サンタがいるのは、そこに愛があるから/坂田ミギーの水曜連載「ミレニなのでアル」第十一回

一週間のなかで、きっといちばん憂鬱な水曜日に読んでほしい、クリエイティブディレクター・坂田ミギーの水曜連載。数々の広告賞を受賞しながら「アラサー・独身・彼氏なし」の身の上に絶望して世界一周の旅に出た彼女が感じた、知った、気づいた、アレやコレ──。

ここに断言します
「サンタさんは......います!」

チキンを丸焼きにしていますか? 無性にケンタッキーを食べたくなっていますか? メリークリスマス!

最近では、他宗教への配慮で「メリークリスマス」ではなく「ハッピーホリデー」と言う派が、アメリカを中心に増えていますね。

その影響で、日本でも「ハッピーホリデー」が使われる場面をたまに見かけますが、この時期、まだ日本はホリデーシーズンじゃないという残念なお話。もうちょっとしたら年末年始だから、早めの「よいお年を」くらいのテンションで言えばいいのかしら。

この国で「ハッピーホリデー」を使うなら、いっそのこと本当に祝日にしてほしいものです。もしそうなったあかつきには、松浦亜弥さんの『Yeah! めっちゃホリディ』をクリスマス兼ホリデーソングとして歌いたい所存。うきうきの冬、希望──。

そう、うきうきといえば……わたしは中学生になるまでサンタさんが来てくれていたので、毎年この日がとてもたのしみだったのです。

母は「クリスマスを楽しむ派」なので、毎年プレゼントを買ってくれました。父は「キリスト教徒でもないのに、クリスマスに参加するのはおかしい。商業主義に毒されるな」と主張していました(今もしています)ので、率先してチキンを丸焼きにしたり、ケーキに入刀したりすることはありませんでした。

ですので、もちろん父からのプレゼントはゼロです。

それなのに、クリスマスの朝に起きると枕元にサンタさんからのプレゼントが置いてあるではないですか! すでに母からはプレゼントをもらっていますし、父はクリスマス不参加だというのに!

これはどういうことなのか? それはサンタさんが実在するからに他ならないからだ!と、幼い探偵(わたし)は断定したものです。

その証拠に、サンタさんに手紙を書いておいておくと、フィンランド語で返事が届きました。外国語が得意(らしい)父に手紙を翻訳してもらうのが、毎年の恒例行事でした。どこまでも完璧に、サンタさんは実在してくれていたのです。

そうして大人になったわたしは、サンタクロースの正体を確かめるべく、フィンランドの北極エリアにあるサンタクロース村にいきました(誰でもウェルカムな村なので、興味のある方はぜひ訪れてみてください)。

世界中の子どもたちから届く、たくさんの手紙。飾られた多くの写真。用意されたプレゼント。そして実際に、サンタさんに会って話をすることもできました。

その結果「本当にサンタさんは存在する」とわかったのです。世界のいろんなところで彼の存在が信じられているのは「そこに愛があるから」なんですよね。「そこに愛があるから」だなんて、歌詞みたいになってますけど……。

相手をよろこばせたい、幸せであってほしいとの気持ちをもつ人が多いからこそ、サンタクロースはありつづけることができるのです。

もし、相手の幸せを思う人が少なかったら、とっくにサンタさん、廃業していますよ。

彼の仕事は膨大ですから。みんなのなかにサンタさんがいて手伝ってくれないと、この偉業は成り立たないです。

サンタクロースという名前の「愛のクラウド」みたいなものだと思うんですよね。わたしもほんの一部でもサンタさんを担えたらいいなと思って、目下修行中ですわ。

ちなみに、親にサンタさんの正体を詰問した年から、2個もらえていたプレゼントは1個になりました。世の中には、言っていいことと、わるいことがありますな。うかつな一言で、魔法が解けることもありますから。

それでは、みなさま、よいお年を。ハッピーホリデー!

坂田ミギー/クリエイティブディレクター

1982年、福岡出身。広告制作会社、「博報堂ケトル」を経て独立。デジタル、雑誌、イベントやCMなどの垣根を越えたキャンペーンのプランニングやディレクションを担当。数々の話題の広告を手がけ、フランス、アメリカ、シンガポール、タイなどの由緒ある広告賞を受賞する日本を代表するクリエイターのひとり。

©2019 NEW STANDARD

『旅がなければ死んでいた』
アラサー・独身・彼氏なしの三重苦を背負った女が、
仕事と恋愛に疲れて家を引き払い住所不定となり、
バックパックひとつで世界を旅するノンフィクションストーリー。
著:坂田ミギー 発行:KKベストセラーズ

Top image: © 2019 NEW STANDARD

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