちて土にかえっていく過程で出る菌の影響によるもの。丸太を仕入れてからすぐに加工するのではなく、一度木を寝かせることでこの美しい模様が生まれます。面白い表情が出るまで、1、2年も待つのだというから驚きです。

虫喰い材での制作について、尾山製材の代表である尾山嘉彦さんはこのように話しています。

「いまだにどれくらい寝かせればよいのか判断を付けるのはとても難しい。自分でも"この時代に、2年も寝かせててどうするの"とも思います。でも、そうしないと面白い表情に出会えないのです。この時代だからこそ、誰もしないことを見出すために粘っているのかもしれません」

木の表情を楽しむために、あえて文字盤を付けずに作ったというシンプルなデザインの壁掛け時計。

ブロックをまとめれば小さな鍋敷きに、間隔を広げれば大きな鍋敷きに。

こちらのページから購入可能。個人的には、ドライフラワーを飾れる「虫喰いのボール」も気になりました。

Licensed material used with permission by RetRe, (Instagram), 尾山製材
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。