カーボンフットプリントとは?意味、事例を解説します。
SDGsで近年世界的に注目をされている「カーボンフットプリント」。
実は私たちの身近なところにもたくさんあるんです。この記事では、カーボンフットプリントとは何か、知ってることで得られるメリットなどを紹介します。
カーボンフットプリントとは?
「カーボンフットプリント」とは直訳すると「炭素の足跡」という意味。
英語圏では「Carbon Footprint of Product」と呼ばれており、「CFP」と略されることもあります。
製品の生産から消費、最終処分に至るまでに排出される温室効果ガスを二酸化炭素に換算して数値化することで、排出量を「可視化したもの」です。
カーボンフットプリントの歴史
イギリスでは、エコロジカル・フットプリント(人間活動が地球環境に与える影響を示す指標)から派生して、カーボンフットプリントが世界に先駆けて広まりました。
「PAS2050」とよばれる、製品やサービスによって発生する温室効果ガスの排出量を算定した規格を政府が2008年に公表したことを皮切りに、世界で初めて商品ラベルにカーボンフットプリントを表示するなど低炭素社会の実現に向けて積極的な国として知られています。
こういった活動を受け、欧米諸国やタイ、韓国など世界各国でカーボンフットプリントの考えを導入する国が増加し、日本も2008年からカーボンフットプリントを閣議決定で導入することとなりました。
カーボンフットプリントのメリット
環境問題を意識するきっかけになる
カーボンフットプリントは一部のスーパーやコンビニエンスストアなどで売られている食べ物や生活用品などにも記載されています。
そのため、日本ではまだ商品数が少ないですが商品の生産ライフサイクルでどのくらいの二酸化炭素が排出されて、どのくらい環境に影響を与えているのかを見比べながら商品選びをしてみるというのも環境問題を考える一つのきっかけになります。
企業を評価する一つの指標になる
カーボンフットプリントを記載している企業は、サステイナブルな事業に取り組んでいたり、環境に優しい商品を生産していたりと環境面においても社会貢献を実現している企業であることが多いです。環境という面で企業を評価できるようになるのもカーボンフットプリントを知る一つのメリットといえます。
カーボンフットプリントを推進する国
イギリス
前述の通り、イギリスはカーボンフットプリントを世界的にいちはやく取り入れた国として有名です。2007年から、ポテトチップスやシャンプーなどの商品にカーボンフットプリントが記載され、以降、世界各国で同様の取り組みが広がりはじめました。2010年にはラベル表示された商品の売上高は年間約20億ポンド(2010年当時の日本円換算約3880億円)にまで上ったといわれています。
フランス
フランスは、政府関連の環境・エネルギー管理庁が主導となって取り組みを進めています。
そのため、他国のカーボンフットプリント制度とは少し異なり、温室効果ガス削減の目標に向けて炭素の影響だけでなく、水や農薬など他の要因が与える影響を含んだ上でカーボンフットプリントの指標を検討しています。
現在、イギリスほど普及はしていませんが、これから長期的にみて取り組みの拡大が期待される国であるといえます。
ドイツ
ドイツでは、政府だけでなく民間企業もカーボンフットプリント制度の導入に向けて動いています。
ドラックストアチェーンからホームケア用品会社、電気通信会社まで他業種の大手企業が出資をし、トイレットペーパーから接着剤、インターネットルーターなど多種多様な商品がカーボンフットプリント表示の対象商品となっています。
産業全体で低炭素化を進めようと削減努力に励んでいる国といえますね。
カーボンフットプリントを推進する企業
Allbirds(オールバーズ)
海外のアパレルブランドであるAllbirdsは「製品のカーボンフットプリントをゼロにすること」を目標に、原材料を天然素材や再生可能素材に変更したり、カーボンフットプリントを減らすプロジェクトに投資するというような取り組みをしています。
▼関連記事▼
富士フイルム
富士フイルムは2009年からこのカーボンフットプリントの導入を進めています。
印刷業界の中でもはじめて商品ラベル記載の認定を受け、公式サイトでは各製品のCFP値(カーボンフットプリントの値)を公開するなど、製品がもたらす環境負荷の「見える化」に協力的な企業であるといえます。
Audi(アウディ)
以前より生産から販売に至るまで二酸化炭素の排出量の多さが問題視されてきている自動車業界。
そんななか大手自動車メーカーであるAudi(アウディ)は先日、2025年までに車両固有の二酸化炭素排出量を30%削減すると主張し、カーボンニュートラルに向けて努力していく姿勢を示しました。
すでにブリュッセルとハンガリーの工場はカーボンニュートラルで稼働。もっとも二酸化酸素排出量の多い利用段階だけでなく生産段階にも目を向け、排出量を抑えた生産を実現しようと動いています。
個人で取り組む方法は?
個人で手軽に二酸化炭素削減に取り組める仕組みとして、携帯電話やスマートフォンのアプリがあると思います。
ここでは今すぐに試せるカーボンフットアプリをピックアップしてご紹介します。
01. おすすめカーボンフットアプリ
「eevie」(イーヴィー)
個人が環境にいい日常生活を送るための20の習慣をリマインドしてくれるアプリです。目標を設定しながら日々取り組むべきことを確認できるので、気軽にエコなライフスタイルの習慣化をサポートしてくれます。
『eevie』
公式サイト:https://www.eevie.io/
02. おすすめカーボンフットアプリ
「Pawprint」
日常で自分たちが排出している二酸化炭素を「測定」して、どのぐらいの影響があるのかを「理解する」。そして、実際に「減らす」ためのアクションまでを教えてくれるアプリです。ステップに沿ってガイドしてくれるため、使い勝手がいいのが特徴的です。
『Pawprint』
03. おすすめカーボンフットアプリ
「Klima」
こちらは生活で排出したカーボンフットプリントをオフセット(相殺)するために、熱帯雨林の植樹活動やソーラー発電所建設プロジェクトなどにお金を寄付するというユニークなサブスクリプションアプリです。
『Klima』
公式サイト:https://klima.com/
まとめ
環境問題やSDGsと聞くと難しい話に感じることも少なくないですが、カーボンフットプリントのように日常生活で気づきを与えてくれるものもあります。これを機に日々の生活で意識してみるのもいいのではないでしょうか。