「三日坊主」をやめるためには/坂田ミギーの水曜連載「ミレニなのでアル」第十二回

一週間のなかで、きっといちばん憂鬱な水曜日に読んでほしい、クリエイティブディレクター・坂田ミギーの水曜連載。数々の広告賞を受賞しながら「アラサー・独身・彼氏なし」の身の上に絶望して世界一周の旅に出た彼女が感じた、知った、気づいた、アレやコレ──。

「いらないこと」を見極めて
「やりたいこと」に時間を使う

今年も読みに来てくださってありがとうございます。2020年もよろしくお願いします。

おたがいすてきな一年にしていきましょう。

すでに今年の抱負を決めた人もいるでしょうし、これから新しいことをはじめたい!と思っている人も多いかもしれませんね。

とはいえ、新しいことをはじめても三日坊主。むしろ三日どころか一日しかもたない人もいますよね。そう、わたしです!(仁王立ち)

いいんです、一日で終わっても。

やらないよりも、やってみたことが重要なんですから。まずは一日でもやれた自分をほめてあげたらいいですよ。年々フットワークは重くなりがちですから、第一歩を踏み出せた自分を祭り上げる勢いで祝福してやりましょうぜ。

そのうえで、つづけられなかった原因がなんなのかを考えたらいいじゃないですか。

やってみたものの、あまりおもしろくなかったのか。自分に向いてなかったのか。はたまた、やりたいけど、つづける習慣がつくれなかったのか。

前ふたつの理由なら仕方ないのですが「やりたいけどつづけられなかった」のであれば、新年をきっかけにがんばりましょう。

当たり前のことながら、新しいことをつづけていくには、その時間をつくらないといけません。でも、その“当たり前”に気づけなかったんです。昨年、山梨県の乾徳山恵林寺を訪れた際に、住職の古川周賢老大師に教えていただいて、ようやくその“当たり前”がわかりました。

いままでとまったく同じ生活をしながら、新しいことはできないのです。

「足していく作業」はすぐできそうな気がしますが、じつは「いらないことをやめておく作業」をしなければ、24時間のなかに新しいことは組み込めないわけです。

自分の習慣から、いらないことを見極めて、時間をつくる。

たとえば、乗り気になれない誘いをどうやって断るか、ぐるぐる悩んでLINEを送るまでの5分間。お風呂上がりで全裸のまま、観たくもないテレビをソファでぼーっと眺めている15分間。なにかおもしろいことないかなーと、ネットをぶらぶらパトロールしている30分間。

ちなみに、この例はぜんぶわたしがやりがちなことです。無駄な時間オブザイヤー三冠王。

これらをやめる、もしくは少しでも短くすることができれば、新しいことをする時間がつくれます。

ちなみに、わたしは電車のなかでひたすらネット散策していたのをやめ、その時間を使ってこの「TABI LABO」の連載の原稿を書いています。

せっかくなので、あなたもきょうから一緒にいらないことをやめて、やりたいことをはじめてみませんか。

「いやー……いきなりはちょっと……まだお正月だし、ゆっくりしたいし、こたつでミカンを満喫したいし、まだやりたいことも定まっていないんで……」という人は、2月3日の節分を節目に動いてみるのもいいでしょう。

現代日本で新年といえば1月1日とされていますが、暦では立春が一年の始まりです。つまり、節分は「新年」の前日の大晦日。まさに節が変わる「節分」なので、この日を新たなきっかけにするのもおすすめです。

きっかけはなんだっていいんです。

日付にこだわらず、自分の機がきた!と思ったら、そのときにフットワーク軽く動けるように、いつでも肩をあたためておきましょうぜ。急に動くと故障するかもしれんからな。少しずつ動いておきましょ。

わたしは今年こそ「大」を漏らさないですごせるように、まずはおなかをあたためる腹巻き習慣からはじめます。

あとは、ストレス負荷の大きい人間関係を少しずつ整理・整頓していく予定。つまらん食事会ほど、時間とお金と健康が無駄なことないですからね。

は~予備の下着を持って歩かずにすむようになりたーい(妖怪人間の口調で)。

……新年一発目のオチが小学校2年生レベルですが、あらためて、どうぞよろしくです。

坂田ミギー/クリエイティブディレクター

1982年、福岡出身。広告制作会社、「博報堂ケトル」を経て独立。デジタル、雑誌、イベントやCMなどの垣根を越えたキャンペーンのプランニングやディレクションを担当。数々の話題の広告を手がけ、フランス、アメリカ、シンガポール、タイなどの由緒ある広告賞を受賞する日本を代表するクリエイターのひとり。

©2019 NEW STANDARD

『旅がなければ死んでいた』
アラサー・独身・彼氏なしの三重苦を背負った女が、
仕事と恋愛に疲れて家を引き払い住所不定となり、
バックパックひとつで世界を旅するノンフィクションストーリー。
著:坂田ミギー 発行:KKベストセラーズ

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。