【2022年の流行語大賞候補】「リスキリング」って、どういう意味?【#これからの履歴書/連載第1回】
「ユーキャン新語・流行語大賞2022」にもノミネートされた「リスキリング」なるワード。ラインナップされた30語のなかでは、やや耳慣れない印象を受けた人も少なくないのでは?
なぜ今、この言葉が注目を浴びているのか……あなたはその意味と理由を知ってますか?
そもそも「リスキリング」って......なに?
岸田首相が2022年秋の臨時国会で「リスキリング支援」に5年で1兆円を投じると表明したことで、にわかに注目を浴び始めた、この言葉。
そもそも英語で綴るとReskillingとなる通り、直訳するならば「学び直し」ともいうべき単語で、ビジネス用語としては「現在の仕事で必要とされている、あるいは将来仕事で必要になるスキルを学び、習得すること」などと定義されています。
岸田首相の発言をまえに、経済産業省は2050年度までに起こる産業構造の変化と人材や雇用に関する分析をおこなった「未来人材ビジョン」を公表。
今、国を挙げて取り組むべき課題としてリスキリングが挙げられているのです。
世界における日本の立ち位置って?
また、その理由とは......?
それにしても、なぜ今、国はリスキリング/学び直しの強化を謳っているのでしょう。
その理由は、日本の国際競争力が急激に低下しつつある現状があります。
先ほどの「未来人材ビジョン」によると、90年には1位だった「世界競争力ランキング」が2021年には31位に下落しており、2050年には少子高齢化により日本の生産年齢人口は2/3に減少し、DXや脱炭素の流れを受けて産業を構成する職種のバランスが大きく変わると推測されています。
そもそもバブルが崩壊してから30年以上にも及ぶ不況に晒されてきた日本。
その理由は様々に分析されていますが、白物家電などの製造業から情報・通信などのデジタル分野へと産業の主役がシフトし、日本はその波に乗り遅れたことが原因のひとつであることは間違いありません。
そして、DX時代に突入した現在では、AIやロボットの登場により、将来、日本の労働人口の49%が自動化されるという推測も......。
産業や経済にパラダイムシフトを起こし得る波が再びやってきつつあるなか、「今後は言われたことをミスなくこなす人材よりも、問題発見力に優れ、的確な予測ができ、イノベーションを起こせる能力が求められるようになる。そして、そういった人材を育成するためにはリスキリングが重要だ」と「未来人材ビジョン」では結論づけています。
現代の若い社会人が置かれた状況と
リスキリングの重要性
学び直しの重要性は企業も社会人も理解しているようで、「未来人材ビジョン」の調査でも4割以上の企業が「技術革新により必要となるスキルと現在の従業員のスキルとの間でギャップがある」ことを認識しており、半数近くのITエンジニアが「自分の技術やスキルが陳腐化する不安を抱えている」という結果が出ています。
とはいえ、社会人や軍役を経てから大学院に進学するなど多様なキャリアデザインが一般的になっている海外と違って、長らく終身雇用と年功序列賃金制を採用してきた日本の場合は「就職が最終的なゴール」となりがち。
実際に調査でも社外学習や自己啓発をおこなっていない人の割合は46%と、諸外国と比べて倍以上のスコアを記録しています。
「出世したい人だけが学べばいい」──そう考える人もいるでしょう。
しかし、米国の労働市場では高スキル人材と低スキル人材の両極化が進んでおり、日本でも同じ傾向がみられるようになりつつあります。
学び直しが重要なのはわかったけれど......
今後、10年から30年の間で産業の構造が激変することは確実であり、今後も社会のなかで働き、生きていく限り、その影響から逃れることはできません。
VUCA(先行き不透明)な時代といわれる今、これからの経済を背負っていくミレニアルズやZ世代が自分の将来とキャリアに不安を抱えるのはある意味で当然です。
次回はビジネスの動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」が立ち上げた、とくに20代〜30代の若手社会人のためのプロジェクト「#これからの履歴書」で実施したアンケート結果をもとに、働く人たちが直面している問題や課題について考察します。