金沢で蟹も寿司も! なくても美食度120%の2泊3日(前編)

タイトル、おわかりいただけたでしょうか?

この記事は「蟹も寿司も楽しもう! 金沢」という趣旨ではございません。あくまで金沢の“テッパン・フード”であるお寿司がなくても、十分、いやそれ以上楽しめて、満足できるというグルメ記事です。

あ、ご挨拶遅れましたが、私は金沢で生まれ育ち、東京在住の今も月イチで地元に帰っている食ライターです。食ライター四半世紀ほどやらせてもらってます。

で、北陸新幹線が開通する前あたりからレストランが増えました。いい店増えました。それも、かつては寿司と和食は強かったけど、洋モノは……という感じだったのが、ここ3年ほどで世界レベルで見てもトップクラスの店が一気に増えました! びっくりです。

幼少から金沢で食べ続けてきた私が一番、驚いています。そして、つい先日、2泊3日で金沢を食べ歩いて確信しました。

金沢、蟹とお寿司なくても、全然、戦えるんじゃね? しかも強いぞ!」と。

 というわけで今回は前編、後編の2回にわたって、2泊3日、計5軒を紹介させていただきます。

冬、蟹シーズンまっさかり♡お魚もおいしいですが、それでも蟹もお寿司もスルーして、金沢の最旬グルメをお届けします!

城下町のモダン・スパニッシュは、
食のインスタレーションだった

一軒めはモダン・スパニッシュの「respiracion(レスピラシオン)」。

『ミシュランガイド北陸2021 特別版』で、2ツ星を獲得した実力派です。なんと、ウェイティングルームが土蔵!築140年の町家を改築した店舗ですから、スペイン料理とはいえ、城下町らしい情緒が溢れ出ているんです。

日本3大霊山のひとつ、白山をモチーフにした、まるでアートのような特注テーブルを前に薄暗いなか、待っていると別世界へと誘われます。そう、もう“始まって”るんです!

格子度から光差し込むメインダイニングには、広いカウンターキッチンが。ここで梅達郎さん、八木恵介さん、北川悠介さんの3人のシェフを中心とする料理人さんが地元食材を自分たちの“作品”に作り上げていきます。

料理は、昼夜2万2200円〜の1コースのみ。

その最初の1品目でやられました! 茶の湯が盛んな街としても知られる金沢の町家で、こういうビジュアルのものが出てきたら、まず「上生菓子?」と思うじゃないですか。でも、これは冷た〜い海で獲れた甘海老のひと口前菜。下にはこの料理の説明と熱い思いがびっしり!

甘海老を分解し、頭を潰し取り出した味噌シートを作る。その下には石川県産の塩麹でマリネした甘海老の身……(以下略)」。

口いっぱいに広がる、海老の甘み、海の風味。金沢が口の中に飛び込んでくる! これはもう、食べるコンテンポラリー・アート。

その後、加賀蓮根と七面鳥(実は今、石川県では地元産の七面鳥が高級レストランでブーム)の一品、皮をパリッ、身をしっとりレアに焼き上げた甘鯛、パエリア、デザートまで11品が供されます。

ペアリングのワインも素晴らしく、サービスも洗練されていて、「金沢の洋モノ・レストラン、こんなにすごいことになってたんだ!」と金沢人として誇らしく思いました。

タイトルでは「蟹がなくても楽しめる!」的に煽っていますが、シーズン中は正直、ほぼ、香箱蟹やズワイ蟹なども出ます(笑)でも、蟹のないときでも、こちらをはじめ、金沢はおいしいんです。そこ、重要ですから。

respiracion(レスピラシオン)

【住所】石川県金沢市博労町67
【営業時間】Lunch:12:00一斉スタート、Dinner:18:00一斉スタート
【定休日】不定休
【公式サイト】https://respiracion.jp/

伝統を自ら超えていく、
“工芸王国”の日本料理

2軒目は「日本料理 銭屋」。ミシュラン2ツ星の料亭です。

芸妓衆も呼べる広間から密談に最適な2人席まで、各種お座敷にカウンターもあるという、金沢を代表する一軒。

主人、髙木慎一朗さんで2代目となります。店構えも料理も“ザ・日本料理”ですが、髙木さんは英語が堪能でフランス料理の巨匠アラン・デュカスさんをはじめ、海外の星付きシェフと何度もコラボレーションをするなど、世界を股にかけて活躍。現在、総料理長である弟、二郎さんと共に店を営んでいます。

料理は2万7270円〜のコースのみ。

正直、冬、金沢で香箱やズワイガニを食べるなら、ココ! というお店ではありますし、ブリも「地球上でこれ以上は望めないんじゃないか」というようなシロモノがお造りなどで出てきます。

先代が考案したスペシャリテ、鮑のステーキも含め、魚はもちろんですが、能登牛のすき焼きなども最高です。正統派をベースに、ときにトリュフごはんなど、イノベーティブな一品が挟み込まれたり、圧倒的な食材のよさを強みに引き出しの深さ、広さを見せつけてくれます。

ちなみに、食後の自家製和菓子も絶品です。私が年に1度、どうしても食べたいのが、4〜5月頃に供される「草餅」。近隣の野田山で摘んだヨモギの風味といい塩梅のあんがたまりません。

写真は、甘鯛のなかでも幻とされる「白皮」と松茸のお椀ですが、中身もさることながら美しい金沢蒔絵の器が素敵ですよね。

金沢といえば、工芸王国としても知られています。九谷焼、輪島塗など伝統的な工芸品を用いつつ、このひとつ前の写真の、お造りの器のような現代的な器も取り入れているのもこちらの魅力。

ちなみにお造りの器は3Dプリンタを用い、工芸×デジタルという新しいアプローチでものづくりに取り組むユニット「secca」のもの。今、めちゃくちゃ勢いのある「secca」を初めて知ったのは9年前、こちらでのこと。

料理も器も新旧のよきものを、さりげなく見せてくれる。まるで今の金沢の街そのものを体現するような一軒は、ほかにないのではないでしょうか。

『日本料理 銭屋』

【住所】石川県金沢市片町2-29-7
【営業時間】12:00〜14:00、17:30〜22:00
※現在、ランチ営業は休止中
【定休日】日曜不定休
【公式サイト】https://zeniya.co.jp

🦀いま、もっともHOTな金沢「最旬グルメ旅」🍣
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