名刺をもらえず、悲しかった日。/坂田ミギーの水曜連載「ミレニなのでアル」第十三回

一週間のなかで、きっといちばん憂鬱な水曜日に読んでほしい、クリエイティブディレクター・坂田ミギーの水曜連載。数々の広告賞を受賞しながら「アラサー・独身・彼氏なし」の身の上に絶望して世界一周の旅に出た彼女が感じた、知った、気づいた、アレやコレ──。

「男性だから」「女性だから」
だから......なんですか?

近頃、興味関心のあるテーマが「健康」なので、通常の健康診断以外にも、いろんな検査を受けたり、ジムに通おうとしたりしております。

そんな健康ブームな自分は先日、予防医療と統合医療で知られる、とあるクリニックを訪問しました。最先端医療をベースにしながらも、東洋医療や伝統医療も実践していく考え方に感銘を受け、さらに充実した施設や、おいしい食事にも大満足。

いいかかりつけのクリニックができたなーと思っていたのもつかの間……。違和感は、院長と理事長(いずれも男性医師)と面談したときに訪れました。

夫とふたりで訪問していたので、そろって院長のいる部屋に入り挨拶をしました。すると、院長は名刺を夫に渡しました。わたしにもくださるかな?と思って待っていたのですが、そのまま院長は話の本題に入ってしまうではありませんか。

「あれ?」

※検査着に着替えて手ぶらだったので、自分たちの名刺は渡していません。

その後、部屋を出てロビーで座っていたら、今度はクリニックの理事長が挨拶に来てくれました。理事長も名刺をくれました。

夫にだけ。

院長も理事長も、変わったところはありません。違和感を覚えているのは、わたしだけっぽい。自分の感覚がおかしいのかな。なんでわたしにはくれないのかしら。

もしかしたら「夫婦両方に名刺を渡す必要はない」と思っているのかもしれませんが、もしそうだとしても、自動的に夫が代表者にされているのが気になります。必ずしも「世帯主=夫」ではないはずです。

医療業界は男性社会だと聞いてはいるけれど、名刺くらい男女両方に渡してくれてもいいんじゃないですかね。もし不要であれば、そのときは「ありがとうございます、でも夫婦で1枚いただければ結構です」と言いますし。

渡そうともされないのは悲しいですよ。だって、お相手が「妻ポジションの女性には、名刺を渡す必要がない」と考えている人だってことですから。

似たような経験は、枚挙にいとまがありません。とある地方でおいしい料理をいただいたので、夫が「レシピを教えてください」とお願いしました。すると、お相手は質問者である夫ではなく、わたしに向かって料理の作り方を説明してきました。

「あれれ?」

我が家では、料理はすべて夫がつくってくれます。だから夫が質問したんだけどな。きっとこの人は「家の料理は女性がするもの」と思っている人だったんでしょうね。

確かに、筋肉量とか体格とか、男性と女性のあいだには有意な性差(男女差)はありますけど、だからかといって「男性だから」「女性だから」といった常識や価値観を押し付けたり、不平等に扱ったりするのはやめてほしいなぁと思うわけです。

これがひどくなると「男のくせに」「女のくせに」と行動を制限していくことにつながると思うので。

自分も、わるい意味での「昔ながらの常識・価値観」でしゃべってしまうこともあるので、少しずつでもアップデートしていきたいとあらためて思う、2020年なのでありました。日々邁進していきたいものです。

それに今度からは悶々と悩まずに、その場で「わたしにも名刺をください」とか「彼が質問したので、彼に説明してください」とかを、ちゃんと言おうと決めました。

いままでは自分が変なのかな?これ言うと空気わるくなるかな?と、気にしすぎてしまっていたのですが、これは言わないとわからないことですもんね。別にお相手を責めたいわけではなく「そういう考え方の人もいるんだな」というのを知ってほしいのです。

記事を読んでくださっているみなさんにも。

ちなみに健康増進のため、ジムには入会したものの、最近は課金だけして全然通えていなかったので……今月はできるだけたくさん通って、体力をつけ「幽霊会員からの蘇生」を目標にしています。

ザオラル、ザオリク、レイズ、アレイズ……と詠唱しながら、いまからジムに行ってきます!(わかる人にはわかる呪文)

坂田ミギー/クリエイティブディレクター

1982年、福岡出身。広告制作会社、「博報堂ケトル」を経て独立。デジタル、雑誌、イベントやCMなどの垣根を越えたキャンペーンのプランニングやディレクションを担当。数々の話題の広告を手がけ、フランス、アメリカ、シンガポール、タイなどの由緒ある広告賞を受賞する日本を代表するクリエイターのひとり。

©2019 NEW STANDARD

『旅がなければ死んでいた』
アラサー・独身・彼氏なしの三重苦を背負った女が、
仕事と恋愛に疲れて家を引き払い住所不定となり、
バックパックひとつで世界を旅するノンフィクションストーリー。
著:坂田ミギー 発行:KKベストセラーズ

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