夫を「主人」と呼びたくない?/坂田ミギーの水曜連載「ミレニなのでアル」第六回

一週間のなかで、きっといちばん憂鬱な水曜日に読んでほしい、クリエイティブディレクター・坂田ミギーの水曜連載。数々の広告賞を受賞しながら「アラサー・独身・彼氏なし」の身の上に絶望して世界一周の旅に出た彼女が感じた、知った、気づいた、アレやコレ──。

大原部長は両さんのことを
「両津のバカ」って呼ぶけれど......

先週はいきなり休んでしまってすみません!

しれっと戻ってきました、水曜連載。「今週からは休載せずに10週連続でいきますよっ」と担当編集さんに言われてビビっておりますので、みなさまもどうか気長にお付き合いくださいませ。

10週連続で震えている自分からすれば、40年間一度も休まず週刊連載を続けられた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者、秋本治さんは本当に偉人です。紫綬褒章の受賞おめでとうございます!

さて、ちょっと聞いてもらいたいんですが、わたしにはかねてから「それ、どうなの?」と思っていたことがあるんですよ。それはね、人の呼び方。

わたしは稀に、夫とお仕事することがあり、一緒に打ち合わせに出ることもあります。ちなみに、自分は旧姓のまま働いているので、夫婦とはいえ苗字は別です。

とある日、はじめての方との打ち合わせだったので、ご挨拶して、名刺をお渡しして、打ち合わせを始めました。すると、相手が夫のことは苗字で呼ぶのですが、わたしのことは「奥さん」って呼ぶではありませんか! おーい! さっき名刺渡して挨拶したやろうもん! わたしは「坂田」ですよ! なんで「奥さん」って呼ぶのよー!

はい、ここまで読んで「なにがダメなのかわからん」とか「面倒くさいフェミニストめ」と思われた方、ちょっと落ち着きましょう。

この場合、夫もわたしも「仕事相手」として出席しています。夫が姓で呼ばれるのに、わたしが「奥さん」と呼ばれるのは、夫がメインで、わたしが付属であると認識されているからです。この場において、「坂田」という名前は、彼を主体とする属性「奥さん」以下だと。

びっくりして「おい、そこの白シャツメガネ野郎」と言い返しそうになりましたが、そんな勇気もないので、にっこり微笑んで「『奥さん』ではなく、名前で呼んでいただけますか」とお伝えしておきました。

これがママ友や、犬友だちならわかります。ママ友同士は「Aちゃんのママ」や「Bさんのお母さん」という呼び方をしますが、これは子どもたちをメインとする関係だからです。犬友だちの「マロンちゃんのパパ」「モカちゃんのママ」も同じですね。犬ありきのお付き合い。

しかし、こういう「なにかありき」の関係以外では、わたしは名前で呼ばれたいし、できるだけ、あなたのことも名前で呼びたいよ! と思っています。

これに関連して……最近では、配偶者を「奥さん」「嫁」や「主人」「旦那」と呼びたくない・呼ばれたくない派の人たちを見かける機会が増えてきました。夫婦は対等なのだから、主従関係の呼び方は避けたいという意見です。

「奥さん」は、もともと入口から離れたところ、つまりは「奥」に住む人から転じて「高貴な身分の妻」という意味でした。いまでは他人の妻を敬う言い方とされていますが、「奥」に違和感をもつ方もいるようです。「嫁」は「息子の妻」という意味なので、姑・舅の立場じゃなければ誤用。そして「主人」や「旦那」は、「仕える相手」という意味がありますから、妻が下の立場という言葉になってしまいます。

たしかに、これは時代にあわない表現に感じますね。

わたしは配偶者の話をするとき「主人」は絶対に使わない派(そもそも馴染みがない)なので「夫」と呼んでいますが、では、相手の夫や妻の話をするとき、どう呼んだらいいのでしょうか。名前を知っていれば、名前でお呼びすればいいのですが、名前がわからないときに適切な呼び方がない!

「相方」は背中がかゆくなるし、「パートナー」というのもしっくりこない。

「お父さん」「お母さん」の法則に従うと、「お夫さん」「お妻さん」になると思うのですが「お夫さん」ってどう発音するのよ……おおっとさん? おふさん? 謎は深まるばかりです。

そんなわけで、まだまだ市民権を得ない呼び方なんですが、いまのところ相手の配偶者は「夫さん」「妻さん」と呼ぶことにしています。全然聞きなれないし、言いなれていないので、口に出すときはソワソワしますけど。

どう呼ぶのがいいのかわからんので、みなさんナイスなアイデアがあったらぜひ教えてください。時代とともに考え方は変わっていくものなので、それにあわせて言葉・表現を変化させていくのは必要なことではないでしょうか。

ではでは、連載残り9週、原稿を落とさないように『こち亀』ゆかりの地・亀有で両さんの銅像めぐりをしてこようと思います。なんと亀有周辺には、合計15体もの銅像があるらしいですよ! ぐるりとめぐって、ご利益もらってきます。

……我ながら、どんなオチだっつーの。

坂田ミギー/クリエイティブディレクター

1982年、福岡出身。広告制作会社、「博報堂ケトル」を経て独立。デジタル、雑誌、イベントやCMなどの垣根を越えたキャンペーンのプランニングやディレクションを担当。数々の話題の広告を手がけ、フランス、アメリカ、シンガポール、タイなどの由緒ある広告賞を受賞する日本を代表するクリエイターのひとり。

©2019 NEW STANDARD

『旅がなければ死んでいた』
アラサー・独身・彼氏なしの三重苦を背負った女が、
仕事と恋愛に疲れて家を引き払い住所不定となり、
バックパックひとつで世界を旅するノンフィクションストーリー。
著:坂田ミギー 発行:KKベストセラーズ

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