これからを生きるために必要な「レジリエンス」とは?
世の中の変化を加速させた新型コロナウイルスのパンデミック。そんななか、注目されている言葉がある。それが「レジリエンス」だ。SDGsでも頻出するこの「レジリエンス」とは、何を意味するのだろうか?
ここでは、レジリエンスの意味について解説しながら、SDGsの中での使われ方やその他のレジリエンスが使われる場面についても紹介していく。
レジリエンスを強化するためのヒントとなればと思う。
レジリエンスとは?
レジリエンスとは、「困難で脅威を与える状況にもかかわらず,うまく適応する過程や能力,および適応の結果のこと」を意味する心理学の言葉。(出典:最新心理学辞典)日本語に訳すなら、復元力、回復力、弾力が当てはまる。
もともとこの言葉は、物理学の言葉として使われていた。そこから、心理学の言葉として使われるようになり、最近ではビジネスや労働環境、地球温暖化問題など社会の中のあらゆるシーンで対応力や危機管理能力といった意味で使われている。
日本でレジリエンスが注目されるようになったきっかけは東日本大震災とも言われている。東日本大震災がおきた直後、被災地では大きな暴動が起こることはなかった。また、被災者の方々のほとんどが非常に前向きだったことは、多くの人々の心を動かした。こうした日本の災害における「元に戻ろうとする力」が再び重要視されるきっかけとなったのだ。
SDGsにおけるレジリエンス
SDGsを理解するためには、レジリエンスの意味を押さえておくことが非常に重要だ。
そもそもSDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことで、国連サミットにて世界の掲げる目標として採択された。SDGsの中には17の目標が含まれており、その目標がさらに細かく定義され、169のターゲットとさらにその下に232の指標が用意されている。
例えば「11.住み続けられるまちづくりを」では、災害に対する強靱さ、つまりレジリエンスを高めようという内容がある。災害予測や被害推定を強化して、万が一に備えることでレジリエンスを高めることを目標としている。
また、「14.海の豊かさを守ろう」でもレジリエンスが求められている。海洋生態系を持続的なものにするために、保護や監視を行うことでレジリエンスを高めようとしている。
「13.気候変動に具体的な対策を」でも、地球温暖化による気候変動に対する対策として、レジリエンスの強化が求められている。サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルの実現などに向けての取り組みが実施されている。
他にも、「1.貧困をなくそう」でもレジリエンスは取り上げられており、SDGsの達成にレジリエンスは欠かせないものだということがわかる。
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レジリエンスが注目される場面
心のレジリエンス
心のレジリエンスとは、立ち直る力のこと。心が折れやすい人に対して、レジリエンスを高めることが推奨されることがある。他にも、何かトラウマになる経験をした人や避けることが難しいストレスにあったときにも、レジリエンスは取り上げられる。このように本人がレジリエンスを高めようとするだけでは解決できず、トラウマやストレスのきっかけとなっている環境も重要な要因になってくる場合がある。
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働き方のレジリエンス
働き方改革が始まり、特に注目されるようになったのが働く環境におけるレジリエンス。働く環境におけるレジリエンスで大切なのは、リーダーのマネジメント法と個人のレジリエンス。リーダーがマネジメントの中で、メンバーの業務量を調整したり、個人個人の心のレジリエンスを高めることが必要なのだ。
ビジネスのレジリエンス
ビジネスシーンにおいてもレジリエンスは注視される。ビジネスにおいてレジリエンスを高めるときには、働く人のレジリエンスももちろんだが、ビジネスやプロジェクト自体の仕組みをレジリエンスに富んだものにしておくことが大切。例えば、あるプロジェクトに何か予想外の問題が発生したときに、すぐさま代替案に切り替えられる準備をしておくこと。A社との取引に問題が起きたときのために、代わりの会社の検討をあらかじめつけておくなど。個人の内面としてのレジリエンスも求められるが、レジリエンスに富んだ仕組み作りをしておくことが重要なのだ。
暮らしのレジリエンス
暮らしにおけるレジリエンスは、心と経済的なものの両方が必要。心の状態を整えることは、生きていく上でもちろん必要であり、人と一緒に暮らすことで強化されることも。また、災害や失業など予想しない事態にも対応できる経済的余裕も求められる。